マンションのHPで騙されないために

私は自分が広告屋なので当たり前にしていることですが、
一般の方は違うのではないでしょうか?
何のことかというとネットで新築マンションの
オフィシャルページから必要な情報を得る場合のやり方。

最初にどこを見るかというと、それは・・・地図(現地案内図)。
不動産は場所で9割の価値が決まります。
何よりも大切なのは「どこにあるのか?」ということ。
だから、最初に地図を見に行くワケです。

ところが・・・マンションによっては地図がどこにあるのか分からなくて、
アッチコッチ探し回らなければいけないようなHPもあります。
そういうマンションは、かなり「買ってはいけない度」が高いですね。
イライラして、ヤフー不動産に戻ったりします。
ヤフーやスーモなら、「地図探し」に迷うことはありませんから。
この傾向、比較的三井不動産レジデンシャルに多いのです。

地図の次はどこに行くかというと・・・・「概要」です。
マンションによっては英語で「OUT LINE」となっている場合もあります。
概要を見れば、そのマンションのおおよその外形が見えてきます。
また、そこには価格が出ている場合があります。
例えば、オフィシャルページのトップには「2600万円台より」みたいな表示を
デカデカと表示していると「へえ、俺の検討住戸も2000万円台で買えるのか?」
と誤解してしまう場合があります。まあ、慣れればすぐ分かりますが。
こういう場合、例えば概要には
「2600万円台~5900万円台(100万円単位)」と表示されています。
結局、自分の買いたい住戸は5000万円台だったりするのです。

また、外観もパースでみると10階建てに見えるマンションが
概要には「地上8階地下2階建て」なんて表示されている場合もあります。
「いつ販売されるのか?」といった重要な情報が、
概要にしか表示されていないケースもよくみかけます。
要は、オフィシャルページのトップなどには売主側が「見せたい情報」が
目立つように出ていて、見せたくない情報は概要に出ていたりするのです。
概要の位置が分かりにくいのは、野村不動産のケースが多いですね。

もちろん、私とてトップページは見ますよ。たいていはニヤニヤしながら。
トップページを見ながら判断できることはけっこう多いのです。
その第一は、売主がその物件をどう捉えているのかが良く分かります。

例えば「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」という
わりあい話題になっている湾岸のタワーマンションでは瑛太という
タレントがトップページに出ています。
コンセプトは「晴海ストリートライフ」だそうです。
瑛太のセリフとして「ここに建つマンションがザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンスです」という文字が大きく出ています。
しかし名前が長い! もっと使い勝手を考えて欲しいですね。
瑛太にそんなことを言わせるのは、売主がエンドユーザーに
「晴海っていいところだからね」
というイメージを刷りこもうとしているのです。

この「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」
というマンションは、「勝どき」駅から徒歩13分です。
タワーマンションの立地としては、ほぼ失格。
でも瑛太を出してきて
「13分も歩くけど、晴海自体はいいところですよ」
とエンドユーザーに思わせようとしているワケですね。
まあ、気持ちはよく分かります。やり方も上品です。
でも、この「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」を購入する人は「晴海に住みたくなって」契約するのでしょうか?
私はもっと他の魅力にひかれるのではないかと思うのですが。

2番目の例です。
物件名は「TOKYO FIGHTER(東京ファイター)プロジェクト」。
なんか、物件名だけだとよく分からないでしょ。
このマンションができる場所は「東京都足立区千住橋戸町」。
京成電鉄の「千住大橋」駅から徒歩3分・・・というと近いようですが、
これがわりあいに「使えない駅」です。
というのは日暮里で山手線に乗り換えなければなりません。
まあ、直線距離はそこそこ近いのですが。
他に南千住や北千住の駅も使えますが、いずれも徒歩15分以上。
この時代に駅から徒歩15分以上というのは、資産価値がかなり脆弱。
ただ、このあたりはニッピという会社の工場跡地か何かで複合開発されています。
大成有楽の「オーベルグランディオ千住大橋」なんて物件も
ほぼ同時期に販売されるようで、強力なライバルに。

それで「TOKYO FIGHTER(東京ファイター)プロジェクト」の方は
「35歳の高校生」主演の米倉涼子をイメージキャラクターに起用。
トップページでは、米倉涼子に「TOKYO FIGHTER」と言わせています。
そして「7  3  2  1」という4つの数字を大きくアピール。
それだけ見ているとワケが分かりませんね。
それぞれ「東京駅7キロ圏」「駅徒歩3分」「ショッピングモールへ徒歩2分」「リバーサイドへ徒歩1分」を表すのだそうです。
まあ、それが販売側として一番伝えたいことなのでしょう。
いかにも長谷工アーベスト的な単純化アプローチですね。
別に米倉涼子を起用する必要は何もありません。
4つの数字をうまく表現すれば、十分に伝えられるでしょう。

最後にもうひとつ。もっともワケが分からん広告を紹介します。
物件名は「グランアルト越谷レイクタウン」。
まあみなさん、検索してオフィシャルページを開いてください。
鈴木福君が4角帽をかぶってポーズをとり
「地球を遊ぶ! 世界に学ぶ!」。
とてもマンションの広告コピーには思えませんね。
なぜこうなったかというと、街の環境作りにおいて
聞いたこともない国際的な賞を取ったのだそうです。
まあ、これから住む人にはほとんど関係ないし、
10年後に中古で売る時にも何の役にも立たないと思います。

トップページで大きく表示していることが、
物件の商品内容と離れれば離れるほど、売主はそのマンションを
「魅力の乏しい、売りにくいマンション」だと考えている証拠です。
3つ例を上げましたが、もっとも商品内容に近いのは・・・
まあ「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」でしょうか。
「TOKYO FIGHTER(東京ファイター)プロジェクト」は
「東京ファイター」といってから「7 3 2 1」の数字を出し、
その後でやっとそれが何なんなのか分からせるストーリー。
現実から遠いと思われませんか?
そんなの、最初から分かりやすくそういえばいいのです。
最後の鈴木福君に至っては論外ですね。消費者を舐めています。

新築マンションの販売用オフィシャルページというのは
それぞれに個性があってそれなりに楽しいものです。
でも、基本的には「情報を伝える」というのが一番の目的のはず。
その情報は、エンドユーザーの知りたいものであって、
売主が一方的に伝えたいものではないはずです。
まあ、お金をかけて作るワケですから、売主の言いたいことを
キレイに盛り込むことに異論は唱えません。
しかし、エンドユーザーが知りたい情報を隅に追いやったまま
言いたいことばかり言っているオフィシャルページが多すぎ。
多くのエンドユーザーはオフィシャルページでなく
ヤフー不動産やスーモで物件を比較検討しているのも頷けます。

参考レポート

「TOKYO FIGHTER(東京ファイター)プロジェクト」
については、こちらで詳しく解説
東京の大規模マンション
全解説29物件
価格 5290

「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」
についてはこちらで分析。
オリンピック開催で大変貌の予感
「晴海・勝どき・月島」
価格 4,490円

「グランアルト越谷レイクタウン」
については、こちらで解説
オハナふじみ野が新登場、浦和常盤ザ・レジデンスは・・
埼玉県の大規模マンション全17物件
価格 3,290

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/6/24 18:09 Comments (0)

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