コンピュータがアメリカ人の敵になるワケ

前回の更新に登場した脳科学者の茂木健一郎先生。
あの講演DVDの中で彼はこんなことも言っていました。
「この前ね、数学者の藤原正彦先生にパーティで会ったんですよ。そこで、藤原先生は『茂木君ね、僕は20年間ずっと考えていて解けない数学の問題があるのだよ・・・・』すごいでしょ! 20年ですよ、20年同じ問題を考えるって、君たちできる?」
確かに、すごい!
私は、20年も同じ問題を考えられませんが、
疑問に思ったことを頭の片隅に置いておく習慣はあります。

その問題のひとつが、さっき湯船に浸かっていたらにわかに氷解しました。
「あっ、そうだったのか!」
ちょっとした知的興奮。
マンションや住宅には何の関係もありませんが、
興奮ついでに書かせていただきます。
マンション関係での更新を期待されている方は、スルーしてください。

私がここ1,2年ほど、漠然と疑問に思っていたことは、
西洋人と日本人の「ロボット&コンピュータ」についての感覚の差異。
日本人にとって、ロボットやコンピュータは人間に役立つ物であり、
感覚的には「味方」や「友人」であって、決して「敵」ではありません。
ロボットである「鉄腕アトム」や「ドラえもん」がその象徴。
コンピュータにしても然りで、
人間に「役立つ」ものという感覚でしか捉えていません。

ところが、西洋人はどうも違うようです。
ロボットやコンピュータは、いつか自己の意思を持って
人類に敵対する存在となる、という意識が根底にあるように思えます。
「2001年宇宙の旅」とか「ターミネーター」など、
ロボットやコンピュータが人類の制御を離れて敵対的存在になる、
という設定の映画やドラマは数知れません。
こういうシチュエーションを、日本人はまず作りません。

そういったハリウッド映画自体は面白いので観てしまいますが、
そもそもの設定には疑問を感じていました。
「まさか・・・コンピュータが人間に逆らうのか?」
こういう違和感は、みなさんももたれていたと思います。

私も一日中パソコンを使って仕事をしていますが、
コイツはかなり頭が悪いですね。
単純な仕事なら人間の何十倍も速いけれど、
少なくとも「自分で考える」ことなんて、ありえないと思います。
西洋人(主にアメリカの映画人)は、
いつかコンピュータやロボットが人類の生存を脅かす存在になるなんて、
本当に信じているのでしょうか?
私は、そのことがずっと疑問だったのです。

それが、さっき湯船に浸かっていたら、見事に解ってしまったのです!
すみません・・・手前勝手な話題で。

私の答えを言ってしまうと、「キリスト教徒の贖罪意識」です。
つまり、旧約聖書によると「人類」とは唯一絶対の「神」が
自分の姿に似せて「創造」したもの。
そして、その人類はアダムとイブの犯した
「原罪」を背負いつつ生きています。
その人類が、神様しかやってはいけない「創造」を行っているのが
「コンピュータ&ロボット」の開発と製作なのです。

だから、いつしか人類はその罪の報いを受けるはずである・・・・
ロボットやコンピュータは、神様の真似事をした人類に対し
必ずや厄災をもたらすはず・・・
人類の傲慢によって誕生したロボットやコンピュータは
バベルの塔が崩壊したように、神の怒りで人類を滅ぼす・・・
という「原罪意識」なのではないでしょうか?

そう考えれば、すべてが氷解するわけです。

日本のロボット技術は世界一といわれています。
日本人は、そういったキリスト教徒が持つ面倒くさい贖罪意識はありません。
ロボットやコンピュータは、あくまでも「道具」。
文明の発達を助けこそすれ、自らの意思を持って反逆する存在ではありえません。
またアトムやドラえもんのように、時には我々を助けるたのもしい味方。

そういう感覚からキリスト教徒の「ロボット&コンピュータ」に対する
潜在的な恐怖感や敵対意識を眺めていると、
かなり「対岸の火事」的で面白いですね。

最近、エジプトの政変が話題になりました。
アメリカがアフガニスタンやイラクで戦争をしているは、
いってみれば宗教的な対立が根っこにあります。
キリスト教とイスラム教の対立は、実に1500年もの歴史があります。
そのことを、ほとんどの日本人は理解していません。

今のアメリカ人やイギリス人のうち、
日曜日には教会へ行く人など20%もいないはず。
でも、彼らは確実にキリスト教的な価値観を持っています。
日本人は、いってみれば無宗教。
少なくとも一神教的な価値観はもっていません。
彼らの感覚を理解するために、我々はもっと「宗教」を学ぶべきでしょうね。

私が最初に学んだ大学はキリスト教系でした。
そこでは「宗教学」という一般教養の科目が必修。
今から思い出しても、興味深い内容でした。
キリスト教に限らず、イスラム教の基礎知識もあの講座で学びました。
おかげで、さっきも湯船の中でドーパミン噴出の快感を味わいましたから、
同志社大学の一般教養も捨てたものではありませんね(笑)。

「値下がりしないマンション選び」セミナー
2月27日(日)午後3時30分より
参加費 お一人様 3000円
好評受付中 


2011/2/17 0:49 Comments (2)

2 Comments

いや、日本にも機械が人間の敵になる話ありますよ。
銀河鉄道999とかね。

仮面ライダーなんかはもっと面白いかも。
仮面ライダーはヒーローではあるが、望んでなったわけではなくショッカーに無理やり改造された結果です。
人間でも機械でもどちらでも無い者(=改造人間)になってしまった、悲哀を含んでいます。

アメコミのヒーローはその特別な能力を単にプラスアルファで望ましいものとしか捉えていませんが、仮面ライダーはその特別な能力をメリットであると同時に一生背負うハンディキャップと見ているわけです。
このへんの違い、宗教観の違いで説明つかないですかね?

2011/02/18 20:41 | by しょうじ

アメリカの会社の場合、優れた同僚は自分の立場を奪うので困っていても助けない、仕事が重なっていればむしろ敵だったりします。神様とも一対一で契約していますから、契約相手にとって自分がどれほど有益かとアピールしないといけない。

日本の場合、分け御魂と言いますが、名前すらない大きなものの中の一部、体の中の細胞の1つであるというのが基本です。誰かと契約もしていません、守るべき約束も与えられていません、役目を果たすだけ。それが終わったり、他の細胞と協調して働けないやつは白血球がやってきて排除される。ロボットもコンピュータもそんな細胞の1つ。

2011/02/17 03:02 | by Que

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。