自由人の生きにくい世の中

私はマンションの資産価値についてアレコレと
御託を並べるのを商売にしております。
そのために、東京を中心にマンションをたくさん見て回ります。
山手線の内側で販売されるマンションは、ほぼ100%見ているでしょうね。
東京23区の内、17区は完全にカヴァー。
他にも川崎や大阪市内のタワーマンションも見て回ります。
まあ、これほど多くの現場を踏んでいる人間は、
日本広しといえども私以外にいないと自負しております。
まあ、そんなことはどーでもいいのですが。

その「現地調査」の余禄みたいなもので、東京や大阪、横浜、川崎
などという日本の代表的な街の様子を見聞することになります。
最近、つくづくと感じるのは「個人商店の崩壊」。
お店屋さんの大半がシャッター化している現状です。
八百屋、肉屋、薬屋、靴屋、菓子屋、電気屋、文具店、布団屋、本屋・・・
もはや、こういうお店は絶滅状態ですね。

私の子供の頃、お買物するところはほとんどが個人商店。
その昔、どんな街にも「商店街」がありました。
今は、生き残っている商店街が希少な存在。ほぼ死滅状態。
今は個人商店からモノを買うことがほとんどありません。
私の場合、まあ数年に一度あるかないかですね。
日常の食料品はスーパー、電化製品は専門店、本はアマゾンかブックオフ。
強いて言うなら、飲み屋さんは個人経営のお店ですか。

その気になればほとんどのモノがネットで買えます。
パソコン関係なんか、私はいつもネットで買います。
アマゾンは史上最強のマーケットですね。なんでもあります。
生鮮食品だって、スーパーの宅配サービスが利用できます。
つまり、個人商店にはその存在理由が何もないのです。
当然ながら、急速に廃業が増えています。閉店、シャッター化。

さて、そこには様々な現象が発生します。
まず、商店街の不動産価値が著しく低下します。
そこでお店を経営して売り上げと利益を計上できるからこそ
高く評価されていた不動産としての価値が無くなってしまいます。
現に、地方や遠隔郊外の商店街の不動産はタダ同然。
この「無価値化」はジワジワと都心に向かって近づいています。

最近よくあることですが、寂れつつある商店街のまん中に、
突然マンションが開発分譲されたりしています。
容積率があるところでは、タワーマンションもできてしまいます。
私から見れば、すごく違和感がありますね。商店街のタワマン。
しかし、これからもどんどん増えそうです。

次に、私たちの職業選択として「個人店主」として生計を立てる、
という道が閉ざされています。
私が見る限り、現状で個人経営のお店が成立するのは
飲食業、美容院、医院他医療・ヘルス系に限られています。
そうでなければ、コンビニなどのフランチャイズ経営。
しかし、フランチャイズの店主は純粋に個人商店とは言えません。

弁護士や税理士、司法書士までは個人として士業で食えますね。
行政書士はちょっと怪しく、私も持っている宅建では無理。
駅前にある個人商店の不動産屋も、今後は難しそうです。
個人でお店を構えての対面販売という業態が絶滅します。

この「個人商店の絶滅」を導いたのは、商品流通の自由化と
ネットの普及に他なりません。言って見れば、競争社会の進化。
資本の小さい個人商店はドンドン淘汰されてしまったのです。
その結果、私たち一般消費者は消費材を安く買うことができます。
それはそれで結構なことです。
しかし、副作用として小商売を営む、という職業選択がなくなりました。

私の子供の頃、漠然とした職業選択として「サラリーマンorその他」
という概念があったように思えます。
小学校の同級生で、親がサラリーマンだった割合は半分くらいでしょうか。
私は古本屋の息子でした。
級友たちの親は牛乳屋、布団屋、魚屋、表具屋、墓屋・・・

ところが、私が今住んでいるエリアの親たちは9割以上がサラリーマン。
まあ、東京の郊外ですから当たり前と言えばそれまでです。
今の子どもたちにとってサラリーマン以外の職業選択は
かなりの少数派に入ることになりそうです。

私の父親は、私が生まれた時から古本屋の店主でした。
ただ、当人は若い頃に10年間サラリーマンをやっていたそうです。
彼の言葉では「勤め人」です。大阪の油屋の勤め人。
本人曰く「帳面づけ」が専門。今でいう「経理」スキルですか。
まあ、それはいいいとして。

日本人の職業選択として「個人店主」の道が狭まるのは残念です。
また、商店街の不動産価値がなくなるのも、寂しいですね。
郊外のショッピングモールにマイルドヤンキーが集う構図にも、
私的にはちょっとした違和感がありますね。どこか不健全。
そこには「大人」と「子ども」のコミュニケーションがありません。

サザエさんやちびまる子ちゃんの世界は、遠い昔になりつつあります。
そして、子どもたちの職業選択は「サラリーマン」が当たり前に。
そのことを、私はすごく残念に思います。
それは、一時的な「丁稚奉公」は誰にも必要なことです。
世の中の仕組みや先輩や上司に対する行儀作法を身に着けるために、
組織に属することは悪くないと思います。
しかし、私はそれが普通になることは嫌ですね。

なぜなら、サラリーマンは究極のところ組織や上司に対して
「ご無理ご尤も」の姿勢を崩すことができません。
東芝のような名門一流企業でも、上司から「粉飾をやれ」と言われれば
下は唯々諾々としたがって、犯罪まがいのことに手を染めねばなりません。
トップにならない限り、サラリーマンとは所詮は奴隷と同じなのです。

「倜儻不羈(てきとうふき)」という言葉が好きです。
カンタンに言えば、他人ではなく自分の意志で生きていく、ということ。
サラリーマンであれば、これは構造的にかなり困難な生き方。
私の父親のような個人店主であれば、わりあいカンタン。
しかし、経済的にはものすごく不安定です。

傍で見ていると、サラリーマンだってかなり不安定。
大企業に勤めていたところで一生安泰かと言うと???
500人や1000人の企業など、吹けば飛ぶようなものです。
ところが、日本人の大半がそういった「吹けば飛ぶような」
規模の企業に勤めているサラリーマンなのです。

いい学校に行って、いい会社に勤めて、安定した人生を送る。
これは今の日本人にとって否定できない人生のテーゼですね。
究極のところ「好待遇の奴隷としての安寧」を求めているにすぎません。
ただ、今の学校教育のベクトルはそこに向いています。
学校の教師からして、安定収入を得るために時間的自由を差し出した
一種の奴隷にしか過ぎないのですから。
彼らに「自由」とは何かについて、教えることはできません。
なぜなら、奴隷でしかない人間に自由の素晴らしさは語れないから。

私は「自由」というものが何であるか、父の背中に学びました。
しかし、今の日本はどんどん「自由人」であることが
難しい社会へと変質しています。そのことが残念。
しかし、今の時代でも自由人として生きることが
まったく不可能というわけではありません。
少なくとも、私はそうありたいと願いながら生きています。

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2015/9/6 11:49 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、こんにちは。

今日の株価は爆上げですね。
どうしたのでしょう、まったく。
ここのところ、下げがきつかったから逆調整?

派遣法が通ってしまいましたね。
安倍ちゃん、これは分からんから官僚任せ。
仕方がないからパソナの株でも買いますか(笑)。

ただ、不動産のバブルはどうやら潮目ですね。
残っているのは中国人ばかりです。
今年いっぱいもって、来年はドタドタ。
黒田君のバズーガがなければ1年早かったのですけど、
おかげで傷もぐっと深まって、
ヤバいところはヤバくなっていますね。
まあ、見ているしかありません。
不動産に関してはプレイヤーではなく、評論家ですから。

株は中国のハードランニングが見極められれば買いなのですけどね。
私は保守主義ではなく、ギャンブラーで行きます(笑)。

それではまた。 ごきげんよう 榊淳司

2015/09/09 16:02 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

日々、何もないようでいて、いろいろと。
マイナンバーが決まった途端、消費税の軽減の話がゾロゾロと。
突然の財務省プランに公明党もあっさり同意したようで。
そもそも、出来レースだったのでは、有馬温泉?

財務省プランは、官僚の「自己チュープラン」ですわ。
テマヒマを思うだけでウンザリするような。
もう軽減は止めたほうが良い、という町の声もあるようで。

ただ再来年の春の消費増税じたい、やれるのでしょうか?
アベノミクスも息切れ、チャイナも時限爆弾みたい。
来年夏の参議院選挙の争点は「改憲」の是非でしょうか?
「アンポ法案」はクロージングに入ったようで。

今秋は「政局」ですね。
人事の秋。内閣改造・自民党役員人事と。

今年も実質的にあと3カ月。
景気もダメでしょう。個人消費が低調気味とか。
第3四半期もマイナス成長では?

年末に向けて株価も「やや下げ」では、有馬温泉?
が、クロちゃんも、もはや「タマ切れ」でしょう。
万事休す。四面楚歌。

ニッポン国「これで、よくもってるなー」と思いますよ。
ヒトゴトみたいな感想ですが。(笑)
私は「保守主義」こそ王道であろうと「傾向と対策」を進めていますわ。

改正派遣法も10月から施行。
タミ草の生活も、ごっつー、荒んで来るでしょうなー。
あーあ。ニッポン。
こんな日本に、誰がした。(笑)

ごきげんよう。

2015/09/09 01:21 | by まろたん

まろたんさん、こんにちは。

まさしく、御意。
「ご無理ご尤も」を十年も続けると顔まで「社畜」。
まあ、今の日本人にはそういう選択肢しかありません。
さらに彼らの生きる幅を狭めようというのが派遣。
奴隷をさらに使いやすくする派遣法改正。
アンポ反対よりもハケン改悪反対のはずなのに、
アホどもは自分の足元が見えておりませんね。
終身雇用なんて、いまや絶滅危惧種ですよ。
人間、最後は己に頼って生きねばなりません。
それを理解しない日本人は、日々劣化していますね。
だからこそ、私のような人間が生きる余地があるのでしょうが。
まあ、ぼちぼちやります。

それではまた。 ごきげんよう   榊淳司

2015/09/07 15:22 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

組織人たるもの「忠誠心」こそすべてでしょう。
極まるところ「上意下達」ですから「御意」に尽きます。
「イエスマン」こそ組織人たるものの「話法」です。
更には「忖度」も難易度は上がりますが、重要な処世ワザ。

俸禄のほとんどが、これらの対価でしょう。ああ!(笑)

以上のことから分かります。
組織人の「忠誠心」の対象は、組織ではなく「直属上司」です。
ですから「社畜」なる言葉がありますが、正しくは、
「直属上司の犬」ということになります。

今回の東芝事件も、この構図でしょう。
上司である社長に忠誠したがために、会社には「不忠」を成した。
「日本的」であると言えますが、あまりにも情けない。

ま、社長自身もプロパーの「雇われマダム」ですから、
「お家」よりも「御身」大事となってしまうのでしょうか?

むかーし、こんな戯れうたがありましたね。

「社長、しゃちょーと、威張るな、しゃちょー。
シャチョー、シャインの成れの果て」

なんなんでせうか。この侘びしさ。この哀調。
あーあ。ニッポン人だなあ。(笑)

もっと真っ当なことを書こうと考えていたのですが、
何故か、こんなふうに。

忠誠心ということで言いますと「己自身に忠誠」でありたいもの。
拝金主義・現代ニッポン人には、もはや「無理筋」でしょうか。

この先、日本社会は「終身雇用」が、グラついて来そうです。
大量の非正規・ハケンも、恒常的になりそうです。
戦後七〇年の着地点ですが、この先、日本人は変わるのでしょうか?

ごきげんよう。

2015/09/07 01:13 | by まろたん

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