相続税対策にタワーマンションを買うリスク

首都圏では年間5万戸くらいの新築マンションが供給されています。
1戸5千万円として、総額2.5兆円。たいしたことないですね。
日本には個人の金融資産が1500兆円ほどあると言われています。
こっちはスゴイ。首都圏の新築マンションを700年買い占められます。
まあ、そんな使い方はされませんが(笑)。

それにしても、日本人はお金持ちです。
最近、それをヒシヒシと実感しているわけです。
何といっても、都心のマンションが売れに売れています。
港区なんて、よさげなマンションは見事に売れ尽しました。
今残っているのは、ハッキリ言って「売れ残り」。
まだ買ってもいいマンションはほんの少し残っていますが、
それを見分けるのは至難の業。難しい時代です。

2年前まで、全然売れていませんでした。
湾岸のどうしようもないタワーマンションを支那人に売っていました。
港区のマンションも、支那人が「買う」と言えば売っていました。
今、日本人も買っています。相続税対策が結構あるようですね。

そもそも1500兆円もある金融資産です。
金融資産というのは、マンションと違ってリアルタイムの換金性があります。
相続した場合の評価額は、限りなく時価に近いものになります。
それを、税法の網の目で安く見せてしまうのがタワーマンション。
都心近郊のお金持ちとその子どもたちは今、
目の色を変えて都心のタワーマンションを漁っています。

まあ、それもいいでしょう。
しかし、そういう資産移転の前提は、購入したタワーマンションが
原価に近い値段で換金できることが絶対の条件。
私から見れば、そこでちょっとリアリティが薄まります。

例えば、相続してから数年後にタワーマンションを売却した時、
購入額より3割ほど安くなっていた場合、
その減少幅が相続税を払うより大きい場合は・・・意味なし。
節税するには、そのタワーマンションを
ある程度長期に保有することになりそうです。
買った人が直後にお亡くなりになれば別ですが。
その期間、価値が変動するリスクを背負うことになります。

それでも、多くの人がタワーマンションを買っています。
ほとんど、自分で住みもしないのに。実に歪な需要です。
マンションデベロッパーは、売れさえすれば作ります。
たとえ、支那人や相続税対策の富裕層が
資産維持のために買うだけのタワーマンションでも。

ちょっと異様ですね。
イギリスでは、タワーマンションに対する厳しい規制があります。
あれは「健康に悪い」というのがベースにあるようです。
日本人は、それを喜んで高額で購入します。
「何とかと煙は高いところに登りたがる」のです。
不動産業界は自民党の有力な支持基盤です。
彼らに都合の悪い政策は採用されないし、知見は表に出ません。

今の都心部のあまりに好調なマンション需要は、
相続税対策のような片寄った仮需要に
支えられているのではないかと思っています。
住まいとは、結局住むための器にしかすぎません。
ところが、都心部のマンションは半ば以上に金融資産化しています。
つまり、換金性を前提に取引されています。売れることが基本。
その流通システムがしっかりしている限り、それも致し方ないと思う他ありません。
資本主義という悪魔が作り上げた強固な虚構です。

しかし、実需の伴わない近郊や新興の湾岸では、その基盤は脆弱。
そこに実際の住処を求めて限りある資産をはたいた中堅所得者に、
やや重めのリスクをヘッジしてしまっています。
ハッキリ言って、それが今の有り様ですね。

分かりやすく言いましょう。
都心のタワーをはじめとしたマンションは値下がりしにくい傾向にあり、
郊外や新興の湾岸エリアは今の「ブーム」が終れば暴落の危機。
それは、遅くともオリンピックの後にやってくるでしょう。
わずかに、あと6年後。

鉄筋コンクリートのマンションというのは、うまくいけば寿命は100年。
普通の人は少なくとも20年、30年という視点で選びたいものです。
どうも、今の東京はそういう面では不穏ですね。
迷ったら賃貸でもいいと思います。
それは最善の策ではなくても、少なくとも次善ではあると思います。

さて、今週販売されている週刊FLASHとサンデー毎日に
私のコメントが掲載されています。
FLASHの「限界マンション! 住んだら地獄」シリーズは
当初3回の予定が7回まで延長されましたが、一旦終了。
サンデー毎日は単発企画。題名も中身もいい。
「消費税増税時代の首都圏マンション選び 鉄則10カ条」

本紙6月8日号_5月26日発売カラー(

flash_20140527さて、レポートの更新情報です。
今回は杉並区。
私も若い頃に阿佐ヶ谷に住んでいました。
何とも肩ひじ張らずに住める街。それでいて品もあります。
マンションはちょっと高いですね。でも探せば掘り出し物もあります。

杉並区・総集編
価格 4,890

今、杉並区内では3物件のパークホームズが販売中。
174戸と大規模なパークホームズ杉並和泉ザレジデンス。
立地条件に優れたパークホームズ西永福。
まさに静寂の環境が魅力のパークホームズ浜田山四丁目。
その他にもBrillia(ブリリア)久我山やブランズ富士見ヶ丘などの注目物件も登場。
まさに玉石混淆の市場となった杉並区。
どの物件を買うべきで、どの物件は避けるべきか?
マンション市場を27年間見つめてきた榊淳司が、100%消費者側に立った視点で
各マンションのメリットとデメリットを診断。その資産価値を評価する渾身のレポートです。

■パークホームズ杉並和泉ザレジデンス,■パークホームズ浜田山四丁目,■パークホームズ西永福,■Brillia(ブリリア)久我山,■ブランズ富士見ヶ丘,■グローリオ永福町和泉,■ローレルコート笹塚,■シティテラス西荻窪,■ジオ杉並高井戸,■アトラスヴェール荻窪三丁目,■プレサンスロジェ 荻窪桃井 THE PARK,■プレシス杉並和田グランテラス,■アイム・シティ荻窪,■レジデンシャルステート中野富士見町,■パレステージ阿佐ヶ谷,以上の15物件を収録

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2014/5/29 15:20 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

「サ高住」は私もよく調べましたが、
需要と供給がうまくマッチングしていない印象です。
役所はこれを高齢化対策の柱にしたいようですが。
介護需要に対して簡易に対応できるので、
今後は普及していくと思います。
ただ、需要がある所に作らないとダメ。
今のように新築一辺倒ではなく、
既存の集合住宅を改造する方向がいいと思います。

このまえご教示いただいた「患者と語るガンの再発・転移」が
手元に届きました。これから読みます。

栗本氏の本も手配します。
また、いろいろ教えてください。

榊淳司

2014/05/31 12:15 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

相続税対策と不動産は、古典的定番の組合せです。
が、ご指摘の通りバブル気味の今、不動産の選択を誤ると、
ババ掴み、となるやも。
山高ければ、谷深しと。

相続税対策と言えば、「サ高住」も盛りだとか。
ご存じと思いますが、
「サ高住」とは高齢者向の賃貸住宅の、俗称・略称です。
国交省の肝煎りで、これを建設すれば、
一戸当たり100万円の助成金が、給付されるそうです。

住宅建設会社が、土地持ちの高齢者に対し相続税対策として、
この助成金を提示し「サ高住」の建設を勧誘しているとの
新聞報道を、数か月前に読みました。

記事が伝えるには、建てたはいいが、部屋が埋まらないと。
空室が多く、地主は銀行借入れで建設しているため、
返済に難儀しているケースも多いと。
ま、ありがちな、古典的トラブルですね。

このような現状があるにも拘わらず、更に、
国交省は向こう10年で、60万戸の建設を目指している、
と、記事は大きな懸念を書いていました。

この制度は、つまり住宅建設会社と銀行のためにあるような・・・。

さて、栗本慎一郎さんの「脳梗塞」の闘いについて。
栗本さんは1941年生まれですが、
1999年・59才のとき突然、脳梗塞で倒れたと。

それから怒涛のリハビリに突入しました。
が、主治医も、担当の理学療法士も頼りなく、
彼はリハビリの方法を自分で考え、工夫し、あみ出して、
回復に至ります(もちろん完全復帰ではありませんが)。

その全貌は、著書、
「脳にマラカスの雨が降る・脳梗塞からの生還」(2000年刊)
に書かれています。
私が学び有益だったことは、
「糖尿病」は「尿に糖が出る」と書きますが、
この名称は、糖尿病の本態を表していないし、
誤解を招く名称である、と言うことです。

糖尿病の本態は、ズバリ「血液の中の糖が濃くなり」
「その糖が、脳・心筋・腎臓・網膜などの血管を傷つける」
ことによって、身体各部に病気が発症すると言うことです。
つまり、例えば脳の血管ならば脳梗塞に、とかですね。

栗本さんは、それまで糖尿病で治療中だったそうです。
数値は明示されていませんが、血圧も高かったそうです。

糖尿病は、遺伝的要因が「かなりある」と言うのが、
現時点での医学的な知見です。
親兄弟に糖尿病の家族歴のある人は、高リスクです。
私はいませんが、年齢的に食事には気をつけています。

食事、つまり「糖質」の食材は、出来るだけ少なくする。
「糖質」の食材とは、ごはん、パン、めん類などなどの、
いわゆる「炭水化物」ですね。
この「炭水化物」が「糖になる」のですから油断禁物です。

榊さま。
お仕事の合間に気が向きましたら、上述の本を、どうぞ。
私には、とても有益な一冊でした。

この本の中で、栗本さんは書いています。
「ガンも怖いが、脳血管疾患も、身体的な障害が残り、
シリアスである」

また、こうも書いています。
「生と死は、常に反転する」と。
生死の淵を覗いた人の、もって瞑すべき言葉ですね。

ごきげんよう。

2014/05/30 20:19 | by まろたん

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