ヨタ話:米中貿易戦争が局地バブル崩壊を導く

最近、「おまえ、もしかして、アホちゃうか」と思うのが
アメリカのトランプ君ですね。あのオッサン、かなりヘン。
北朝鮮に対して大幅な譲歩して世界を唖然とさせたのも束の間、
今度はいったん収まったかに見えた米中の貿易戦争を再開。

たしかにアメリカは中国からモノの輸入は5054億ドル、
逆に中国への輸出は1302億ドルなので大幅な貿易赤字。
アメリカがズルをしている中国にドルを吸い取られている、
という見方ができないことはありませんね。
中国のせいでアメリカは貧しくなっているのだ・・・

トランプ君は少なくともそう考えているから、
「中国からの輸入品に報復の関税を掛ける」とやっています。
おいおい、トランプ君の取り巻き諸君よ、
アメリカにとっての貿易赤字とはどういうものなのか、
しっかりと分かりやすく教えてやれよ、と思います。

トランプ君って、ペンシルバニア大学のMBAだそうですね。
日本で言えばさしずめ大阪大か名古屋大くらいの経営学修士。
学歴だけ見ていると「アホではないはず」なのに、
やることなすこと喋ること、かなりのアホではありませんか。

アメリカはもう40年以上も前、ニクソン大統領の時代に
金本位制ではなくなっています。なんでそうなったのか?
1970年頃のアメリカは、かなり苦しんでいました。
まずはベトナム戦争が泥沼化していました。

国力が衰えて経済もかなり弱っていました。
日本から繊維を始め様々な工業製品が大量に輸入され、
ドルがどんどん流出していました。
ニクソン大統領は、日本の総理であった田中角栄と
首脳会談を行うのにわざわざハワイに場所を設定して、
角さんの機嫌を取って貿易面で譲歩を引き出そうとしたくらい。

しかし、結局アメリカを救ったのは通貨制度の変更。
金本位制を捨てて、管理通貨制度に移行したわけですよ。
この時、トランプ君はもう立派な大人になっていたのに、
なんでその意味がきちんと理解できなかったのか。

どういうことかというと、金本位制のアメリカは
金の保有量だけしかドル紙幣を印刷できなかったのです。
だから国際収支が赤字になってドルが流出することは即ち、
それだけアメリカが貧しくなる、ということでした。
だから当時のニクソン君は焦りまくっていたわけですよ。

しかし、ニクソン君が金本位制をやめた(ニクソンショック)
おかげで、今はハッキリ言って国際収支の赤字なんてヘッチャラ。
中国がいくら貿易黒字を稼いだとしても、その分だけ
アメリカが貧しくなったとは言えないのですよ。

その理由は、アメリカは昔と違っていくらでもドルを刷れるから。
ものすごーく簡単に言うと、「足らんかったら刷ったらええやん」。
刷ったドルで中国人が汗水たらして作った製品を買えばOK。
現に今、そういうことになっているわけです。

それで、中国はどうしているのか?
あの国は威勢がいいわりには世界から信用されていません。
それで、稼いだドルをばら撒くことで世界を靡かせようと
しています。数年前はヨーロッパ各国が靡いたように見えました。
ドイツなんかはホイホイと北京詣でをしていました。

フランスもそれなりに微笑んでいました。
イギリスは露骨に中国からの投資を求めていましたね。
しかし、ここ2年ほどはやや様子が異なってきました。
まず、2010年にノーベル平和賞を受賞した劉 暁波という方を
弾圧して、殺してしまいました。現在夫人が幽閉中。

次に南シナ海で国際法破りの領土拡大を行いました。
さらにはギリシアやアフリカの港湾施設などを
借金の形に奪い取ってしまいました。
剥き出しの野心は隠しようもありませんね。
それでまあ、世界中の国が一歩も十歩も引いています。
仲がいいのはパキスタンとカンボジアくらい。

中国にとって、ドルこそが野心を叶えさせる最重要資源。
だから、安物を輸出してドルを稼ぎ続ける必要があります。
さらに言えば、そのドルでアメリカの国債を買って、
「いつでもこれを売るぞ」と交渉のカードにしています。
それはほぼ使えないカードですけどね。

さてさて、こういうドルと中国を巡る関係は、
実のところ日本の不動産市場にもそれなりに影響があります。
「爆買い」なんて騒がれたのは2015年の頃ですね。
あの時、中国人が買っていたのは粉ミルクや化粧品だけでなく、
日本の新築マンションも爆買いしていました。

ところが2015年から2016年にかけてチャイナショックが
にわかに注目されるようになりました。
「中国経済、ほんまはアカンで」ということですね。
特に「いよいよバブル崩壊かいな」という衝撃が世界へ。

こういう時、中国人たちは我先にと祖国から逃げ出します。
最初はお金。稼いだ人民元はドルに替えて海外へ送金。
これによって何百億ドルもの「外貨」が流出した模様。
そういうお金はアメリカやカナダ、オーストラリア、
そして日本で不動産や企業買収に使われました。

慌てたのが中国の共産党政府。
「ドルを海外に持っていったらアカン」という規制を開始。
まあ、最初は「政府に政策あれば下々に対策アリ」の国。
様々な抜け道を使ってドルの持ち出しは続きました。
しかし、2017年頃にはかなり厳しくなったと言います。

基本、ひとりの中国人が1年に持ち出せるのは5万ドルまで。
それも1回でなくて3回か4回に分けないと許されないとか。
これで彼らの海外での不動産購入は相当萎みました。
実際、中国の「外貨準備高」はかなり減ったようです。

今では3000億円を切ったと言われたりしますが、
そこは中国。統計数字はあまり信用できません。
一説によれば政府関連では1千億円あるかないかとか。
もしそうなら、結構やばいことになっていそうですけど。

さて、そういう中国をおバカなトランプは単純に
「アメリカからずる賢く貿易黒字を稼ぐ国」だという、
1980年代の国際経済感覚で捉えているようです。
彼の始めている貿易戦争は、米中両国経済にとって
かなりのマイナス要因になるはず。
つまり、両国の景気を悪化させることにもなりそう。

これでは日本も困ります。
なぜなら、この両国は日本の主要な貿易相手国。
日本のモノやサービスをたくさん買ってもらっています。
カンタンに言えば、米中が貿易戦争を始めると、
景気が悪くなって日本企業の業績が陰ります。
少なくともそう考えた株式市場は平均株価を下落させました。

さらに言えば、日本で爆買いしたマンションを
中国人たちが一斉に売り出す事態も考えられます。
外貨不足に怯えた中国政府が、外貨持ち出しを
さらに厳しく制限するかもしれないからです。
そうすると、人間の心理としては
「ともかく資産はキャッシュにして手元に」となります。

ここ数年、日本の不動産は局地バブルでした。
しかし、これは他の主要国の不動産市場と比べると
実に可愛いレベルです。上がったところでせいぜい2倍ちょっと。
他の国では数倍も珍しくありませんからね。
だから、もっともパフォーマンスの悪い日本の
不動産を真っ先に現金化する、というのが投資のセオリー。
まあ、私の読み通りになるかどうかは分かりませんが。

つまり、トランプ君のアホな政策は巡り巡って
日本の不動産の大暴落につながってしまうかもしれない、
という仮説はある程度成り立つのではないかと。
もちろん、日本の景気悪化も不動産市場の下落を
導くトリガーになることは間違いありません。

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2018/6/26 0:05 Comments (0)

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