不動産業界、ミニミニバブルに沸いている・・の巻

ここ数日、私の周りでいろいろなことがありました。
マンション市場について申し上げるとハッキリとバブっています。
やはり5000万円超の物件がよく売れていますね。
株価に連動するところが大きいと思います。
実は、昨日私の事務所に相談に見えられた方も、
株式投資で資金を増やしたとおっしゃっていました。
まあ、羨ましい限りです。

さて、ここからが難しいところ。
この流れが本物かどうかの見極めが肝心なのです。
アベノミックスによる景気回復で、不動産価格が上昇する・・・
そう考えたいところなのですが、そこが実に不透明。
業界人の大勢は「これは一時的なものだろう」という見方。
ただ、マンション用地の争奪戦はかなり熾烈になっています。
特に都心立地においては、明確に土地価格が上昇。
これは、来年にかけての供給物件が値上がりする原因となります。

しかし、それで需要が付いてくるかどうかは別問題。
株価が上がり続けていれば、ある程度は売れると思います。
何と言っても、それを買うお金の元があるわけですから。
ただし、株式投資をしていない人は蚊帳の外。
どちらかというと、そちらの方が多数派です。

ところで、不動産業界と言うのは「バブル」が大好きです。
過去二回のバブルでおいしい思いをした人が多いので、それは仕方ないこと。
だから今は「また来たぞ」という勢いで走り出している状態。
それはそれで、私も一部潤いますので大歓迎(笑)。
でも、この勢いは過去2回に比べるとかなり弱いですね。

結局、不動産価格の全体的な底上げのためには
「個人所得の増加」という景気回復の最終目標達成が不可欠。
私は、今回の不動産価格の上昇局面は「需要一巡」で終ると見ています。
何回かここで述べたように「ミニミニバブル」になりそうな感じ。
業界人の中にも「おっかなびっくり」派がたくさんいます。

マンションについて言えば、年内は「価格上昇」という現象が
伝えられることが多くなるかもしれません。
特に、都心立地については表面的に上昇しそうです。
その上昇幅は、いたって地味かと思います。
例えば、中古マンションについてはヤフーやホームズに出ている価格は、
いってみれば「売却希望価格」であって、
実勢よりやや高めであることが普通です。
しかし、市場の需要が強い場合はこれが実際の取引価格に近づきます。
つまり、売主側が強気に転じるからです。
まあ、その程度で終る可能性が大きいですね。
表面的な価格の上昇まで至るには、個人所得の上昇が必要。
そこまでこの宴が続くのかどうかは、かなり危ういと思います。

以前にも書きましたが、マンションの売買価格については
新築も中古も含め、網羅的に表せる正確なデータがありません。
したがって、表面に出る価格だけを追いかけてメディアが騒ぎます。
これがまた、エンドユーザーを惑わせることになります。

今のような「ちょっとした」価格上昇局面では、
不動産屋さんたちはそれを幾層倍にもして誇張します。
「これからどんどん値上がりします」
「今ここで買っておかないと、同じ値段ではもう買えません」
「他に買いたい人がいっぱいいます」

私の経験上、こういったセリフがその通りであったためしがありません。
それは、何十年か昔ならその通りだったかもしれません。
しかし、バブル崩壊後はほとんどの場合、ヨタ話です。
あるいは、何年か後にはヨタ話になる類のこと。

今回のミニミニバブルは来年4月の消費税増税がひとつの「終わり」。
さらに、その1年半後には二度目の増税があります。
これで日本経済はかなりのダメージを受けると予測。
日本に新しい産業が誕生するとか、ビビッドなイノベーションが
起こっているワケでもありません。
ちょっとした期待としては、今年9月のオリンピック開催地決定くらい。
これも東京に決まらなければダメージが大きい話。

不動産業界は久々のバブルにちょっとだけ沸いていますが、
エンドのみなさんはそれに踊らされるとロクなことはないでしょう。
前回のミニバブルが終ってから、まだ5年です。
それだけ、人々の記憶にも鮮明。
今回のミニミニバブルは、本当に瞬間風速で終るのではないかと思います。

榊マンション市場研究所・春の不動産セミナー
「アベノミックス後のマンション購入は?」

日時:2013年4月20日(土) 午後1時15分より(午後1時開場)

場  所:ルーテル市谷センター 第1・第2会議室


2013/3/30 15:03 Comments (0)

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