去年の9月頃だったと思います。
休みの日に車を運転していると、携帯電話がブルルルルッ。
道路の左端に寄せてディスプレイを見ると、知らない番号。
「ハイ、もしもし・・・」
「あの・・・榊さんでしょうか?」
「そうですが」
「コンサルティングはしていただけるのでしょうか?」
時々いらっしゃるのです。
どこからか私の携帯の番号まで調べ上げて、直接掛けて来られる方が。
住宅購入のご相談をお受けするのは私の本業みたいなもの。
しかし、メールの初回以外は有料で、しかも電話ではお受けしていません。
でもまあ、「やっていませんから」なんて言えませんから、
一応はお話をお聞きします。
その時、電話を掛けてこられた方はすごく切羽詰った感じ。
よくお聞きすると、都心の某タワーマンションを購入して
引っ越したばかりなのですが、急に不安に駆られたのだとか。
(このマンションを買ったのは失敗だったのでは・・・)
ネットでいろいろ調べてみると、行き当たったのが私のHP。
そして、レポートを買って読んでみたら案の定・・・・
「買ってはいけない」に分類されていたのです。
それで慌てて電話をしてきた、という次第。
「私、どうしたらいいのでしょう?」
はっきり言って、困ります。
買ってしまってから相談されても、遅いのです。
こういうご相談は買う前になさってください。
この場合、私としてもできることは限られていました。
「お売りになるのなら、早いほうがいいと思いますよ」
そうとしか言えません。
そういうマンションを上手に売ってくれるであろう業者を紹介し、
売却価格もある程度詰めて・・・・
何回かお会いしているうちに、そういった方向になりかけたのですが、
最後の最後に「やっぱり1年くらい住んでみる」ということになりました。
そして、この3月11日の地震。
世の中、タワーマンション離れが始まっているようです。
これが一時的な現象で終わるのか、神戸の埋立地みたいに「二流品」のまま
十何年も冷たい目で見られ続けるのか・・・・
先のことはなんとも言えませんが、タワーマンションと言う居住形態自体が
大きなミソをつけたことには変わりありません。
アメリカ人がトランプタワーに幻滅してから20年以上を経て
やっと日本人もタワーマンションの愚に気付いたのです。
実はこの方、そのタワーを買われる前に、
業界では有名な某コンサルタントに相談されたみたいです。
「まあ、あのエリアは将来性もあるからいいんじゃないですか」
そのコンサルからは、そんな風にアドバイスされたそうです。
私が「買ってはいけない」と明解に言い切っているマンションですよ。
そりゃあ、意見の違いと言うものはありますが。
その話を聞いたときから、私はそのコンサル氏が如何にマスコミで注目されようと、
政府のなんちゃらという委員会のメンバーになっていようと、
おっしゃることのすべてが「為にする」ように思えるようになりました。
非常に残念です。
まあ、そんな話はどうでもいいのですが。
非常にお気の毒だとは思いますが、この方が買ったタワーマンションは
もう二度と去年の秋の価格では売れないと思います。
幸い、富裕層といっていい方なので、
それが為に経済的に苦境に立つようなことはなさそうです。
でも、今頃はかなり後悔しておられるでしょうね。
私の力不足なのですが、ここのところ「買ってから」いろいろ悩み、
このブログを見つけ出して、相談を寄せてこられる方が目立ちます。
はっきりいって「買ってから」だと、どうしようもありません。
先日も、私が日ごろ「大量生産の工業規格品もどき」と揶揄している
H社系の大規模マンションを購入して住んでおられる方が
「あの地震でエキスパンションジョイントが破損して、数千万円の修繕費がかかるのだけれど、仕方がないのか?」
というご趣旨でお問い合わせをいただきました。
そのマンションはあの地震の時点で竣工から2年ちょい。
エキスパンションジョイントというのは、躯体に比べればかなり脆弱です。
多少の破損は致し方ないと思います。
でも、首都圏の大方のマンションでは、
数千万円も補修費がかかるほど破損していません。
これは、かなり「雑な工事」が行われた疑いがもたれます。
ただし、施工会社には法的責任はまったく生じません。
地震による破損は、瑕疵担保責任の範囲外だからです。
したがって、そのマンションの管理組合は、
むざむざと数千万円の支出を強いられることになるのです。
納得しがたいことですが、法的には仕方がありません。
マンションというのは一生に一度・・・あるいは二度買うか買わないか。
その割には「エイヤー」の方が多すぎると思います。
このブログに寄せられる「無料相談」でも、
ちょっと危うそうなのはほとんど
「大友さんに本格的に調べてもらったほうがいいですよ」と
アドバイスさしていただくのですが、本当に依頼されるのは数人に一人です。
大友さんは全てを徹底的に調べ上げて「まず間違いない」判断が下せる
「調査報告書」を上げてくれます。
それに基づいて購入の可否を判断すれば、失敗する可能性はほぼありません。
これは、いままで何十人と私を経由して
大友さんに様々なことを依頼された方のほぼ全ての方が、
その結果に満足しておられることから、確信をもって申し上げられます。
ただし、彼はプロですから、費用は発生します。
といっても、大友さんという方は商売気がかなり希薄なほうで、
その費用の額は業界の標準レベル以下です。
先にあげた、「将来性もあるからいいんじゃないですか」の
「いい加減コンサル氏」の事務所に比べれば、すべて割安。
しかも、仕事はキッチリ。
いつか書いたとおり、私のところに「有料相談」に来られる方は、
かなりの割合でインテリジェンスの高い方がいらっしゃいます。
いちいち職業などお聞きしませんけど、チラと漏らされただけでも
こっちが「ヒエー」とビックリするくらいです。
医師や高級官僚、高度な技術者、大学教授、学校教師その他様々。
彼らは、それぞれその道の「専門家」でいらっしゃいます。
ご自身が、その専門性で世を渡っておられるので、
マンションについても、私のようなマンション知識の「専門屋」から
様々なコンサルティングを受けるにあたって、
お金を払うことにほとんど躊躇されないのだと想像しています。
同様、大友さんに様々な調査やコンサルティングを依頼される方も、
私への有料相談者と似たようなところがあります。
中には、住宅以外の不動産の専門家から、
自身の住宅購入についてのアドバイスを依頼されることもあるそうです。
いってみれば、内科の医者が骨折したので整形外科に見てもらうような具合。
私が無料相談を行っているのは、
マンション市場の実態調査という派生メリットもありますが、大半は趣味です。
つまりは、ほぼボランティア。もう3年もやっています。
これは時に楽しいし、勉強にもなるし・・
怒りと悲しみで悲憤慷慨することもあります。
でも、まだまだ続けて生きたいと思います。
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