人手不足は景気を回復させるか?

「人手不足」というのが、今後10年間の日本経済を見るうえで
重要なキーワードになりそうです。
この世界も需要と供給の関係ですから、賃金は上がります。
といっても、中高年の賃金は据え置かれたままか、下降でしょう。
若い人の、比較的単純なお仕事の賃金が上がりそうです。
建設現場、飲食店、流通業、運送業などの賃金があがり、
ホワイトカラーの年功序列分が削ぎ落されるのです。

30代から40代の半ば過ぎまで、私は人を雇っていました。
ボーナス時期は大嫌い。貰うのではなく、払う立場だから。
自分はサラリーマン時代に一度もまともなボーナスを貰わなかったのに、
雇った社員にはそれなりに払わなければいけません。
なんと理不尽な! と思っていました。

その頃、だいたいが就職氷河期。
私のところみたいな零細弱手企業も、募集広告を出すとわんさと
応募者がやってくるのです。
新卒も採用していました。新卒はいいですよ。
グラフィック広告なんて、底の浅い世界ですから
給料分以上に稼げるようになるまで3カ月もかかりません。
2,3年で立派な一人前になります。但し、人選を誤らなければ。

ところが、人材が売り手市場になると厄介。
お金をかけて募集しても、ロクな人材が集まらないのです。
私のスキルはコピーライターなので、そこを大いに活用。
自分の会社を短い文章でさんざん褒めあげるのです。
それも、多分に客観的に。これで随分違いましたね。
同業他社よりも多くの応募者を得られました。
他社の募集をお手伝いしたこともありますが、わりあい上手くいきました。
コピーライティングというのは、業種を問わないようです。自慢(笑)。
人材募集広告でお困りの会社さんは、ひと声かけてくださいね。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、
これからの日本経済は常に人手不足に悩まされそうな気がします。
抜本的な解決策はありません。
不幸中の幸いなのは、失業率は高いよりも低い方がいい、ということ。
働く気がある人に職場を提供できるのは良いことです。
ただし、マッチングがうまくいっているかどうかは別。

これでますます年功序列社会が崩壊するでしょうね。
働かないでも高級を侍るオッサンたちの居場所はどんどん狭まります。
それって、とてもいいことだと思います。
同一労働に対しては、同一賃金であるべきです。
長く会社にいるだけで、高級を取れる社会は終わりにしましょう。

たいしたスキルもないのに会社に居座っている
オッサンたちにとっては、生きにくい世の中になります。
ただ、同情は致しません。スキル向上をなまったのは本人。
我々は競争社会に生きています。

この世の中、一瞬先は闇ですね。
ベネッセやマクドナルドと言えば、少し前まで超優良企業。
それがちょっとした事件で企業存廃の危機に立っています。
いずれも、同情すべき事案ではあると思いました。

最近あるお金持ちからお聞きした身近な方のお話。
90歳を過ぎたあるご婦人。夫に先立たれて一人暮らし。
孫も40歳になるけれど、パラサイト。いまだひ孫はできず。
まあ、それはいいのですが、子どもが面倒を見てくれません。
昔は誰もが知る大企業の社長夫人で大金持ち。
先だった旦那が残してくれたのがJLと東京電力の株。
ほぼその配当だけで何十年も暮らしてきました。
でも、2社ともあの通り。今は何も残っていません。
自宅のマンションも売却しようか・・・なんて。
まだ、売れる場所にマンションをお持ちだからいいですね。
郊外だったら、さらに悲惨なことになります。

お金持ちでさえ、先のことは分かりません。
お金もないし、スキルもないオッサンには未来もないですね。
かといって、時給があがりそうな若者には未来があるでしょうか?
時給が多少上がっても、低所得者から脱出できるわけでなし。
まあ、職が無いよりもマシというだけ。

政府も日銀も、各メディアもしきりと景気回復を言います。
でも、実際のところはかなり怪しい感じがしています。
円安が定着しているのに、輸出が減っているとはどういうこと?
若者の時給が多少上がったところで、
消費者全体の購買力はたいして伸びないはずです。
その分、オッサンたちの給料が減れば同じこと。
人手不足は、結局のところ景気にさらなる
悪影響を与えるように思えます。
好影響を受けるのは失業率だけではないでしょうか。

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2014/7/28 16:41 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

暑いですね。
冷房嫌いの私が冷房を入れています。

人手不足は深刻です。
これから多くの介護要員が必要になるので、
さらに悪化する可能性があります。
コンビニに行っても店員は外国人だらけ。

おっしゃる通り、低所得者の可処分所得は減っているはず。
でも、富裕層はほとんど影響を受けていません。
富める者はさらに富み、貧しきものはさらに窮します。
景気はよくなっていませんね。
五輪の宴が来る前に失速するのではないでしょうか?
こんなことが6年も続くとは思えません。
まあ、世界は全体的にバブっていますけど。

榊淳司

2014/07/29 15:28 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

ここに至りニッポンは人手不足であると。
が、実態は地域限定、かつ職種限定のようです。
地域は、東京と東北震災地。
職種は、ガテン系とIT技術者で、他には
宅配便ドライバーと飲食店員、などと聞きます。

このように列挙してみて、考えます。
足元の人手不足は、果たして「構造的」なものかと。
東京五輪と震災復興が終わった暁には、余剰では?
ガテン系にIT技術者は大失業になるのでは?

ドライバーも店員も、当面は増員で乗り切りつつも、
同時に業務の合理化を思案するのでは。
人手不足を、ただ増員と賃金アップで対応するだけが、
ビジネスの経営者ではないでしょう。

そのように考えてみますと、現下の人手不足は、
果たして「構造的」なものかと。
そうたやすくは、読み切れません。

インフレねらいのアベノミクスですが、
物価上昇すれども、国民大多数の可処分所得が低空飛行では、
消費・購買の「数量」が減ってしまい、単価x数量の、
売上金額的には、伸びるどころか悪くすればダウン。

ペシミスティック?
ですが、現実味あるものとして想定内リスクでしょう。
アベちゃん。
第一と第二の矢は、所詮、時間稼ぎに過ぎません。

「宴のあと」

三島由紀夫の小説ではありませんが、
アベノミクスと東京五輪の「宴のあと」の、
大失業者の群れと、百年の虚脱感。

二〇年以上もむかしの、或るタレントのギャグ。

> たのしい夢、見させてもらったよ。アバヨ!

なんてね。

みなが浮いてるときは、思いっ切り「冷やしダマ」を。(笑)

ごきげんよう。

2014/07/28 21:57 | by まろたん

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