もっと合理的に働こうよ、日本人!

昨宵は豊洲の素敵なお店で読者さん3人と飲んでいました。
リゾート系の不動産屋さんとオーストラリア人とその美しい日本人の奥様。
四方山話で大いに盛り上がり、めちゃめちゃ午前様。
でも、雪が降らなくってよかった。

私はオーストラリア人と突っ込んで話したことはほとんどありませんでした。
しかし、昨日はたっぷりとお話を聞けて、すごーく興味深かった。
私の世代がもっているオーストラリア人のイメージは「ミック・ダンディ」。
オーストラリアからいきなりニューヨークにやってきて
道で出会う人みんなに声を掛けて握手を求めます。
「Hey! I’m Mike Dundee come from Australia.」
映画「クロコダイル・ダンディ」のワンシーン。

「僕たちはあれが普通のオーストラリア人だと思っているんだよ」
というと、同席の不動産屋氏も激しく同意。
件のオーストラリア人は大笑い。「全然ちがうよー」
ああいうのは、少しはいるみたいだけれど・・・みたいな。

あと、オーストラリア人はオランダ人並みにケチなんですって。
ちょっとビックリしました。とても大らかなイメージですけどねえ。
25年くらい前にインドネシアを旅行した時、
そこらへんをウロウロしている白人旅行者の7割くらいはオージー。
見ているとすぐに分かります。

まず身体がでかい。男も女もすごく大きいのです。
明るくて陽気。仲間どうしでワイワイ騒ぎながら歩きます。
よくいうと賑やか。悪く言うとヤカマシイ連中。
大声で笑い、大げさに驚き、ゼスチャーも大きい。
英語を聞いていると「ダイ」「ダイ」というのがよく聞こえます。
そして、男は必ずズボンの後ろポケットに缶ビールを突っ込んでいます。

「ガサツな連中」という印象でしたが、イメージは悪くはなかったです。
何といっても分かりやすい。ちょっとアメリカ人と似ていました。
私のイメージだと、アメリカ人よりも陽気な感じでしたね。
空港で待ち時間を過ごす時、彼らといろいろ話したのを思い出します。

「君たちの仕事は?」と聞かれたので、めんどくさいから
「オフィスワーカーだよ」と答えました。
「週に何時間働くの?」
「うん、決まりは40時間だけど、まあ50時間から70時間かな」
「え、今なんて言った。50時間から・・」
「70時間だよ」
「17時間じゃないよね?」
「ちがう、70時間。よくあるよ。月に2回くらいかな」

そのオージーは大げさに驚いてみせます。
そしてすぐに仲間たちに向かって大声で知らせるのです。
「おい、聞いたかボブ。この日本人たちは1週間に70時間も働くんだとさ」
歓声があがって、オージーの男女が我々に群がっています。
「70時間! 君たちはいつ寝るんだ?」

その時に聞いた連中の労働時間は、せいぜい
20時間から30時間だったように記憶しています。
「それで、君らはいくら稼いでいるのだ?」
ドル換算で額を言うと、ヘンな顔。
「たいして稼いでいないじゃないか?」という表情。

「僕は週に・・時間働いて・・・ドルだ」
そのオージーはとても嬉しそうにそう言いました。
「それは素晴らしい。俺たちはどうしていっぱい働いているのに、あまり稼げないんだ。君たちが羨ましいよ」
僕がそう言って大げさにおどけてみせると、これがまたバカ受け。
まわりのオージーたちに声をかけて
「おい、さっきのをもう一回言ってくれよ」

まあ、こんな感じ。お互いにビールを飲んでワイワイ。
連中は「金持ち」だと思っていて日本人の若いのが
普段は奴隷のように長く働いて、あまり稼げていないという事実に
すっかり気をよくして、愉快がっていました。
私もテキトーに合わせて、何度も嘆き、連中を羨んでみせました。
でも、大まかには事実です。
日本人は、長く働くわりには稼げていません。

さて、前振りが長くなりましたが、今日の本題。
そうなのです。日本人の長時間労働はちっとも美徳ではありません。
長く会社に滞留することは、その人が「仕事ができない」証拠です。
日本人は、もっとそういう合理的な価値観を持つべきです。

上記のエピソードについては、実に数値でその裏付けが取れます。
2013年の1人当たりのGDPをみると、オージー達は世界5位で646万ドル。
日本はというと、28位で385万ドル。オージーたちの約6割。
僕たちは彼らの6割しか稼げていないのです。

それだけではありません。
日本人の年間労働時間は1728時間に対して、オージーは1693時間。
彼らの方が2%ほど少ないのです。でもこれにも裏があります。
日本の数字は多分、事業所が届け出た労働時間だと推定できます。
会社は社員の「サービス残業」まで申告するはずないでしょ。
さらに、残業手当の付かない役職者は、全員一日8時間換算のはず。

この1728時間は実体の8割程度も反映しているかどうか・・・・
仮に8割で換算すると、オージーの労働時間は日本人の78%。
もっと突き詰めて考えましょう。
1時間当たり生み出すGDPをはじき出します。
日本は、年間2160時間働いていると換算して1782ドル。
オージーはそのままの数字を使って3815ドル。実に倍以上も違うのです。

日本人のみなさん、これを恥じてください。
我々は実に非効率的に長時間働き、疲れ、弱り、人生を失っています。
私が見ている限り、オージーたちは実に楽しそうに生きています。
何よりも、時間もお金も豊かではありませんか。
国土も広く、資源にも恵まれています。
おまけに、少し働いてたくさん稼いでいます。

どうしてこの差が生まれているのか?
いちばんの違いは、労働に対する文化や考え方です。
昨日飲んだオージーが言っていました。
「オーストラリアンは短く働くことが良いことだと考える。短ければ短いほどいい。一日に2時間か3時間がベストだ」
なんと、日本人とは真逆の価値観ですね。

みなさん、まわりを見てください。
実質的に2時間か3時間分しか仕事をしていないのに、
8時間以上オフィスにいるか外で「業務」をしている人、いますね。
なのに、そういう人の役職が自分よりも上だったりもしませんか?
あるいは、毎日毎日深夜残業をしているのに、
あまり成績がパっとしない人はいませんか?

年中「忙しい、忙しい」といいながら、涼しい顔をしている人の方が
仕事が出来て実績が上がっている、なんてことはありませんか?
あるいは、自分がその涼しい顔の人かもしれませんね。
毎週、「これは何の意味があるのだ」という会議が多くありませんか?

私は、日本のあらゆる社会組織にもっとも欠けている価値観は
「合理主義」だと考えています。
目の前の仕事を短時間で終わらせるにはどうしたらいいのか?
目標に到達するための最短コースはどこなのか?
今のルーティンワークに無駄はないのか?
その会議の目的は何か? 何を決めなければならないのか?
その発言は何のために有益なのか? その役職の使命は何か?

いろいろなところで、日本人は「まあまあ」とごまかしてしまいます。
無駄な業務、無駄な会議、無駄なホーレンソー、無駄な朝礼・・・
意味のない仕事をして、みなでダラダラ会議をして、
要らないところまで報告させて、むやみと拘束時間を長くする。

多くの非合理的なビジネス慣習は、既得権者の立場を守っているだけです。
頭の回転が速くなく、物事を合理的に突き詰められない上司が、
恥をかいたり責任を追及されないためのシステムだったりします。
そういった悪習が積み重なって、日本全体を非効率的にしているのです。

日本人は労働を善だと捉えています。
長い時間を働くことは、いいことなのです。
その勤労観は悪くないと思います。勤勉は確かに美徳です。
しかし、効率よく時間を使う合理主義的な価値観や行動を
もっと尊重すべきだし、今のように蔑むことは止めるべきです。

「アイツは合理主義者だから」といういい方は、
褒め言葉になっていないのが今の日本人の感覚ではないでしょうか?
合理主義→冷徹→人間的でない→嫌な目に会うから近づきたくない
あまり合理的でなく、浪花節的に生きている方はこう考えます。
でも「なあなあ」でやっていると、いつまでもオージーに勝てません。
別に勝つ必要はないのですが、彼らくらいに明るく陽気に楽しく
人生を過ごすためには、今のやり方を見直すべきでしょうね。

ちなみに私は今、だいたい1日に7時間くらいしか働いていません。
それでも長いと感じています。でもそれくらいは働かないと、
いろいろな業務が前に進みません。時に、土日のどちらかを使います。
ひとりなので、私が最善と考える合理的手段を用いています。
アホな上司もウルサイ顧客もいませんが、賢明な読者諸氏がいます。
みなさんに「これを読んでよかった」と思っていただけるものを、
日々の努力で生産しているつもりです。
英語で言えば Making something out of nothing.

さて、レポートの更新情報です。

最近、東京のタワーマンション市場を見て回りました。
少しだけ販売に陰りが出てきたように思えます。
湾岸エリアも一時の勢いを失いましたね。
あとは、このバブルがいつどういう風に終わるのかでしょうね。

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2015/2/6 17:04 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんばんは。

やがて来る「反転」って、本当にありますかね。
私はジワジワと変わり、気が付けば世界の三流国・・みたいな気がします。
まあ、この先の日本が明るくないことは確か。
黒田バズーガの花火がキラキラ輝いているうちに、
美味しいお酒を飲んでいい思い出を作っておく。
さらに、いろいろ飯の種を撒いておく。
いざとなったら芋でも食って生きるしかありませんね。
何も確かなことがない明日。
多くのサラリーマンは惰眠をむさぼっていますよ。

それではまた。ごきげんよう。 榊淳司

2015/02/08 21:50 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

作家・橋本治の近著のタイトルではありませんが、
「バカになったか、日本人!」
と、真顔で言いたくなる昨今のニッポン。

> 私から見れば、日本の世間はふにゃふにゃ、あまい。
とのコメント。
この思い、榊さまだけの「思い」では、ないでしょう。

今、多くの日本人が、大なり小なり持つ「思い」ではないかと。
では、なに故に、その「思い」が「かたち」にならないのか?
そこが歯痒くもあるのですが「時代」と言うものではないでしょうか。
つまり「時、満つれば」であり「今、しばし」でしょうか。

ですが、日本は今、大きな「過渡期」にあります。
そして間もなく来たる、大きな「反転」を前にしています。
「満つる時、いよいよ近し」という予感と思いもまた、
多くの日本人の共有するところではないか、と私の感想です。

まさに、旧約聖書で言うところの、
「あらゆることには、時がある・・・」
ということかと。

人類史を振り返れば、その事例がゴロゴロしていますね。
歴史が冷酷なのは、変わる時には容赦なく変わるということ。
例え、誰が泣こうが笑おうが、神を恨もうが呪おうが、です。

人は、そのとき、
「神こそ、不条理であった」と、思い知るのでしょう。

ずっと昔のこと、こんな演歌が流れていました。

〉愛は愛とて、なんになる
〉男イチロウ、誠とて

〉おなたのくちから、さよならは
〉言えないことと、思ってた

〉昭和余年は、春の宵
〉サクラ吹雪けば、情も舞う

(歌・赤色エレジー)

そんな時代もありました。

ごきげんよう。

2015/02/08 19:15 | by まろたん

まろたんさん、こんばんは。

僕は外資系企業で働いたこともなければ、
外国に連続して20日以上滞在したこともありません。
昔はものすごくインチキな英語が喋れましたが、今はダメです。
短いサラリーマン時代はかなり浮いていた合理主義者です。
世間なんて、いまでも「どーでもいい」と思っています。
商売に関係ない限り、悪評も平気。むしろ歓迎。
私の人生で、私への悪評はその強さだけ褒め言葉でしたね。
それをつくづく実感しながら生きてきました。

しかし、私から見れば日本の世間はふにゃふにゃです。
ものすごーく甘い世界です。
「世間はアマイ、私はエライ」というのを、密かに人生のスローガンにしています。
このままナメちきって人生を走り抜けてやろうと(笑)。

なぜ、日本に合理主義が根付かないのか不思議。
18歳の時、アメリカの大学に行こうと真剣に考えました。
行っていれば自分の人生がどう変わったのか?
少なくとも、今よりかはダイナミックだったと思います。
安易な道を選びました。後悔はしていませんが(苦笑)。

おやすみなさい。ごきげんよう。 榊淳司

2015/02/07 00:32 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

> もっと合理的に働こうよ、あほんじん!(笑)

日本人には、西洋風の合理主義のカケラもありませんね。
よく言われます。
西欧人は一神教で、神に正対し神に従う。
日本人には、そういう神を持たないので、代わりに、
「世間さま」に従う。「世間さま」に縛られると。

現代を生きる日本人にとって、
会社・役所などの組織は「世間さま」なのでしょう。
「滅私奉公」
いささか古い言葉ですが、日本人の心の奥底に生きています。

「我慢は美徳」という風圧と、切ない自己規制。
「和」の精神の前には「合理性」なんぞ、吹っとびますね。
「年功序列」という丁稚奉公。
まずは「雑巾がけ」10年。
ああ! 職人の世界じゃ、あるまいし・・・。

こんなサラリーマンの精神世界ですから、例えば、
「ブラック」企業で働いた日には、ドツボに落ちる。
追い込まれ、かつ追い込み、精神を病み自死というケースも。
少なくとも、他の先進国では有り得ないことでしょう。

「逝きし世の面影」の著者・渡辺京二が、新潮45の今月号に、
人生を振り返り、戦前の世相などを書いています。
その中で、こんなことを。
「むかしの人は、今の人より、よっぽど自己本位に、勝手気儘に、
生きていた気がする」

戦前の日本の、日本人の、色っぽい追憶ですね。
自己本位・勝手気儘、さらに自由奔放。
ああ、そうだったんですか・・・。

「大陸遊民」とか「大陸浪人」とかいう言葉がありました。
言うまでもなく、大陸とは「満州」です。
私が勤めた外資系の上司に「大陸帰り」の人がいました。
Nさん。
やっぱり違った。大陸的。スケールが大きい。

ある時、Nさんに聞いたことがあります。
「英語は、どこで学んだのですか?」と。
Nさん、にこやかに、曰わく。
「満州です」
これ、ほんとうでせうか、ね?

Nさん、日中は外資系に勤めながら、夜は六本木で酒場を持ってました。
「遊びにおいでよ」
と何度か誘われて、一度だけ行ったことがありました。

お店に行くと、少し入ったところに、ギャルが3-4人、
笑顔で並んで立っていました。
Nさん、ニコニコしながら、言ったものです。
「みんな、うちのむすめです。かわいいでしょう!」

いやはや、好き勝手、自由奔放、あはは・・・でした。
ホントの娘じゃないですよ。蛇足ながら。
少人数でしたが生バンドの演奏もあって、
Nさん、気持ちよさそうに、ギターを弾いてましたわ。

Nさん五〇才位。私が三〇才位の、ふる~いお話しでした。
Nさんは、かなり前に鬼籍に入られました。
もう、こげん人おらん。懐かしか、人ですばい。(笑)

自由奔放に、飄々と、生きたいもんですなあ。
ごきげんよう。

2015/02/07 00:14 | by まろたん

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