10年で売るのなら郊外のマンションは買わない方がいい

先週の金曜日、とある会社さんの決起大会(何を決起するのかよう分かりませんが)に呼ばれて、数年ぶりに屋形船に乗りました。
まあ、それはそれで楽しかったのですが・・・・
偶然まわりに座った方とお話ししている内に、
その会社の社長さんがビールを継ぎに来られました。

「この人、本当はね・・・なことをなさっている人なんですよ」
と、私の正体をバラしてしまったのです。
そこから「エエ・・・今、家は買った方がいいのですか?」
という質問大会。まるでミニセミナーみたいになりました(笑)。

地方都市から東京支社へ転勤でやって来た30代前半のパパ。
「今、10万円の家賃を払っているのですが・・・」
まわりの同年代でマンションを買っている人が多いそうなのです。
「そんなにお金もたまらないから、今のうち買っておけば・・・」
という、典型的な一次需要パターンですね。
ちょっと前なら千葉埼玉まで行かないと買えなかったのが、
今では足立区や墨田区の端っこなら買えそうな物件が・・・。

「同じ金額なら、家賃よりもローンを払いたい」
確かにその気持ちも分かります。
家賃はいくら払っても自分のものになりません。
ローンなら、いつかは自分の完全な所有物になります。
でも、それは多分35年先のことですね。
35年先、日本はいったいどうなっていると思いますか?
人口は9500万人くらいに減って、老人ばかり。
私は生きていればその主役層。後期高齢者です。
そして、鉄筋コンクリートで作られたマンションは
そのへんでゴロゴロ余っているはずです。
何とも恐ろしい情景ではないですか。

郊外にできた中途半端なニュータウンは廃墟でしょうね。
でも、東京の中心地の情景は今とさほど変わらないでしょう。
ただ、歩いている人間の平均年齢は上がっていると思います。
また、今よりももっと外国人が多くなっていそうです。

日本という国は、いまでも年間80万戸の住宅を作っています。
取り壊している家もあるでしょうから、
このうち7割くらいが純増としても50万戸以上。
今年、国土交通省から空家率というのが発表されます。
5年前は約13%でした。それがどれくらい増えているのか・・・
下手をすれば20%近くまで上昇しているはずです。
35年後は40%近になっていてもなんら不思議はありません。
つまり、日本国中が老朽住宅だらけ。
ちょっと家賃を払えばかなり広い家に住めると思いますよ。
多分、築35年くらいの・・・つまり、今建てている住宅。

だから今のような時代、家を借りるのではなく所有することは、
価値が低下しそうな資産に投資することに他なりません。
つまりは、リスクを背負いこむのと同じ。
もちろん、悪いことばかりではありません。
家を買うということは「そこに住める」という大きなメリットがあります。
住むことに対して対価を払う、という気持ちで買うのは健全。
前述のパパ君も、東京に永住するつもりなら買った方がいいでしょう。
でも「いつかは出身地に帰る」「10年後には売る」というのなら
あまり大きなリスクを背負わない方がいいと思います。
ましてや、「その時は売れば何とかなる」と考えない方がいいでしょう。
港区の真ん中に買うのなら話は別ですが。

本日(6月17日)は、株価が少し上がりました。
しかし、経済の先行きにはまだ不透明感が残っています。
企業業績は全般的には回復していそうですが、まだ力強さは感じません。
であるにもかかわらず、物価は少し上昇しそうです。
何よりも、消費税とともに上がります。
そうなると、経済法則によって金利も上がってしまうのです。

この「金利上昇」というのは、住宅業界にとってかなり厄介。
というのは、購入者の負担は増えるので、物件価格が上がったのと同じ。
価格が上がれば当然売れにくくなります。
それに加えて、来年4月には消費税増税。
ダブルパンチを喰らってしまいます。

ただ、少しフォローの風も吹きます。
住宅ローン控除の拡大と、個人所得の伸張??
後者が来れば、多少の金利上昇はリカバーできるでしょう。
ただ、そんなにうまくいくかどうかは分かりません。
今の安倍政権はどうやら官僚のいいなり。
大胆な規制緩和をともなった成長戦略は取れないでしょう。
来年度は予算規模も縮小されるはず。

どうやらアベノミクスは「期待」段階を終えて
「実行」期に入ったのに、今のところタマ不足と言ったところ。
しばらくは都議選と参院選で経済はほっとかれるでしょう。
しかし、秋に発表されるという成長戦略第2弾が前回通りスカに終われば、
安倍政権はかなりの不信感を持たれるはずです。

そうでなくても、支那経済の失速という不安があります。
支那国内の情勢が不安になれば、尖閣でさらなる挑発を仕掛けてくる
可能性もゼロではないと思います。
あの支那が、このまま尖閣を「棚上げ」するとは思えません。
何よりもそれでは面子が立たないし、習君も突き上げられるでしょう。
まあ、なるべくおとなしくしていて欲しいけど(笑)。

現状、マンション市場はちょっと落ち着いた感じ。
今後は、先に書いた「9月需要」のあるなしに注目。
そして、この夏以降に出ている「新価格」物件の動向。
さらには9月のオリンピック決定と市場への影響。
そして本命は消費税増税の成否。
マンション市場にはまだまだ大波小波が待っています。

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/6/17 16:27 Comments (0)

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