たまには最新ニュースから統計の話でもしましょうか。
といっても私はネが私立文系のアホですから、あまり数字には強くありません。
あまり細かな突っ込みはご勘弁を(笑)。
ではまず、景気のバロメーターとして重視される新築住宅着工数。
先日、国交省から5月の数字が発表されました。
原文のまま引用すると
「5月の住宅着工戸数は、79,751戸(前年同月比14.5%増)、季節調整済年率換算値で102.7万戸(前月比9.4%増)。
・利用関係別にみると、持家、貸家、分譲住宅とも前年同月比で増加となっており、特に、分譲マンションについては、前年同月比33.1%増と大幅な増加となった」国道交通省発表資料
すごいですね。年100万戸というのはリーマンショック以前の数字。
これで日本もいよいよ本格的な景気回復?
ところで、海の向こうのアメリカでもこれはわりあい堅調に推移しているとか。
こちらはロイターのHPから引用します。
「5月の住宅着工件数は前月比6.8%増の年率91万4000戸となり、予想の95万戸に届かなかった。住宅着工10+ 件許可件数は3.1%減の97万4000件。予想の97万5000件を若干下回った」
アメリカは年率換算で91.4万戸。それでも、一応は「堅調」。
さて、もうお気づきですね。
「どうして日本の方がアメリカよりも年率換算の着工戸数が多いのか?」
中学生でも感じる疑問です。
国力をカンタンに比較してみましょう。
人口/日本 約1.2億人:アメリカ 約3.1億人
GDP/日本 約475兆円:アメリカ 約1568兆円(1$=100円)
人口は約2.5倍、GDPは約3.3倍。
なのに新築住宅着工数は日本の方が多い!
ちなみに、日本は人口が減っていますが、アメリカは増えています。
であれば、日本の新築住宅着工数はアメリカの半分以下でいいはずです。
どうしてそうではないのでしょう?
1 日本はまだ住宅が不足しているので多く作らなきゃいけないから?
1’アメリカはすでにたくさんあるからあまり作らなくていい。
2 日本の住宅は木造が多いので耐用年数が短いから?
2’逆にアメリカの住宅は頑丈だから長持ちする?
3 日本の住宅は狭いから戸数でカヴァーしている?
3’アメリカの住宅は広いから少なくてもいい?
まず、日本の住宅は全体で13%以上余っています。
数だけなら十分足りているので1番目の説明は的外れです。
あとのふたつは、少しずつ正解だと思います。
でも、それは一部で頷ける現象でしかありません。
近年の日本のあらゆる分野の住宅性能が
アメリカのそれに劣るとは思えませんから。
日本でこれだけ多くの新築住宅が毎年建設される最大の理由は、
単純に日本人が「新築好き」だからだと思います。
そして諸々の住宅産業が日本人の新築好きを煽っています。
住宅産業だけでなく、自民党政府や官僚組織も
企業や国民が新築住宅を建設したり購入することを奨励してきました。
その結果、日本全体では住宅が余っているにもかかわらず、
国力からすると分不相応ともいうべき数の住宅を毎年建設してきたのです。
もちろん、このバカな住宅大量建設のツケはいつか払わなければいけません。
というか、すでに地方や郊外住宅には住み手不在、買い手不在の
廃墟同然、あるいはその候補の家がウジャウジャあります。
今後、その「廃墟エリア」は徐々に都心に向かって進んできます。
今回の参議院選挙では、自民党が圧勝するようです。
株価もまた上がるでしょう。すると都心の高級住宅が売れます。
そして日本はまだ、高度成長期から引きずる持家優遇政策のままです。
もうそろそろこんな無駄なことはやめるべきです。
そのうち日本は、人の住まいない家ばかりが目立つ「空家の国」になります。
それでも今年100万戸、来年も70万戸くらいは作るでしょう。
そのうち、首都圏の分譲マンションは・・・・
夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.