ここのところ、都心や湾岸のマンションを巡るAirbnbの問題に
ついての意見がネット上でかまびすしく飛び交っています。
私も、ビジネスジャーナルと言うネット媒体に
この問題を巡る実態と不動産市場への影響について寄稿しました。
zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150801-00010000-bjournal-bus_all
江東区湾岸エリアのあるタワーマンションでは
Airbnbを禁止する管理規約を公開して
「我マンションではそんなことは許しません」とばかりに
「健全性」をアピールしているそうです。
しかし、よく読んでみると数年前に作った「シェアハウス禁止規定」を
Airbnbに援用している印象を受けました。明解規定とはいえませんね。
住民にとって、自分のマンションがAirbnbに使われることは
まったく愉快ではないはず。あるいは資産価値の低下につながります。
毎日観光客が押しかけてきて共用施設を我が物顔で使い、
住居の中で毎日宴会を催されるのは迷惑至極。
「ホテルライク」を謳いものにした豪華ロビーには
ガラガラとスーツケースを引いたインバウンドが入れ替わり立ち代り現れ、
外国語をつかって大声で会話している情景は、悪夢でしょう。
そんなときにたまたま売り出されて中古マンションの購入検討者が
内見にやってきたらどう思うでしょう。
はたまた、今はネット社会です。
「・・・・というマンションは完全にAirbnb化している」という噂が立てば
中古マンションとしての資産価値が下がるのは必然。
賃貸に出すにしても、相当不利になるはずです。
つまり、Airbnbは他の区分所有の居住者にとってはいいことなし。
当然、多くの分譲マンションの管理組合では「Airbnb阻止」に動こうとします。
実際には、前述のようにいち早く管理規約で制限を設けた組合もあります。
しかし、問題は管理規約を改正すればいいだけではありません。
そもそも、管理規約というものは紳士協定みたいなものです。
法律を超えた制限を区分所有者に課すことはできません。
例えば、多くの分譲マンションは区分所有者本人が住まずに
賃貸に出されて賃借人が住んでいます。
賃借人は、当然共用施設を使用することができますね。
これを規約で禁止することは難しいでしょう。そういう例も聞きません。
「事務所使用は禁止する」という規約があったとします。
しかし、堂々と事務所使用しているケースはたくさんあります。
だからといって、そのマンションから追い出せるかと言うと、無理。
単純に管理規約に違反しているからといって、財産権まで奪えないのです。
また、民法では不動産の所有者が、その不動産を使用収益することを認めています。
この考えを援用すれば、区分所有者が規約に反してAirbnbをしたところで
これに対して有効な対抗措置を取りえないのが現実です。
区分所有法の第6条1項は以下のように記されています。
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
これに違反すると、第57条から第60条までの規定があり、
他の区分所有者は総会の議決を経て裁判で「使用禁止」を請求できます。
ただ、これはそもそも「暴力団事務所」などに使われた場合を
想定したもので、普通の「迷惑行為」程度には適用できないでしょう。
例えば、パーティルームで大宴会を催し、後片付けをしなかった場合。
多分、このケースは「使用細則」の違反となります。
これを区分所有法第6条の
「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」とするには無理がありそうです。
管理規約でAirbnb的な使用を禁止する規定があって、
それに違反した区分所有者に対してはどうでしょう?
これはまだ多分ひとつの判例もないはず。
しかし「使用禁止」の判決が取れるとは、とても思えませんね。
Airbnbを管理規約で定めたマンションにある日、
北京語を話す集団がキャスター付きのスーツケースをガラガラと
引っ張りながら現れて、オートロックを通過したとします。
ロビーで「明日は8時半にここに集合ね。李さんは何号室だっけ?」
なんて、大きな声で話しています。もちろん北京語で。
管理人が北京語の通訳を通して声を掛けます。
「あなたたちはこのマンションの住民ですか?」
「いえ、ちがいます」
「では、どなたですか?」
「Airbnbで泊まりに来たのです」
そういって、高らかとキーをかざします。
管理人は恐る恐る「このマンションではAirbnbは禁止になっています。申し訳ございませんがお引き取り下さい」と言います。
「そんなこと、俺たちは聞いていない。俺たちは・・・を通じて契約したのだ」
北京語の方々は声高に主張するでしょう。
この場合、規約違反行為をしたのはそのマンションの区分所有者です。
区分所有者は管理組合との間で「管理規約」という契約を結んでいます。
だから、区分所有者は契約違反を犯したことになります。
しかし、北京語の方々はそんなことあずかり知らぬこと。
言ってみれば民法でいうところの「善意の第三者」です。
しかも、彼らは日本の法律には何ら抵触していません。
したがって、管理組合は彼らの宿泊を法的に拒否できません。
仮に警察を呼んでも「民事不介入」の世界でしょう。
お分かりでしょうか?
Airbnbは、管理規約などではまったく阻止することはできません。
唯一、可能性があるとすれば区分所有法57条から60条を使って
「使用禁止」の裁判所命令を勝ち取るしかないのです。
それには、弁護士を介して1年以上の時間がかかります。
また、「使用禁止」命令(判決)を取れるかどうかさえ、不明。
なんといっても、まだ判例がないはずですから。
もうひとつ、手があるとすれば旅館業法です。
Airbnbを同じ部屋で反復継続的に行えば、これは旅館業法違反。
過去には逮捕例もあります。
だから、警察に告訴して逮捕してもらうことも理論的には可能。
でも、罰則は「六月以下の懲役又は三万円以下の罰金」のみ。
普通に考えれば、よほど悪質でない限り不起訴でしょう。
現状、Airbnbは日本国内で公然と行われており、
警察が本気で取り締まろうとする気配はうかがえません。
それどころか、特区エリアの各自治体が条例を定めれば合法、となっています。
まあ、今のところ警察には取り締まりの意志はありません。
しかし、将来は分りません。
誰がどこに泊まっているのか分らない状態を、警察は嫌います。
いずれAirbnbで貸し出された部屋で殺人事件でも起これば、
警察庁が規制案を掲げて一気に法制化を迫るでしょう。
それでも、全面禁止ではなく届け出制や宿帳の記載など、
「宿泊者を把握」するルールになりさえすれば満足するはず。
警察にとってはマンションの資産価値などはどーでもいい話ですから。
結論を言いましょう。
Airbnbは今後、急速に浸透していくはずです。
管理規約で禁止した程度では阻止できません。
特に個人レベルで行う分には現行法でも規制できません。
ところが、マンション管理組合のハリキリ人士たちは、
自分たちは万能で管理規約は金科玉条のルールだと誤解しています。
あんなもの、Airbnbの前ではただの空文に過ぎませんね。今のところ。
今後、都心や湾岸のタワーマンションは急速に
Airbnbによる中国人の専用ホテル化が進むでしょう。
今は業界内の狭い話題ですが、数年後には当たり前になります。
そもそもタワーマンションというのはまっとうな富裕層から見ると
「下世話な方々」が好む住まいというイメージがありました。
Airbnbの普及により、今後はますますそういった
マイナスのイメージ化が進むのではないでしょうか。
前述のように、今のところ効果的な防御策はありません。
資産価値が落ちないうちに売るしかありませんね。今なら高く売れます。
早目の決断が必要ではないでしょうか?
なお、この件についての有料相談はお受けできかねます。
お金をもらってあれこれいうと非弁活動になってしまいますから。
お困りの場合は、有能な弁護士を紹介します。初回相談料はタダです。
さて、資産価値レポートの更新情報です。
たくさんありますよ。新規物件は少ないですが。
まず渋谷区総集編。
代々木と恵比寿の駅近に玄人好みのマンションが出てきました。
「新築で投資を」と考えている方には注目かもしれません。
目黒区と品川区、港区は、ちょっと停滞気味ですね。
品川区は目黒尾駅前のバブルタワーが絶好調です。
しかしあのタワー。できたころにはバブルが弾けているかもしれません。
それでも何十倍の倍率だとか。
上層階の数億円住戸を買った方の国籍は・・・・
なんて未確認情報が飛び交っていて、背筋が寒くなります。
竣工したとたんにロビーで北京語が飛び交っていたら、
それこそコントの世界ですね。
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資産価値が下がると思っていたら、下がるどころか1000万だった中古マンションが1500万に上昇。周りの賃貸物件も軒並み賃料が上がっています。
楽しい国際交流を図りつつ、空いてるマンションが少しでも活用できたらと思ってはじめました。自身の場合、1室だけで営利でバンバンかしている訳ではなく、暇な時に受け入れているだけなので、稼働率50%ほど、経費を考えれば賃貸で貸すのと大差はないですが、一緒に食事に行ったり、また、ゲストの国へ行った時にお世話になったりと楽しいのでやってます。
一応、管理組合とは合意し、定期借家、短期の賃貸契約で泊数でなく利用日数で契約。
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