5年くらい前に「年収200万円からのマイホーム戦略」という本を出しました。
私にとって、初めての著書。いささか嬉しかったです。
あの本で書いたことは
「住まいというのは資産価値ではなく使用価値で選べる」ということ。
「住む」という機能性だけで考えれば、
今の時代、マイホームは数百万円でも手に入ります。
もちろん、都心へ通勤できる範囲内で。
ところが、「いつか売る」かもしれない。
あるいは「便利な場所に住みたい」とか、
「カッコイイ街に住みたい」といった志向性があると、
とたんに購入予算は数千万円にアップしてしまいます。
私は当初、この「榊淳司」の活動を始めるときに、
年収600万円から800万円のマンション購入「一次層」を想定しました。
30代で初めてマンションを買う、といった方々です。
20数年、マンションの広告ばかりを作ってきましたが、
一番ボリュームが大きいのがそういう方々。
だから、彼らを主要な読者に想定したのです。
しかし、私の目論見は大きく外れました。
私に寄せられるマンション購入についての無料・有料のご相談。
そして、セミナーに来て下さる方々。
そのボリュームゾーンは一次需要層ではなかったのです。
では、どういう方々か?
何度か書きましたが、ご予算は5千万円から1億くらい。
あるいは、単身女性で4千万円から6千万円。
この2つの層で、全体の8割くらいを占めるのではないでしょうか。
つまり、当初想定した一次需要層は完全なる少数派。
マンション購入を使用価値ではなく資産価値で選ぶタイプ。
したがって、あの本は思うほど売れませんでした(笑)。
それで、そういった方々がご相談にお見えになると
「できることなら山手線の内側で探した方がいいですよ」
みたいなことを申し上げます。
なぜなら、資産価値がすこぶる安定しているからです。
昨日も、某週刊誌の編集者とライターが取材にやってきて、
本題以外のよもやま話もたくさんしましたが、
同じようなことを申し上げました。
この国の住宅の価値は人口の減少とともに、棄損していきます。
すでに、地方や郊外僻地では「値段が付かない」という
現象が起きています。
「実家の処分」ということが、50代上京組の悩みになっていますね。
今後、この現象は徐々に都心に向かって輪を縮めていきます。
「オリンピックが来るまでは大丈夫」というのは、ただの寝言。
オリンピックは多くの外国人観客を呼び込みますが、
彼らはお祭りが終わると帰っていきます。
オリンピックがあるからと言って、出生率は高まりません。
競技施設がたくさん建設されますが、終われば大半が取り壊し。
それも、たった6年先の話です。
そのころから、東京でも人口減少が始まるのです。
住宅の価格は今以上に下落していきます。
今のミニバブルで都心のマンションの価格は上がっています。
私から見て、本来の実力以上に上がりすぎているエリアがいくつか。
ひとつは、オリンピック競技場周辺の江東区湾岸エリア。
さらに、オリンピックにはほぼ関係ないのに上がっている港区湾岸。
港南や芝浦をアドレスとするエリアです。
そして、世田谷。坪単価は400万円に迫っています。
東京以外では、仙台市内。そして京都市内の御所周辺。
野村が坪370万円なんて破格値で売り出そうというマンションがあります。
こういった「ミニミニバブル下駄履き価格」エリアでの
マンション購入はかなり要注意となってきました。
そんな中で「高いけど仕方ないか」となるのは、やはり山手線の内側。
南部では坪単価400万円台半ばが相場観。
北部でも300万円台中後半が当たり前になっています。
2年前よりも100万円ほど上がっている感覚ですね。
これも、いずれ下落局面はやってきます。
ただ、山手線内側の場合、下落カーブはそんなに激しくないはず。
だから今の高値で買うのも「仕方ないかな」と思えるのです。
もちろん、待てる方は待つべきです。最長7年後まで。
その間、賃貸相場は先行して下落するでしょうから、
お好きなところにお住まいいただけるはず。
その山手線の内側というのは、面積にして東京都の3%。
そのうち、皇居や新宿御苑、神宮外苑などもありますから、
実質2%もないのではないでしょうか。
狭いと言えば狭いのですが、だからこそ価値があります。
でも、高いですね。
「じゃあ、年収600万円の私はどうすればいいの?」
そういった方にも、答えはあります。
このミニミニバブルの影響をほとんど受けていないエリアが
東京都心の近郊にもまだあるのです。
デベロッパーが価格を上げたくても、競合物件が多過ぎて
上げるにあげられない、というエリア。
それはどこかと言われれば・・・川崎市川崎区。
JR東海道線の南側のエリアです。
行ってみると分りますが、結構開発余地の残されたところ。
だから、大きなマンションが次から次へと出てきます。
しかし、駅に歩けるところは限られているので、大半がバス便。
もしくは京急の大師線。でも、これは京急を利用する場合はわりあい便利。
このエリアでは、板状型の大規模マンションが坪単価160万円。
リヴァリエのようなタワーマンションが180万円から190万円というのが
現在の相場観なのです。なんと、山手線内の半分かそれ以下。
確かに支線やバス便というハンディはあります。
でも、使ってみるとそれほど不便さを感じないはず。
朝のバス便なんて、ほとんど待ち時間がありません。
つまり、通勤・通学には便利なのです。
ゆりかもめや舎人ライナーよりもストレスが少ないかもしれません。
「でも、将来値下がりするのでは・・・」
はい、それはします。10年で半額になるかもしれません。
でも多分、20年後でも30年後でも、今の郊外遠隔地みたいに
「値段が付かない」なんてことにはなりません。
なぜなら、都心への絶対距離が近いのと、東海道線沿線だから。
よくセミナーなどで話すのですが「どこの沿線がよいか?」と
聞かれれば、それはもう圧倒的に東海道線です。次に京浜東北線の東京以南。
山手線を除くと、この2つに勝るものはありません。
それも、東京と横浜の間。当然「川崎」も入ります。
二子玉川や吉祥寺、自由ヶ丘、青葉台みたいなところは、
街に「はやりすたれ」があります。
今はよくても20年後は多摩センター程度になっているかもしれません。
しかし、東海道線という大動脈の沿線には、
人気以前の絶対的な交通利便性というものがあります。
だから、東京、横浜、名古屋、大阪が大都市である限り、
沿線の不動産価値がゼロになることはあり得ないのです。
一方、川崎市内でも危険なほど価格が上がったのが武蔵小杉。
駅周辺エリアのタワーマンションは、坪単価300万円超が当たり前。
なぜ、東横線の方が東海道線より高いのかというと、
うまく説明できる理由がありません。
言ってみれば、時の勢い。バブルです。だから危険。
冷静に考えましょう。
渋谷へ出るのに電車に乗らなければならない武蔵小杉と
銀座へ歩ける勝どきのタワーマンションが、同じ価格帯。
どっちかを選べと言われれば、後者でしょう。
まあ、それが市場というものです。
こういった歪みは、短期間では是正されませんが、
中長期的に見ていれば、必ず納得できるものになるはず。
さて、レポートの更新情報です。
川崎市の、このふたつのエリアについてのレポートを最新情報化。
対照的なところが面白かったですね。
■シティタワー武蔵小杉、■クレストフォルム武蔵小杉ブライトコート、■クリオ武蔵小杉アーバンテラス、■ルフォン武蔵小杉 今井仲町、■シティハウス平間ステーションコート&レジデンス、■ナイスエスアリーナ新川崎、■プラウドシティ新川崎、■クレストレジデンス新川崎、■ナイスサンソレイユ日吉、■パークタワー新川崎、■ザ・パークハウス 新川崎、■ソラシア新川崎、■クレストシティアクアグランデ
■セントラルプレイス川崎、■センター川崎マーク・レジデンス、■クリオ川崎サウステラス、■カサーレ川崎ネクシア、■マークウィング川崎、■グレーシアシティ川崎大師河原、■リヴァリエ、■シティテラス川崎鈴木町ガーデンズ
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まろたんさん、こんばんは。
麗らかな休日が終わりました。
しかし、小渕経産相の辞任で明日からはひともめきそうな気配。
株式市場も不安定ですね。
晩飯を作っていたら、懇意の週刊誌記者から電話。
「榊さんの感覚で、何か気になることはありませんか?」
ネタが欲しい、というので先週はドバっとメール。
その前も、私と飲んでいた時に話したネタで
6週間も連載シリーズをもののしたもので、
すっかり「ネタの玉手箱」化しています。
私のように、世間を斜めから見る人間からすると
東京の未来は徐々に暗くなります。
特に、五輪宴会の後はまた、あの民主党政権時みたいな
暗くて閉塞感の漂う時代になりそうな気配。
それを打開する方策は、何も見つかっていませんからね。
住宅の価格が安くなることはいいことです。
次は、教育にお金がかからないようにすべきです。
これはずっと私が言い続けていること。
住宅産業と教育産業は傷つきますが、
日本をよみがえらせることができるかも。
まあ、そういった政策が実現して日本が明るくなるころには
私は後期高齢者でしょうか(笑)。
増税、きっとやりますよ。
それで日本経済は再び負のスパイラルへ。
2年後の選挙では、また自民党が下野?
まあ、一寸先は闇。
今夜はこの辺で。 ごきげんよう。
榊淳司
2014/10/20 00:27 | by Sakaki Atsushi榊さま。
> 山手線内で買えないひとは・・・。
ここはズバリ「待て!」では、ありま温泉。(笑)
株の世界に「休むも相場」と言う格言あり。
荒れた海に漕ぎ出すこともないのでは?
ま、そうは言っても、人さまざま、ワケありでしょうから。
消費税の増税論議が報道されています。
ここにきて「断行派」と「阻止派」が、もつれ気味の様相。
まさかのコブチおばはんに足を引っぱられ、アベちゃん支持低迷。
「増税やらず」と決断すれば、いっきに支持率UPは間違いなしでしょう。
増税延期でも、支持率はUPするでしょうし、財務官僚も面目が保てるのでは?
アベちゃん、まさに「思案、ロッポウ」ですな。
昨日の時事通信の記事から。
内閣府が、国民3000人に個別面接方式でアンケートを取ったそうで、その結果の抜粋。
東京に今以上、人口が集中することに「反対」の人は、約5割。
できれば地方に移住したいという人は、やはり5割。
20代から50代までの男女、ほぼ同じ割合だったと。
ああ、TOKYO。
この先、どないなるんでしょうかねえ。
それによって、ニッポンの未来が決まりそうで。
五輪宴会は潮目になるかと。
あと6年ですが、その間、エライことがありそうな、なさそうな。
例えば平成が幕をとじるとか?
ま、混沌として、誰も、何も、アテには出来ませんわ。
今日はこんなところで。
ごきげんよう。
2014/10/19 14:15 | by まろたんRSS feed for comments on this post.