先日、最後の同潤会アパートが取り壊された、というニュースがありました。
関東大震災の復興事業で建てられたのが始まりだそうです。
小津安二郎の「東京物語」で次男の嫁・原節子が住んでいましたね。
その昔、表参道にもあったように記憶しています。
実は、私のいるビルの隣にも、おそらく戦前に建てられたと思われる
「正金アパート」という古い建物があります。
最近、建替えることになってテナントが次々に退去しています。
まあ、時代の趨勢でしょうね。仕方ありません。
このオフィスが入っているビルも、築50年超。
6階建てですが、エレベーターがありません。
あの3.11の地震が来たとき「これは関東大震災の再来か」と考え
真剣に「このビルが潰れたら、ここで死ぬのだろうな」と思いました。
結果的に、ビル自体にほとんど被害はありませんでしたが。
その後、大家さんが耐震診断をなさったそうですが、かなり丈夫だとか。
ちょっと安心。ズドンとした長方形なので、カタチ的にも強そうです。
まあ、古いからと言って地震に弱いとは限らないのですね。
先日新聞を読んでいると南海トラフ地震というのは恐ろしそう。
東海地方は30メートルの津波に襲われるみたいですね。
東京湾へも津波がやってくるそうな。ヤですね、ホントに。
でも、こと地震に関しては学者の予測が当たったことがありません。
阪神淡路だって2年前の東日本だって、まったく予測されていなかったこと。
だから、南海トラフも私の生きている内に来るのかどうか。
さて、では震度7の地震が東京を襲えばどうなるでしょう?
私は存外大したことがないのではないかと思います。
その根拠は、東日本大震災での被害状況からの類推。
あの地震での死者は、ほとんどが津波によるもの。
仙台は震度7の激震に見舞われたのに、死者は僅少でした。
阪神大震災の時には、倒壊建物下敷きや火災で亡くなった方が
とても多かったのとは対照的ですね。
地震の揺れそのものよりも、そこから派生する様々なことを
もっと考えるべきではないかと思います。
一番困るのは地震直後の生活インフラでしょうね。電気、ガス、水道です。
先日の南海トラフ地震の新聞記事では「7日間以上の備蓄を」と
書かれていました。食糧は大丈夫でしょうが、問題は水。
1人1日2リットル必要だそうですから、一家4人だと56リットル。
2リットルペットボトル28本。箱にすると5つで足りますか。
でも、限りある生活空間の中で、あんなもの5箱置いておくのは大変。
しかも、トイレに流す水は含まれていません。
「ウチのマンションには備蓄倉庫があるから大丈夫」
それでタカをくくらない方がいいですよ。
もし地震がやって来たとき、誰がその倉庫を開けてどのように配るのか。
キチンとしたマニュアルが整備されていますか?
あるマンションを取材した時、ちょっと感心したことがあります。
マンションとして1年に1回、お祭りをなさるそうです。
敷地内にコンロを持ち出してみんなでカレー等を作って食べる。
それで備蓄しているお米を消費してしまい、買い替える。
また、コンロの使用法なども確認できる。いわば災害訓練です。
なかなかいいアイデアだと思いました。
管理組合が和気あいあいに運営されているのも確認できました。
そういうマンションは、本当に地震がやってきてもキチンと
管理組合が機能してみんなで助け合えるのでしょうね。
私はいくつか管理組合を取材しましたが、
トゲトゲしい空気を感じるところもあります。
そういった場合、自己顕示欲の強い方が組合を仕切り
それに反発するグループが形成されているケースがほとんど。
管理組合の役員というものは、基本的に輪番制にすべきです。
誰かに偏ってしまうと、どうしても弊害が生まれます。
ノウハウを伝えるためには参議院方式がいいでしょう。
2年制にして、1年ごとに半数を入れ替えるのです。
そうすれば、継続性が保てます。
ところが、大半の管理組合は1年ごとの交代。
一部は立候補制を取り入れていたりします。
私は、1年制で全員交代というのは、管理会社の陰謀だと思います(笑)。
そうすれば管理組合の力が強まらないので、管理会社はラク。
好きなように組合を操れます。お金も取り放題。
管理規約のその部分は、通常4分の3決議でないと変更できません。
まあ、普通の管理組合に4分の3決議は無理。
だから、大半の管理組合は管理会社の言いなりになっています。
1981年6月以降に建築確認を出されたいわゆる「新耐震」の
マンションは、震度7の地震でもそうそう壊れません。
ハードの損壊を恐れるよりもむしろソフトの整備を図るべきです。
そのためには、管理組合では危機管理マニュアルをしっかり整備し、
誰がどのような役割を果たすかを予め決めておくべきでしょう。
例えば、備蓄倉庫の開放は理事長がいなくても理事○名の承諾でOK、とか。
非常時ほど管理組合の機能が試されることになりますから。
夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。
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