動物というのは、個体が増えすぎて種の存続が危うくなるのを
自ら感知すると、自動的に増殖を抑制して個体数を減らす・・・
という話をどこかで読んだような覚えがあります。
ひょっとして、今の日本人はコレを実践しているのでしょうか?
昨日の大きなニュースで、896もの自治体が2040年に
消滅の危機を迎える、というのがありました。
ずいぶんとハッキリいっちゃったものです。
2040年と言えば26年先。もしかしたら、まだ私は生きているかも。
豊島区が消滅の危機を迎えているところなど、
出来ることなら見たくありませんね。
国民が餓えているわけでもないのに「人口が減る」というのは、
生物的というよりは社会的な要因がほとんど。
非常に直接的なことを言えば「女性が子どもを産まなくなった」。
もう少し間接的な見方をすれば、若い人たちが結婚しなくなった。
あるいは、結婚しても2人以上の子どもを作らなくなった。
さて、久しぶりのそもそも論でも致しましょうか。
なぜ、女性が子どもを産まなくなったのか?
多くの女性は子どもを欲しいと思っています。
出来ることなら、2人でも3人でも育ててみたい、
という女性は全体の半分以上ではないかと想像します。
私が子どもの頃には3人兄弟以上はザラ。
むしろ一人っ子の方が珍しかったですね。
それが今では完全に逆転。一人っ子だらけです。
さらに、子どものいない夫婦もザラ。40代以上の独身者もザラ。
私が住んでいる東京では、なおさらこの傾向が強いはず。
まず、結婚や出産、子育てということを若者が避けています。
なぜなら、それってとても「しんどい」ことだから。
そんなことをしない方がラクに決まっています。
昔は、そういう「しんどい」ことを厭いませんでした。
また、さほどのお金もかかりませんでした。
貧乏を恥としない価値観も、世の中にある程度根付いていました。
日本全体が貧しかったので、あまり目立ちもしなかった。
小さな家に大家族が住んでいるのなんて、当たり前の光景でした。
今はそれがテレビ番組のネタになるくらい珍しいこと。
さて、出産や子育てが「しんどい」というのを、
カンタンに言えば「お金がかかりすぎる」。
つまるところ、これが一番の原因だと思います。
東京に限った話をしましょう。
小中を公立で、都立高校に進めば費用も格安。
今はほとんどタダみたいなものです。
問題は大学。国立や公立の大学は定員が限られています。
大学進学希望者の中で、上位数%分しかないはずです。
あとは、自分の偏差値にあった私立を選ぶしかありません。
文系なら4年間の学費がおおよそ500万円から600万円。
まあ、これだけなら普通のサラリーマンの家庭でもなんとか。
でも、二人までですよね。3人は無理。
ところが、高校と大学は受験しなくては入れません。
受験技術を磨くためには公立中学と都立高校の
授業だけではちょっと心もとないところがあります。
多くの生徒が予備校や塾に通うことになります。
この費用が年間100万円弱。中学2年間、高校2年間で計400万円。
つまり、普通のコースを経てマーチくらいの大学を卒業するのに、
安く上げたとしても1000万円はかかることになります。
世帯年収1000万円くらいの家庭なら2人が限度ですね。
もし、中学受験からやらせるとすれば一人がせいぜい。
塾も予備校も経ない場合、マーチレベルの大学に入るのは非常に困難。
個人の資質にもよりますが、ニットウコマセンに甘んじることになります。
因みに、世帯年収1000万円以上は全体の4%弱です。
その他96%超はどうしていらっしゃるのでしょう?
教育にお金がかからないようにすれば、出生率は確実に上がります。
そもそもは、そのために今の公立小学校と公立中学ができました。
都立などの公立高校も敗戦後の成長期に急激に整備されました。
だから、お金を掛けずに何とか都立高校までは可能です。
しかし、公教育は中身が良くありません。年々悪化している印象。
受験がある限り、受験産業が伸張し、高コストが強いられます。
受験をなくす方向は、70年代の革新都政で大失敗しました。
受験を経ないで大学に進んだ人間は、
社会人として脆弱だと指摘する声をよく聞きます。
超大手企業の人事担当者が「AOと推薦は採らない」と
明言しているのを実際に聞いたことがあります。
今、捏造事件で話題になっている理研のO嬢もAOだそうで。
この社会から競争を無くすことは、緩やかな自殺と同じです。
そのことは20世紀に社会主義国が多大な犠牲を払って
全人類に実験結果を示してくれました。
我々は、競争社会に生きることを避けられません。
社会に出るまでに、勉学で頭を鍛えることは必要で、
その上手下手で人間を振り分けることは、ある程度仕方のないこと。
今まで人類が編み出したもっとも効果的な能力判定法です。
ただ、私は常々思うのですが、今のように高校を出た18歳人口の
8割までもが大学や短大、専門学校に進む必要があるのでしょうか?
マンションや車のセールスマンになるのに、大学で学ぶ必要があるのか?
広告代理店の営業が大学卒である必要はほとんどないはずです。
居酒屋やラーメン屋を始めるのにも、大卒である必要はありません。
というか、ほとんどの大学はそもそも自校の学生に
キチンと学問を教えているのでしょうか?
「君の卒業論文の内容を5分で説明して」
面接でこの設問に上手に答えられる私立文系出身者は、
全体の何割くらいいるでしょうか?
国際的にみて、日本の教育費の個人負担はかなりの高水準。
教育にお金がかからないようにするには、これを下げるしかありません。
例えば、都立高校なら進学コースと就職コースに
もう一度はっきりと分けるべきでしょう。
進学コースなら、予備校に通わなくても受験技術が磨けるようにする。
偏差値50未満の私立大学へは、補助金を打ち切りましょう。
新設を認める必要もありません。18歳人口は減り続けますから。
学問をするつもりのない18歳の若者は、どんどん社会に出すべきです。
ダメ大から引き揚げた補助金を、キチンと学問を教える大学に回し、
学問をやりたい学生への奨学金にすべきです。
今の大学受験偏差値60以上で、家が貧しい学生には全額負担くらいの
積極的な奨学金制度を整えるべきです。
「子どもが勉学に励めば大学に行ける」という環境が整えば、
学費の負担を恐れる若い女性はもっと子供を産むようになります。
今の奨学金制度はあまりに硬直的で額が少なすぎ。
成績の上位15%くらいまでは「負担ゼロ」くらいの制度を整えるべきです。
教育面においての不安は、この強力な奨学金制度で何とか除去できます。
次は、いよいよ住宅です。長くなりますので、これはまた別の機会に。
レポートの更新情報です。
このレポートに収録されているマンションは、 ■AQUA VISTA(アクアヴィスタ),■アトラス調布,■ヴィークグラン世田谷千歳船橋,■オーベルグランディオ千住大橋エアーズ,■オハナ八王子 オークコート,■グランドヒルズ三軒茶屋,■クレヴィア豊田多摩平の森 RESIDENCE,■クレストガーデンレジデンス,■グローブアベニュー国立,■ザ・ガーデンズ西葛西,■ザ・パークハウス 上鷺宮,■桜上水ガーデンズ,■シティテラス加賀,■シティテラス板橋蓮根,■スカイティアラ,■ソライエ・プレミアムテラス,■パークプレミアム メイツ西新井,■東綾瀬公園ハイライズ,■広尾ガーデンフォレスト椿レジデンス,■フォレストヴィラ吉祥寺南,■プラウドシティ仙川,■ブランズシティ品川勝島,■Brillia(ブリリア)ときわ台 Solaie Residence,■ミッドプレイス八王子,■レジデントプレイス西葛西,以上の25物件を収録
前回は29物件でした。
「買ってもいい」カテゴリーが勢いよく売れています。
5物件減って、1物件増えました。
逆にダメな物件はダメ。
ただひとつ言えるのは、郊外はあまり変わらない、ということ。
アベノミクスでバブル化したのは都心とその周縁。
郊外の庶民層はちょっといいくらい。
このミニミニバブルも、そろそろ峠が見えてきた気がします。
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まろたんさん、こんにちは。
本当に深刻な問題です。
まろたんさんは逃げ切れるかもしれませんが、
私は26年後にその光景を眺め、
当事者になっているかもしれません。
今直ちにアクションを起こしても・・・
どころか、この危機を正確に理解していないばかりか、
何のアクションを起こそうともしていません。
やんぬるかな。
題難民が押し寄せることになれば、
東京の人口は大きく減ることはないでしょうが、
中身が劣化しそうですね。
道徳もさらに衰えるでしょう。
今でさえ嫉妬ブタがはびこっているのに、
そんなのばかりになればこの国は終わりです。
しんどい話です。
ではまた。
ごきげんうるわしからんことを。
榊淳司
2014/05/10 17:45 | by Sakaki Atsushi榊淳司 さま。
「人は石垣、人は城」
と、古来、言われております。
国家の成立も、また国民そのものであります。
人口問題の専門家グループである日本創生会議の増田寛也氏が、2040年の人口構成について公開・提起した人口問題は、
言葉を失うくらいの深刻なものであります。
今、この国の地方の小さな町が、年寄りを中心に成り立っている
ことは、じっさい町の中を歩いてみると実感できます。
町の駅前通りは、日中でも人影なしガラガラです。
人で混んでいるのは、病院と介護施設だけ。
去年、私は或る地方の、人口4万人ほどの町を3か所訪ね、
一日、精力的に歩き回りました。そして、
増田寛也氏の統計調査・予測を見るまでもなく、確信しました。
このままでは近い将来「ポシャルな」と。
増田寛也氏らが予測する、そう遠くない日本の姿「極点社会」。
地方の小さな町の年寄りが、やがて減り、また消える。
と、地元では仕事がなくなり、カネが回らなくなる。
若者は、仕事を求めて、東京などの大都会に移動する。
戦後二度目の民族大移動が起き、人が消えた地方は消滅する。
これが25年後、2040年の、地方の多くの町での惨状。
以前、地方社会で生きる「ヤンキー」の話が出ていましたが、
地方に仕事が減り、カネが回らなくなったとき、
それに依存・寄生するヤンキーライフが、もつわけがない。
彼ら、自給自足しますか、できますか。
彼らに、そんなパワー、スキルがありますか。
ひとたまりまないことは、論を俟ちません。
そして、津波のように大都会に流れて来ます。
それしか生きる道がないから。
新しい「大難民」です。
東京などの大都市は、大難民の吹きだまりとなるでしょう。
ひとつ間違えば「スラム」ですよ。
どこの国でも、大都市にスラムは、定番ですから。
今後も日本の経済成長は停滞する中で、カチマケは強固になり、
日本の社会・経済の二極化は、更に進んでいるでしょうから、
吹きだまりでは、アチコチで、もう「蹴り合い」ですよ。
私は団塊で、平均寿命から言えば、残り15年。
いわゆる「2025年問題」を乗り越えられるか、どうか。
「蹴り合い」だけは避け、逃げ切りたいものですが・・。
榊さまは、もう少しありそうですね。
この問題は、あまりにも大きく、かつ長期、かつ、
日本の、また全ての日本人の、社会・経済・生き方などの、
根底基盤からの激変を覚悟しなければならない、ことでしょう。
今、この問題の対処・対応に失敗した場合、
もはや、この国には「没落」しかありません。
なぜなら、今直ちにアクションを起こしたとしても、
実効が上がるのは、20年、30年先ですから。
人口問題の深刻さは、ここにあります。
どえらい「カントリーリスク」ですわ。
ほんま、まったナシですよ。
しんどい話になり、恐縮です。
続きは、また。
ごきげんよう。
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