我らは幻想の中に生きている

私は毎日寝るのが深夜1時半ごろで、
朝になって寝床から這い出すのは10時過ぎ。
時には12時近くになることもあります。
事務所につくのは11時半から13時ころ。
つまり、午前中は機能していません(笑)。

昨日は昼頃に事務所でメールをチェックしていると
「2回電話をしたけれど通じなかったので」という
旧友からの来信がありました。ハハハ、そういうこと。
私に連絡をくれるメディアの人々も、だいたいは夜派。
午前中にコンタクトがあることは稀ですね。
何か事件が起こっていれば別ですけど。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、ビックリしますね。
何がって株価です。日経平均上がり続け。
先日、そっち業界の人が相談にお見えになったので
「なんであんなに株価が上がっているのですか？」と
お聞きしたのですが、やっぱりよく分かりません。

黒田総裁の続投、あるいは北との開戦回避、
来春の企業業績、安倍政権の安定、経済成長・・・
ぜーんぶ織り込んでもこんなに上がらないはずですけど。
ほんとうに「ようわからん」状態です。

株価というのはある程度不動産市況に影響します。
特に都心の高額マンションは株価が上がると販売好調に。
でもね、すでに上がり切っている状態なのですよ。
これ以上値上りすると、バブルの上塗りに他なりません。

実は、マンションの価格というのは100％幻想の賜物です。
幻想、というのはみんなが「そうなんだ」と信じていること。
人間社会というのは、基本は幻想でできているのですよ。
一番分かりやすいのは通貨ですね。
円とかドルとかユーロというのは、「交換価値がある」と
何十億もの人が信じているから額面の価値があるのです。

仮に宇宙人がやってきて一瞬で地球を征服した時に、
「2兆ドル差し上げるからお引き取りを」と申し入れても
多分無意味ですね。その宇宙人が
「いや100兆ドルなら考えてやる」なんて、言うはずもなし。

つまりドルというのは地球上の文明人たちが「価値がある」と
信じて誰もが疑わないから、その価値を持っているのです。
こういう価値はひらたくいうと「幻想」なのですよ。
大きなところでは、国家というもの自体が幻想です。
もちろん、国連という組織も幻想。

株価なんて、幻想の際たるものです。
そもそも、株式市場というのは株式会社が直接一般の
人々から経営資金を集めるために設けられているものです。
しかし、いつの間にか株価の変動で金儲けをする人たちの
巨大な交換所になってしまっています。

現在の株式市場なんて、仮になくても困るのは
証券会社その他の周辺産業だけでしょ。
日本の農業や漁業にはほぼ関係ないはずです。
極端に言えば、モノづくりには関係ありません。

株式市場は、株式市場のために存在しているようなもの。
例えば「時価総額」なんてワードがありますが、
その額を用意すればその会社が買えるのですか？
実際は絶対に買えません。幻想を数値化したものです。

東京大学というものがありますね。あれも幻想です。
なぜって、東京大学というのは究極なんなのか、
ということを問い詰めれば、結局何もないでしょ。
本郷と駒場に東京大学を名乗るキャンパスが存在していて、
そこでは様々な授業が行われて単位と卒業という
本来カタチのないものが発行されている、というだけ。

肝心なことは字を読めるほどの日本人は誰でも、
そこで行われていることやそこを卒業というかたちで
でていった人々がある分野でお利口だということを
信じて疑っていない、と言うだけのことです。

それに比べれば、私たちが毎日食べる食料というのは、
手で触ったり飲み込めたりする実物ですね。
パソコンという機械は実物です。でもその中で動いている
電子データはほぼ幻想です。

人間というものは、ほぼ幻想の中で生きているのです。
また、人間社会は貨幣や組織や学歴や友情など、
様々な幻想を基盤に構築されているのです。
そういう基本的な仕組みから考えると、
マンションの価格なんて幻想の中でも最弱の部類に
属する幻想ではないかと私は考えます。

マンションという建造物は幻想ではなく実物です。
そこには当然出来の良し悪しはあります。
でもその良し悪しを判断する人間の価値観は幻想です。
そして、そのマンションの各住戸に
「0000万円の価値がある」という評価なんて、
吹けば飛ぶような幻想ではないですか。

私は「鶏卵10個が300円」という幻想よりも
さらに実感の弱い幻想だと思います。
だって、その値段で買う人が現れないと実現しませんから。
ただ、私はそれをビジネスのネタにはさせていただいています。

さて、話を株価に戻しますね。
株価が幻想である以上、その安定は人間の心次第。
つまりどれだけ多くの人がその幻想を信じるか否か。
今、日経平均がするすると上がっているのは、
多くの人が「上がる」という幻想を信じているからです。
これが「下がる」という幻想に変われば、ストンと下がります。

私は、性格的に幻想にはかなり疑り深い方です。
確かに企業業績はかなりよさそうですが、
実体経済を全体で見ると、ちっともよくないと思います。
だから、不可解なのです。怖いのです。

もっとも考えやすいのは、不動産の局地バブルに
ようやく株価が追い付いてきた、ということでしょうか。
何と言っても、世界中でおカネが余っています。
日本の株式市場にやってきても不思議ではありません。
そう考えると、その先がさらに怖くなります。

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ただし、順番におうかがいしますので、
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待ち時間が多少発生しましたが、
次回も同じようになるかどうかは分りません。

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2017/11/3 0:07 Comments (4)

4 Comments

トスカ兄さん、こんにちは。

「ショック」というのは予測できませんからね。
世界経済の動きを見ていると、
過去をトレースしたようなことは皆無。
みな、それぞれオリジナルの動きをします。
この先、今の好調が続くと考えるのは
愚かしい見方だとは思いますが、よう分りません。
しかし、バブルは必ず弾けるものです。
株価がバブルかどうかは分りません。
しかし、実体経済に勢いがあるとも思えず。
考えてみれば未来予測を当てた人間なんて、
過去にどれほどいたのでしょうか。
まあしかし、それが私のメシの種(笑)。
せいぜい、自分の考えを唸ります。

ではまた　ごきげんよう　榊淳司

2017/11/03 15:03 | by Sakaki Atsushi

まろたんさん、こんにちは。

どういうわけか、形而上でモノを考える人は少ないですね。
私も哲学なんてまるで興味がありませんが、
考え方を理解するくらいは形而上のことが分ります。
本質というのは、99%の人間が分っていません。
みな、形而下のことでせいいっぱい。
形而下の9割は「カネ」と「色」に関すること。

息を引き取る直前に
「これでおしまい」と言った落語家がいたとか。
こういう人は人間の本質を分っていますね。
凡百は死ぬまで形而下の世界にしか生きられません。
宗教はすべて形而下を超える形而上の答えを求めました。
一番マシなのは仏教だと密かに考えています。
まあ、基本はどうでもいい話ですが。

幻想に生き、幻想に死ぬ。
私の人生もその中にあります。

ではまた　ごきげんよう　榊淳司

2017/11/03 14:58 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「色即是空」と。
本質論は、こわーい。
コレを、科学・サイエンスで糊塗しようとしたのが、
近代西洋思想でしょう。

ガンもどきで有名な近藤誠医師が、
ウン十年前、その著書に、こう書いておられた。

「ガンは、＜放置も療法のひとつ＞である。
しかし医療信仰に洗脳された人は、医療幻想を持ち、
＜放置＝何も治療しない＞という選択肢は、
精神的に耐えられないのだと思う」
と、いうふうな論考を。

「色即是空」。
この本質論には耐えられないのです。ニンゲンは。
で、ニンゲン、今となっては。
もはや幻想に生きるしかない。

コむつかしい話を。
失礼しました。
ごきげんよう。

2017/11/03 08:37 | by まろたん

榊さん、こんにちは。

＞これが「下がる」という幻想に変われば、ストンと下がります。

株式関連市場の幻想は、一夜にして、時には一瞬にして変わってしまいますから、恐ろしいのです。東日本大震災の時には、日経225プットオプションを売っていた某T氏が強制ロスカットを食らい、何億円もの負債を抱えて破産状態に陥ってしまったそうです。T氏は、大震災が起こるまでは、同プットオプションの売りで合計約1億円の利益を得ていたのに、あっという間に人生が暗転してしまいました。

ここしばらく、世界の株式市場は極めて順調ですが、また何かショックが生じて破産に瀕する投資家が出現するのではないかと、私は懸念しております。杞憂に終われば良いのですが、果たしてどうなるでしょう。

ごきげんよろしゅう。

2017/11/03 03:14 | by アル中のトスカ兄さん

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