宗教の熱狂には無縁でありたい

最近読んで印象深かった本は、塩野七生の「十字軍物語2」。
先日の「皇帝・フリードリッヒ二世」と同じ作家です。
超面白いですよ。毎日の通勤時間が待ち遠しくなるくらい(笑)。

今は事務所にひとりなのですが、以前は社員を何人か雇っていました。
「社長だから」何でもできるかというと、そうでもありません。
少なくとも、私は多少なりとも社員に気を使うタイプでした。
まあ、たまにはソファで昼寝くらいはしていましたが(笑)。

社員さんたちがみな仕事をしているときに、
業務に関係ない本を読むのははばかられます。
もちろん「仕事している方が売り上げにつながる」というのが本音ですが。
社長だった30代と40代の頃は猛烈に読書をしたのですが、
ほとんどが通勤時間と移動時間、それに「待たされ時間」。
不動産屋というのは、出入り業者相手だとほぼ時間を守りません。
芝の某販売会社などは、平気で1時間以上待たせます。
だから、こちらも自衛のために本を持ち歩きました。

10年くらい前に宅建を受けた時も、お勉強は電車の中。
「2か月間」と決めて、参考書と問題集を持ち歩きました。
60日間、1日平均1時間くらいは参考書とにらめっこ。
問題集の超分かりにくい日本語に舌打ちしながら通勤。
考えてみれば、60時間というのは本が二冊書けるボリューム。
「宅建の資格 or 著作×2」の2択だったら、今は完全後者(笑)。

つまり、私の仕事は宅建があってもほとんど関係ありません。
たまーに入社2年目で「去年落ちました」なんて間抜けな若者に、
「まあ、僕の場合は完全なペーパーですけど」なんて言いながら、
相手が肩身を狭めるのを意地悪く眺める楽しみくらいでしょうか。

ヨタ話はこれくらいにしましょう。
「十字軍物語2」というのは、11世紀頃からのお話です。
みなさんよくご存じの通り、中世ヨーロッパで燃え盛る
「聖地奪還運動」が信仰心の篤い騎士たちによって実行された話。
とまあ、こう言えばきれいに聞こえるのですが、
中身はキリスト教徒 VS. イスラム教徒による聖地の奪い合い。

聖地とは、イエス・キリストが生まれて死んだエルサレムの街。
今はイスラエルの領土内。半分はパレスチナが「自治」。
ここは昔から「民族と宗教の交差点」みたいな場所ですね。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がそれぞれ聖地にしています。

ところで、今の敬虔なキリスト教徒というのは
エルサレムに巡礼したがるのでしょうか?
中世では、エルサレムにあるキリストが埋葬された聖墳墓教会に
巡礼するのがキリスト教徒の夢だったそうです。
今でも観光客くらいは来るのでしょうが、時々銃弾どころか
ミサイルとかロケット弾が飛び交っていますからねえ、あのあたり。

現在、世界では「テロとの戦争」が起こっています。
少なくとも、アメリカやフランスはこの戦いに必死に取り組んでいます。
中身は言うまでもなく「先進国 VS. ムスリム原理主義者」。
そして、先進国は日本以外すべてキリスト教の国です。

宗教というのは、それぞれ「熱狂」の時代と「沈静」の期間があります。
例えば、中世のヨーロッパはキリスト教徒の「熱狂」時代ですね。
なんと、数百年も続きます。そのあと、近世以降は「沈静」。
イスラム教はマホメッドが預言を伝えて以来300年くらいが「熱狂」。
その後、近代のヨーロッパ諸国に植民地化されて「沈静」。
今また、その反動ともいうべき「熱狂」期に入っています。
火をつけたのは1948年のイスラエル独立と1972年のイラン革命。

さて、今後キリスト教が「熱狂」することは、新旧含めてなさそうです。
なぜでしょう? 答えはカンタンです。
それはキリスト教国のほとんどに科学が普及したから。
宗教というのは、最終的に科学と対立するものです。特に一神教は。
なぜなら「神が存在する」ということは、科学的に証明できません。
科学においては、証明できないものはあくまでも
「仮説」であって真理ではありません。
だから、科学が普及すると、宗教が後退します。

イスラム教徒は、科学による文明化競争でキリスト教側に負けました。
多くの国が植民地化され、彼らは屈辱を噛みしめたのです。
日本も科学による文明化競争において、韓国を併呑し、
中国を圧倒し続けてきました。だから彼らは今も日本を嫉妬します。

さて、ムスリム原理主義者のテロは、当面続くと考えていいでしょう。
なぜなら、彼らのキリスト教世界に対する恨みつらみは、
現状ではちっともカタルシスを得ていないからです。
あの9.11の時に少し留飲を下げたくらいですか。
それこそアメリカの大統領を連チャンで3人くらい暗殺すれば、
ムスリム側も大喜びして少しは矛を収めるかもしれません。
でもまあ、そんなことは起こるはずもなし。

われわれ日本人は、どうすればいいのでしょう?
いちばんいいのは「関わらないこと」。
よく、今の中国や韓国とどう付き合えばいいのか、という質問に
識者が同じような答え方をしますね。「できるだけ関わらない」。

まあ、日本は仕方なくキリスト教側にくっついています。
日米同盟があるので、それは避けられないところ。
でも、あまり目立つ必要はありません。最低限でOK。
日本は本当の意味で「関係ない」立場ですから。
しかし、キリスト教徒とイスラム教徒がなぜに戦い続けるのか、
といった基本的な構図を理解しておくことは悪くありません。
そのために、塩野七生の「十字軍物語」は素晴らしい教材。
この他に「海の都の物語」もいいですよ。

ところで、日本にもその昔、宗教の「熱狂」がありました。
戦国時代の「一向宗」です。熱狂して、一大勢力になりました。
今の大阪の市域は、だいたいが本願寺の寺領だったはず。
真田丸に出てくる本多正信も、若い頃は家康の元を出奔して、
日本各地で一向宗と共に戦ったという経歴の持ち主です。

しかし、日本人が宗教的に熱狂したのはその事例くらい。
幕末の「おかげまいり」もありますが、まあ20年というところ。
それにお伊勢参りには宗教的な色合いが薄いですね。
どうも、日本人には宗教性が希薄なように思えます。

戦国時代にザビエルがやってきて、イエス・キリストの
ありがたい教えを伝えて回りました。
そして洗礼を勧めました。洗礼を受けると神様に救われると。
ある日本人が尋ねたといいます。
「そんなにありがたい教えが、なぜ今まで日本にこなかったのか」
「そのありがたい教えを聞かなかったわれわれの祖先は、今、どこでどうしているのか」
私は日本人のこういうエピソードが大好きです。
過去にも何度か書いたと思います。

そんな日本人でも、宗教に走り、熱狂する人もいます。
まあ、日本人がすべて「科学的」ではないことも確か。
私の人生では、科学的に考えない人も多く見かけました。
とりわけ、不動産屋さんには多かったかもしれません。
しかし、不動産屋さんで宗教にはまっている人は皆無でしたね。
どうしてでしょう?

さて、資産価値レポートの更新情報です。
今回は「豊島区」を最新情報化。
小さな物件が2つほど出てきました。
それ以外は大きな動きがなし。
ちょっと元気がないエリアですね。
うーん、やっぱり消滅可能性都市でしょうか。

豊島区総集編
価格 3590

■THE GRAND MILLENNIA TOWER&SUITE(グランドミレーニア)、■OWL TOWER、■ヴィークコート千川、■シティハウス東池袋、■ルフォンリブレ大塚 アリーナ、■ルフォンリブレ大塚 テラス、■シティハウス大塚ステーションコート、■サンメゾン目白高田、■ディアナコート宮坂壇邸

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開催場所:セトル 4階会議室
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10月1日土曜日の13時から17時まで、
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2016/9/9 13:32 Comments (3)

3 Comments

まろたんさん、こんにちは。

最近、清張の「黒い画集」を読んでいます。
読みながらついつい引き込まれます。
昭和の香りが漂ってきますねえ。
読みながら、ふと思い出しました。
「コレ、読んだことがある」
はるか昔。小学生か中学生の頃です。
もう40年以上も前の話ですね。
今読むと、また味わいが違います。

塩野七生は食えない婆さんです。
でも、書いたものはスゴイ。
私にヨーロッパというものを理解させてくれたお方。
まあ、人は好き好きですよ。
私が人に勧めて外れがないのは
ホーンブロワ―シリーズでしょうか。
まろたんさんが今から読むにはどうかと思います。
英国人で、お父上のはるかな先輩のお話です。

ではまた ごきげんよう 榊淳司

2016/09/09 18:18 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

塩野七生さん。
ご芳名は存じ上げております。
たいそう、ご立派な御方なのでありましょう。
が、
ご著書は読んだこと、ありません。
無学な小市民には、まこと近寄りがたいと。

ご尊顔はお写真で。
で、私は。
「うーん」とだけ。

どうぞ、ご推察下さい。(笑)
ごきげんよう。

2016/09/09 16:43 | by まろたん

榊さま。

2歳上の古い友人がいます。
ショボい会社を長くやっています。
が、けっこう儲けておる。

4年ほど前、イッパイ飲んだとき、私はゆうたのん。
「六〇過ぎたら、競馬で言えば、第4コーナーを曲がり、
ゴールまでの、ラスト・一直線だぞ。
気合いを入れて、生きようよ」と。

彼、その夜、わざわざ我が家に電話してきました。
で、曰わく。
「いやー。今日の話、身にしみたよ。その通りだな」。

単純なオトコですわ。(笑)

メール・一通、お送りしました。
ご一読下さい。

ごきげんよう。

2016/09/09 16:28 | by まろたん

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