黒田君、ヘリコプター・ベンに学べ

前回に引き続き、この異様な金融緩和のお話し。
黒田日銀総裁は「消費者物価2%上昇」の目標を
捨てようとしません。なんでかな、と不思議。
そもそも、物価が上がるって良くないことでしょ。
中央銀行の使命は物価安定、と教科書に書いてあります。
なのに2013年に「物価2%上昇」を目標を掲げたのは
「物価が上がれば景気が良くなる」という
経済学会リフレ派の理論前提があったから。

景気、もう良うなってるやん!
失業率は下がったし、少しばかりでもGDP増えてるやん!
個人所得は増えてへんから、物価上がったら困るやん!
せやのに、なんで物価を上げなあかんの?

リフレ派の理屈では、お金の供給を増やせば
相対的にお金の価値が下がって物価が上がる、となります。
お金、いっぱい増やしました。2013年時点に比べたら
もう5倍くらいに増やしたんとちゃいますか。
お金のこと、「マネタリーベース」なんて言うてます。

せやのに、物価は上がてへんやん! なんで。
需要と供給の関係で考えるとお金が5倍でしょ。
物価も5倍になってええやん。せやのに2%も上がらん。
なんでかなー、なんでかー、ななななんでやろ?

答えはカンタンなんですよ。
増えたお金は日銀の勘定と市中銀行の勘定にあるから。
市場に出てきたお金は一部が不動産担保融資に回って
都心の不動産を局地バブル的に上昇させただけで
日銀がもくろんだ企業の設備投資や個人の消費には
ちっとも回っていない、というだけのこと。

つまり、日銀がマネタリーベースを増やしても
個人や企業の懐には転がり込んでいない、という現実。
せやから僕らはそのおカネを使えへんやん!
ありていに言えば「借りやすく」しただけ。金利は史上最低。
だからお金を借りて不動産を買うことはすごく容易に
なって一部エリアでは局地バブルが起こったワケ。

この現象を「バブルではない」というてるアホもいますが
そういう人は経済のマクロ構造が元々わかっていない。
大学入り直して経済学の基礎を学ぶべきだと思います。
まあ、ええ先生に当たらんと無駄に終わるかも知らんけど(笑)。
経済と金融と不動産の関係は意外と単純なんですよ。

ベン・バーナンキというアメリカ人のおっさんがいます。
前の前のFRB(アメリカの中央銀行)の議長です。
彼はお金を増やしても景気がようならんということを
理解していいます。だから、彼はこういったのです。
「ヘリコプターからお金を撒くように供給しろ」

だからバーナンキの別名は「ヘリコプター・ベン」。
荒唐無稽な理屈のように見えて、実はあり得る話。
ベーシックインカム、という発想がありますわな。
国民一人一人に政府がお金をあげちゃおう、という話。

その昔、不景気になって「地域振興券」というのを
もらったのを覚えていますか。あれですよ。
国民にお金をあげて使ってもらうと景気がようなるやん、
という発想です。これはヘリコプターマネーと同じ。

黒田君の金融緩和は「借りやすくしてあげるよ」ということ。
つまり国民や企業に借金をさせてお金を使わせ、
それで景気を刺激しようとしたわけ。けち臭いなあ。
いっそのこと、「全国民に100万円ずつ配布」はどう?
これがヘリコプターマネーです。
地域振興券は、せいぜいひとり数万円。

これを読んで「そんなアホなこと」と思っているでしょ。
ぜんぜんアホちゃいますよ。やっている国がありますから。
例えば、サウジアラビア。石油の収入がアホほどあるから
国民にお金を配っても全然平気。だから・・・
サウジアラビアの市民権を持つ人は全員が富裕層。

日本には石油が出ないから、そんなことは不可能・・・
みんな、そう思うでしょ。アタマ硬いなー。
日本には素晴らしい技術も頭脳もあります。やがてAI化。
それらに稼いでもらって、上がりをみんなで分けたらええやん。
こういう考え方も成り立つのです。
つまり、国民の大半は消費者に徹する。

さて、国民や企業がいくらお金を借りやすくしても
黒田君の思惑通りに物価は上がりませんでした。なんでか。
基本的にお金を増やしたと同じインパクトで、
モノも増やせるようになっているから。

資源や工業製品の生産能力は、需要を大幅に上回っています。
だから少々お金を増やしてもモノの値段は上がらないいのです。
そのことに、黒田君とその取り巻きは気付いていません。
ここでやるべきは、やはりヘリコプターマネーでしょ・・・
なーんて冗談ですよ(笑)。

しかし、経済というのは面白いですね。
私は正式に勉強したことはありません。
でも、いまでは経済をネタに原稿を書き、講演をします。
この分野はけっこう「需要」があるようですね。

ユーチューブでもこの問題を語りました。
このシリーズ、これで何本目やろ?

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を開催することにいたしました。
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わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

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開催場所:セトル 2階会議室(以前の4階から2階へ変更になりました)
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

12月1日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は1組様。
待ち時間はございませんでした。
次回も同じようになるかどうかは分りません。

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2018/11/6 14:05 Comments (0)

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