これは世界同時株安の始まりなのか?

中国発の世界同時株安が起こっていますね。
昨日の上海は暴落と言っていいマイナス156、東京は597円安。
NYダウはマイナス530ドル。なんと日経CMEは18,975円と
あっさり1万9千円の大台を割り込んでしまっています。
このままでは24日も安く始まりそうな気配が濃厚。

原油価格も一時的に40ドルを割ったみたいです。
現在はWTIが40.23ドルと表示されています。
資源価格がこんなに落ちるのは、需給が緩んでいるから。
中国の需要増大を当て込んだ生産拡大のツケを
キッチリと払わされている感じですね。
中国の景気がよくない以上、当面この傾向は変わらないでしょう。

現状、中国は完全に「中進国の罠」にはまっています。
今後の経済成長は実質5%未満になるのではないでしょうか?
また、国有企業と地方政府が抱える膨大な不良債権を
どうやって始末するのかが注目されます。
日本の1990年代とよく似た構図ですね。
あれ以来、日本は「失われた20年」という、
基本的には長期の不況に苦しみました。
経済成長はほとんどできないまま、人口減少期に入りました。
今後も、日本経済は今のサイズを保っていくでしょう。

中国も、このままではデフレに陥るはず、です。
しかし、日本と違うところは政府が不況を受け容れられない
仕組みになっている独裁専制国家であること。
中国共産党は日本の民主党のように「不景気だから仕方ないね」と
他人事みたいに構えてはいられません。

不況が続いて民衆の不満がたまると、社会不安に陥ります。
日本は選挙によって政権交代が行われるので、
誰も血を流さずに支配者の首を挿げ替えることができます。
しかし、中国共産党は経済運営がうまくいかないからと言って
「ほいじゃやめるわ」と政権を投げるわけにはいかないのです。

彼らは今のように平和な時代でも、凄まじい権力闘争を行っています。
政敵が権力を握ると、財産が没収されて刑務所に送られるお国柄。
ましてや共産党政権が崩壊すれば、党のエライさんは
家族も含めて片っ端から逮捕・処刑でしょう。
だから、彼らは絶対に不況を受け容れられないのです。

実際、中国経済の成長は止まっているかマイナスだと思います。
でも、出てくる数字はなぜか目標の7%成長に達しています。
何にも信用できませんね、彼らの統計数字は。
ただ株式市場のプレイヤーは主に個人なので「市場らしい」値動きに
なるときもありますが、基本は官制相場。

多分、24日の月曜日は気合を入れて当局が介入してくるはず。
東証は安く始まっても上海は上げに転じると思うのですが・・・
まあ、こればっかりは当たるも八卦、当たらぬも・・の世界。
しかし、このまま上海を暴落させては世情不安に陥ります。

まったく関係ない話ですが、今日はあるメディア関係者と会食しました。
四方山話になったのですが、面白かったのは「中国」。
世の中の「中国」に対する関心は高く、記事にしやすいのだとか。
だから中国関連のネタは編集会議を通りやすいのだそうです。

私は中国人の東京でのマンション投資やAirbnbについて
いくつかのメディアに記事を書きましたが、いずれも好評。
世間の関心の高さをうかがわせています。
ここ2,3年、日本人の中国への見方がかなり厳しくなっていますね。

一方、街を歩けばそれこそ中国人だらけ。
ここ2年でインバウンドは倍増の伸びを示しています。
きっと、まだまだ伸びるでしょう。ホテル不足は深刻。
今は都心の駅近立地で土地が売り出されると、
マンションデベが争って購入していますが、
これからはホテル業者が参入するでしょうね。
すると、都心の土地は高止まりしたまま下がらなくなります。

例えば、東京都に年間1500万人のインバウンドがやってきたとして、
滞在日数は平均で5日だったとします。
すると常に20万人が滞在していることになりますね。
2千万人になると27万人。
東京オリンピック開催時の瞬間風速だと50万人は超えそうです。
さて、それだけのホテルが整備できるでしょうか?
おそらく、無理です。仮に作ったとしても、その後が大変。

今、インバウンドが急増している最大の要因は、円安。
円安になったのは、日銀の金融緩和が原因。
金融緩和というのは、お金をジャブジャブ市場に出すことで、
不況対策として有効だと考えられてきた手段です。

ところが、4-6月期のGDPがマイナスになったように、
あまり景気を刺激する材料にはなっていないという説もあります。
じつは、私もそう思います。
金融緩和というのは「お金が借りやすい」状態にすることであって、
個人の財布に入っているお金が増えるわけではないのです。
企業や投資家が銀行から金を引っ張りやすくなっているだけ。
だから、企業や一部富裕層にとっては不動産が買いやすい状態なので
都心や一部地域ではバブルが発生しているのです。

この金融緩和を率先して実施しているのが、日銀の黒田総裁。
もくろみ通り円安になって輸出企業の景気は良くなりましたが、
それは一部にのみ見られる現象で、経済全体は停滞気味。
つまり、金融緩和が好景気を導いている、とは言えない状態。
でも、金融を引き締めているよりもマシではあります。
ただ、厄介な副産物である不動産バブルはしっかり引き起こしています。

さて、金融緩和はいつか終わります。
というか、いつまでもこんな異様な事態を続けるわけにはいきませんから。
黒田君の任期は2018年の3月まで。
次の日銀総裁が、金融緩和を引き継ぐかどうか不明。
仮に、2017年4月に消費税が引き上げられると、
2018年中は金融緩和を続けざるを得ないでしょう。
そのあたり、どうなるかは不明。

インバウンド増加は円安に頼るところが多く、
これが円高に転じれば伸びは衰えるどころか
減少に転じることさえ考えられます。
だから、ホテルを作りすぎるのも危険ですね。

中長期的に見ても円安よりも円高の方が
国全体を豊かにしてくれるのは自明です。
アメリカは世界経済を犠牲にしてでも金融緩和から
引き締めへと転換するはずです。つまり金利引き上げ。
日本は、当面なさそうです。しばらくは低金利。

アメリカの金利が引き上げられれば株価が下がる、
という観測が見られますが、私にはよく分りません。
それよりも、中国の景気後退がはっきりすれば
日本にやってくるインバウンドは多少減るでしょうね。
都心のマンションを勢い良く買っている中国人も、
今よりかはプレゼンスを下げるかもわかりません。
あるいは、売り物が多くなる可能性もあります。

いずれにせよ、株価の下落は不動産市場によい影響を与えません。
また、株価はもっとも鋭敏な景気指標です。
このまま下落基調が続くとすれば、今の都心バブルは
半年後にはっきりと潮目を変えている可能性があります。
不動産投資をお考えの方も、株価には注意を払うべきですね。

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2015/8/22 17:41 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんにちは。

あと十数年で引退したいのですけどねえ。
まあ、身体が動くうちは何かしらやっているとは思いますが、
今のように16区の現場を全部見て回るなんてのは、
さすがにあと10年もできるかどうか。

安倍君、身内に足を引っ張られています。
中国発の世界同時不況がやってくるかもしれません。
今日も派手に下がっていますね。
なんともヤな感じです。

都心バブルの潮目もこのあたりかもしれません。
何とも背筋が凍る話です。
ここはぜひ、中国共産党に頑張ってほしいところです(笑)。

ではまた、ごきげんよう。  榊淳司

2015/08/24 10:56 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

>10年後、私は引退が秒読み・・・。

30年後の数え違いでは?
これから先は働き手が減り続けて、そうは引退させてもらえないでしょう。

特に若手は激減するでしょうし、アタマカズが減れば「質も落ちる」はず。
加えて、さまざまなビジネスの、新旧入れ替えも進むでしょうから。

ロシアの首相がエトロフへ。いきなりですね。
安保関連法案・集団的自衛権に対する牽制でしょうか?
フラツキ気味の安倍政権の、足元を見られているような。

中・韓・ホクセンが、ジーと注視しているはず。
安倍政権の内部情報をかき集めているでしょう。
国家であれ、会社組織であれ、家庭であれ、内輪モメしないこと。
ここぞとばかり、付け込まれますよ。

安倍晋三。受難多し。どう、踏んばるのか。

ごきげんよう。

2015/08/24 02:28 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

確かに、固定電話はインフラコストがかかりすぎますね。
でも、各戸ネットはどうするのでしょうね?
全部WiFiにするのでしょうか?
まあNTTが止められるとは思えませんね。

10年後、私は引退が秒読み。
世の中、ビックリするくらい変わっているでしょうね。
楽しみというか、怖いというか・・・・
まあ、所詮ニンゲンの社会は変わらないでしょうが。

麗らかと言うか、クソ暑い休日。
ビールの酔いで昼寝でも致しましょう。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/08/23 12:05 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

やはり世界はつながっていますね。チャイナは大きい。
チャイナがくしゃみしたら、あちこちでブルブルと。
チャイナだけではなく先進諸国の株価は、PKOだらけ?
ジャッキで上げるどころか、クレーンで吊り上げているのでは?(笑)

ロイターの記事ですが「固定電話・2025問題」と。
固定電話が2025年で「終わる」かも知れないという記事。
理由は、3つ。

1.固定電話網の要になる「交換機」の生産が終了してるため、
現在の交換機の寿命は長くて10年。
その時点で、固定電話はジエンドということだと。

2.固定電話離れが加速して来ている。
現在、固定電話加入は、全世帯で75%。
20代世帯に限ると、僅か10%で、平日利用率=1%未満。
若い世代は、ほとんど加入せず、使わずの実態だと。

3.毎年・1000億円の赤字。慈善事業状態だと。
で、NTTとしては、出来れば止めたいと。

NTTをはじめ関係者が、これから検討・結論を出すそうですが。
10年後の話ですが、どうなるのでしょうか?
このモンダイ、榊さま、ご存知でしたか?

電気料金の自由化。この固定電話のこと。
さまざまが変わり目、潮目のようですね。
TPPが決定実施されたら、もっと、モロモロでしょうか?

「安保条約こそ、ノーベル平和賞」とのご指摘。
然り。然り。おっしゃる通り。ど真ん中ですわ。

ごきげんよう。

2015/08/23 02:43 | by まろたん

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