「現代国語」の試験はただ悪文読解術をスコア化するだけ

最近、京都大学模試の理系現国を解かされる機会がありました。
あたり前ですが、よー分かりません(笑)。
センター試験レベルなら、古文漢文含めて何とかなります。
しかし、さすがに京大は難しいですね。

1500字くらいの論説文を読まされて、その内容について
あれこれと問われるような、入試ではごくありがちな問題でした。
最初に驚くのは、その論説文が何を言いたいのか分からないこと。
3回くらい読んで、やっとおぼろげな意味が分かります。

次にゲンナリするのは、使っている言葉の難解さ。
「こんな言葉知らんわ」という単語がいくつも出てきます。
私は読書量がそれなりなので、意味が分からない
言葉に出くわすなんてことは滅多にありません。

しかし、その書き手が勝手に合成している言葉なんて、
「知らんがな」の世界なのです。あたり前でしょ。
「これを受験生に読ませるんか」と思いました。
まあ、京大に入るような人は頭の構造が違うのでしょうか。

何とか自分なりに解釈して解説はしました。
あっているのかどうかなんて全く自信なし。
私に尋ねた受験生は、その論説文を10回読んでも
何を言いたいのか見当もつかなかったそうです。

しかし、「現代国語」という科目は病んでいますね。
そもそもこの科目、何のためにあるのですか?
私の理解では「日本語を正しく理解して使うため」でしょ。
ああいう分かりにくい論説文の言いたいことを正確に
理解する能力に汎用性があるとは思えません。

それは間違いなく特殊能力です。
こむづかしい論文を査読しなければならない一部の
哲学系学者さんだけが持っていればいい能力。
それをどうして理系の入試問題に想定するのでしょうね。

そもそも、大学入試における現国という科目の
設定自体に問題があります。
ああいうスタイルの試験でどれだけ高い点を取れても、
まともな日本語の文章を書けるとは限りません。
また、物事を理路整然と説明できる能力も身に付きません。
ああいった試験で身に付くのは主に「悪文読解力」です。

文法や言葉は間違っていなくても、日本語の文章として
ひどく出来の悪い文章を読みこなす能力ですね。
そんなもの、世の中から出来の悪い日本語の文章を
追放してしまえば、不要な能力ではありませんか。

私は何冊か拙著を出させてもらったおかげで、
何社かの新書の編集者さんと親しくさせていただいています。
彼らが異口同音に言うには「大学の先生は総じて文章が下手」。
教授たちの原稿が上がってくるとドキドキするのだそうです。
「どんな恐ろしい原稿なのだろう」とビビるワケです。
まあ、たいていは「うわー」となるそうですが(笑)。

世の中で、新書を書くほどの大学の先生なら、
どう考えてもアホではないでしょ。少なくとも
世間に解説するような実績や知見をお持ちなはずです。
そしてだいたいが大学入試の現国でそれなりの
スコアを出されているのではないでしょうか。
私立理系のご出身なら、そうではない方も交じりますが、
少なくとも文系なら現国は必修科目なはず。

そういう属性の方が、総じて編集者を唖然とさせるような
稚拙な日本語の文章しか書けないのが、今の日本です。
それはつまり、少なくとも現国の入試問題が
「日本語を正しく理解して使うため」の内、「使う」という
能力の計量には無関係、ということですね。

ある編集者さんは「うちの新書は時々入試に使われます」
とおっしゃいました。試験が終わってから通知が来て、
ほんの少し使用料が支払われるのだとか。
出版社に連絡が来るので、担当編集者が送られてきた
問題文を添付して著者さんに送るのだそうです。

そういう問題と解答を見た著者さんがよく言うこと。
「こんなつもりで書いてないのだけどなあ」
これって、よく聞く話ではありませんか。

結局、現国の試験は「出題者の意図」を読み取る
テクニックだけをスコア化しているだけです。
なんかこれ、去年はやった「忖度」に似ていませんか。
そして、実に下らない能力ではありませんか。

ある調査によると、日本人の35%はカンタンな
日本語を読みこなす能力さえ備わっていないとか。
まあ、それでも出来る仕事はたくさんあります。
だからこの国はなんとか持っているのでしょう。

しかし、世の中の知識人と呼ばれる人々の
日本語の能力がイマイチなのは、私はこの国の
国語教育が根本的に間違っているからだと思います。
それは結局、外国語である英語の教育にもつながり、
日本人全体の「英語ベタ」の基盤だと推定できますね。

ではどうすればいいのでしょう。
私は基本に忠実にやればいいと思いますよ。
基本とは「読む」、「書く」、「話す」、「聞く」。
たくさん読ませて、いっぱい書かせて、
時に喋らせる。そこを中心にすれば十分でしょう。
まあしかし、この4つの国語の基本能力を満足に
教えられるレベルの教師が、小学校から大学まで
ほとんどいなさそうなのが今の日本です。嗚呼。

さて、早稲田大学エクテンションセンターでの春学期、
私の講座が開講されます。そのタイトルもずばり

マンションの買い時、売り時を探る

5月18日の土曜日です。13時から18時まで。
すごいでしょう。1日で90分を3回かまします(笑)。
榊三昧の5時間を、どうぞお楽しみください。

新しいユーチューブでの動画を制作しました。
資産価値レポート「東京のタワーマンション」のPRです。
新しい編集ソフトを使い始めたので
まだタイトルを入れた程度です。
ただ、音がやや小さいのでボリューム上げてください。

ゲンダイさんでのユーチューブでの配信も続いています。
このシリーズ、これで何本目やろ?
これからもどんどん出てきます。

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開催日時:4月13日(土)13時~17時
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(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

4月13日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は2組様。
待ち時間はございませんでした。
次回も同じようになるかどうかは分りません。

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2019/3/13 18:58 Comments (0)

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