あす開催する私のセミナーでは、当研究所が作るマンションレポートの
PDFデータをCDに焼きこんだものを廉価で販売します。
例えば、12900円で販売している「東京のタワーマンション全解説」が
5000円で買えてしまったりするのです。
参加費は2000円ですから、それ1枚買うだけで十分にモトが取れます。
まあ、そんなことはいいのですが。
それで、昨日そのレポートの一覧を作っていて感じたこと。
前回、レポートを販売するセミナーを開いたのは昨年4月。
その時の販売レポート一覧のデータをベースに、
中身を修正していたのです。
例えば、「千代田区総集編全26物件」というのを「全13物件」に・・・
都心の千代田区や港区、文京区などは物件数が大幅に減少。
千代田区は半分に。他もだいたい2割以上の減少。
どういうことかというと、去年はアベノミクスでマンションが売れに売れた。
ただし、都心だけ。神奈川も少し。千葉、埼玉はほぼ変わらず。
今、港区関連のマンションレポートを最新情報化しています。
赤坂エリアなんて、3か月前には5物件あったのに、今は2物件。
本当によく売れています。
ただし、中身にかなり差があります。
やはり完売が早いブランドは野村不動産の「プラウド」ですね。
野村は竣工が迫るとなりふり構わず値引きをします。
しかし、赤坂のプラウドなんて竣工のかなり前に完売。
多分、ほとんど値引きをしなかったはずです。
大和ハウス工業のプレミストとサンウッドのマンションが今も販売中。
大和ハウスは、関西風に言うと「どんくさい」会社です。
組織のガタイが大きすぎるのか、決断が遅い会社。
現場への権限移譲は進んでいるのですが、
価格の判断は上層部が握っているようです。
つまり、値引きへの舵を切るのが遅い会社。
だからかどうか、販売は長引く傾向にあります。
ブランズというブランドを展開する東急不動産、
ザ・パークハウスの三菱地所レジデンスや
パークホームズの三井不動産レジデンシャルも同様。
名門企業は値引きへの踏み出しに時間がかかります。
ブリリアで展開している東京建物は、
財閥系では一番判断が遅い会社ではないかと私は見ています。
そして、ほぼ値引きしないのが住友不動産。
この前のミニバブル相場をそのままに、いつまでも
「昔の価格」で豊洲や大崎のタワーを販売しています。
しかし、時々そのバカ高価格で買う客がいるから成り立っています。
傍で見ていると、販売会社が可哀そう。
今や昔日の勢いがなくなったライオンズマンションの大京。
ここは元々専業なので「売れなければ値引き」が当たり前。
竣工前にほとんど完売させる会社です。
大成有楽不動産は長谷工と組むことが多いので、近年は苦行中。
中途半端な大企業病に掛かっているようにお見受けします。
今やほぼ大和ハウス工業の子会社化したコスモスイニシア。
ここはかなり「頭のいい」会社。高偏差値校出身者が多いのが特徴。
営業力もありますね。販売が長引いているのをあまり見ません。
それでいて、大胆な値引きをしている様子もなし。
なのに経営が傾いたのはミニバブル時に調子に乗りすぎたせいでしょう。
商社系では住友商事が展開するクラッシィ。
ここはほぼ専業化と思えるほどのノウハウを持っています。
住商建物という専業の子会社を持っていますが、アタマは商事。
商社としてはかなり良くやっていると思います。
マンション開発事業というのは、たいしたノウハウがありません。
長谷工コーポレーションにくっついている電鉄系のように、
ただお金を出していれば2年後に2割増しで返ってくる、
という感覚で事業を行っている会社も多いですね。
私はあまり外国へ出かける人間ではありませんが、
日本の街並みを見ていると、かなり「デタラメ」さを感じます。
それぞれのマンションが好き勝手にデザインされています。
それでいて、ほとんどが建造物として無個性です。
まあ、効率重視といえばそれまで。
この国は約70年前の敗戦によって、住宅がかなり不足しました。
数百万戸も足りない状態が何十年も続いたのです。
だから「できるだけ安く、たくさん作る」ということが必要でした。
ところが、それはもう昔の話です。
今は、逆に住宅が余っているのに、無個性なマンションを作り続けています。
多くの人が、必要もないのに大金を投じて住宅を購入します。
住むところ、というのは人間にとってかなり必要。
そこにお金をかけることは悪くないのですが、
そろそろ「量から質へ」という感覚を持つべきではないかと思います。
マンションも「容積率消化」から入るのではなく、
「造形物として美しさ」を基本とするプロジェクトが、
全体の10%でも出てくると、この国の都市風景は
随分と違ったものになるような気がします。
まあ、私が生きている内にはそんな光景には出会えないかもしれません。
これからの時代、新築マンションは広さや間取りだけでなく、
建物やコミュニティとしての「デザイン」を問われるのではないでしょうか?
やたらと共用施設を豪華にするのは、ただの成金趣味です。
業界のリーダー的な存在である三井、三菱、野村、住友、東建さんたちには
ぜひともそちら面で模範を示していただきたいものです。
多分、その先駆けになるのは野村さんだと思いますが。
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