みんながもっとモノを買うためには、どうすればいい?

「事件は会議室で起きているんじゃない!」というのは
「踊る大捜査線」湾岸警察署・青島刑事の名セリフでした。
あのシリーズが多くの人々に共感されたのは、
「現場」と「本部」の意識のギャップが
見事に出ていたところではなかったかと愚考しております。

ちょっと前に書いたとおり、私はガラにもなく現場好き。
ずっと広告制作の仕事をしてきましたが、
実際に打合せに行くのも、撮影に立ち会うのも大好き。
イベントを提案したときには、現場でメロンパンまで売っていました(笑)。
一見、小難しいことをいいそうな風貌なので、
メロンパンを上手に売って見せると、随分と意外がられます。
そこがまた、面白いところ。

長らく、小さな広告制作会社を経営していたので、
仕事のほとんどが「打合せ」だったことが20年以上続きました。
といっても、その間に引き受けた仕事の
コピーは半分以上、自分で書いていました
いわばここ四半世紀の間、絶えることなく現役のコピーライターです。

ところが、打ち合わせばかりしていると、
どうしてもデザインのことについて喋る機会が多くなります。
特に、クライアントである不動産屋さんに出向いたときには、
コピーよりもビジュアルについての話が大半。
別に難しいことは何もないので、テキトーにやっておりました。
すると、いつかしら長く付き合う広告代理店の担当者は、
私のことをデザイナー出身のディレクターだと思い込みます。
クライアントにも「デザイナーさんです」と紹介されたこと、再三。

私は、自分のことなど99%が「どーでもいい」と思っているので、
自分がコピーライターとして扱われようが、デザイナーだと思われようが、
営業さんにみられようが、抜けめのない関西人と誤解されようが、
いやらしい京都人だと看破されようが、アホなタコ社長に見られようが、
どーでもいいといえば、どうでもいい話。

若いときは「俺はコピーライターだ」というプライドが多少ありましたが、
今となっては別にそれを人に認めてもらわなくても全然OK。
もう、コピー料だけで売上げにして生涯に何億円か
稼いだワケ(そんなお金、全然残っていませんが)で、
今さらギャーギャーと主張する必要は何もないのです。

2日ほど前に面白いことがありました。
「打合せがある」というので、ノコノコと得意先の
広告代理店に出かけていくと、出てきたのが入社直後の若手コピーライター。
私が書いたコピーに対して「文章のリズム感がない」とか
「言葉の使い方が統一されていない」というお叱りを受けました。
確かに、ご指摘ごもっともな部分が多くありました。
まあしかし、この歳になって20歳近く年下の同業者から、
ああいうご指摘をいただくとは、予想外のアクシデント。

私は業界に入って四半世紀、同業者から「お前の文章はおかしい」
という指摘を受けたことが一度もなかったのです。
コピーライターを20数年続けた後、
ここ3年くらいはジャーナリストもやっております。
去年の2月に初めての著書をリリースしました。
昔から付き合いのある同業者(コピーライターや編集者、ジャーナリスト)
の反応はかなり変わっていました。
「内容はともかく、文章は読みやすい」というのがほとんど。
文章よりも中身を褒めてくれよ、というのが私の正直な願い。
まあ、みなさん昔なじみですから、ちょっとナナメの感想かと解釈していました。
驚いたことに、大学の恩師もそういう感想を送ってくれました。
先生は、中身もそれなりに褒めてくれましたけど(笑)。

褒めていただいたと言えば、子どもじみた自慢話もあります。
かつて不動産のコピーで一回、懸賞小説で一回、かの井上ひさし大先生から
文章力をお褒めに預かった経験があるのです。
かの日本語の大家から2回も褒めてもらったコピーライターは
日本でもオレ一人ではないかと、ひそかにほくそ笑んだことがあります。

それが、この期に及んで同業者から
「文章のリズムが悪い」と指摘されるとは・・・
やはり、不動産広告の世界というのは一寸先が闇ですね(笑)。

私は60歳位まで現役のコピーライターを続けるつもりでおります。
本を書いたり評論原稿を書く仕事は65歳くらいまでやりたいな、と考えています。
そういった編集者相手の仕事でアクシデントに合う確率は低いのですが、
やはり不動産広告の世界は十分に注意しなければならないと思いました。
今でも慎重に仕事は選んでいるつもりですが、
今後はもっと気をつけることにします。
歳をとると、アクシデントに対する反射神経が鈍くなりますから。

さて、円はいよいよ過去最高値を更新しそうな勢いです。
円高というのは、輸出企業にとっては目先の業績悪化につながります。
しかし、全体的には日本経済が高く評価されている、とも解釈できます。
まあ、日本経済よりも通貨としての円が買われるだけなのでしょうが。

日本経済を活性化させるために通貨流通量を増やせ、というのは私の持論。
通貨流通量というのは、経済学の世界では「流動性」とか「通貨発行量」とか
「貨幣」とか呼ばれますが、要はお金の量ことです。
経済学者というのは私のような文章屋から見ると、妙に言葉を使い分けます。
だから、素人には分かりにくいことこの上なし。
それはまあいいとして・・・私のように「日銀よ、円を刷れ。市場に流せ」というのは
経済学の中では「リフレ派」と呼ばれているそうです。
リフレとはリフレーションです。
もっとカンタンにいいましょう。単純に「インフレにしろ」ということです。
経済学者の間ではいろいろな論争があって、
最近リフレ派は旗色が悪いみたいですね。
単純にお金を増やして市場にジャブジャブ流すよりも、
「有効需要を創出」する方が不況を脱出する王道だと言うわけです。
それはその通り。
有効需要なんてものがあれば、そもそも不況にはなりません。
では、この「有効需要」って何?
超カンタンにいいましょう。
みんなが、何かを欲しいと思って買うエネルギーのことです。
もちろん、実際に買っていただかないと統計数字になりません。
ところが、これが困ったモノ。
だいたい、今の日本に有効需要なんてあるの?
私自身、何も欲しいものがないのです。
この先、何かを買うとすればテレビくらいでしょうか。
でも、そんなもの高々4万円くらいのつもりです。
みなさんだって「○○が欲しい!」というものがありますか?

今の日本、何でも足りています。
「まあ、できれば○○が欲しいかなか」というモノがある程度。
ファッションやブランド物は除きます。
どうしてもそれを買わなければ世間体が保てない、とか
明日からの仕事に差し支える、あるいは新たなステップアップに必要、
というようなモノが非常に少ないのが今の日本。
だいたい、働かないでもなんとなく食べられますからね。

こういう社会では「有効需要」が増えません。
30年ほど前は、ほっておいても人口が増えました。
車や家や電化製品が欲しい若年層が、次から次へと湧き出てきたのです。
今は・・・そういう感じが全然しません。
車は必要ないし、家は借りるか親と同居。
電化製品なんて、一ヶ月の給料で何でも買えます。

こんな時代に、有効需要を増やすにはどうしたらいいのでしょう?
ひとつの答えは、新しい産業を興すこと。イノベーションです。
30年前、コンピュータ産業は今に比べればほぼゼロに近い状態。
インターネットはここ10年間で急速に普及しました。
携帯電話は15年くらいでしょうか。
こういった新しい産業が出てくればいうことはありません。

私は、住宅産業でもイノベーションが出来ないかと思っています。
若者が、気軽に500万円くらいで買える30㎡くらいの住宅ができれば
爆発的に普及するのではないかと思います。
マンションでも戸建てでもOKです。
今、東京で一人暮らしの若い人は、平均で8万円くらいの家賃を払っています。
1年で96万円。なんやかやを入れれば100万円くらい。
その5年分で「マイスペース」が確保できるようなことができないでしょうか?

震災復興で使われている仮設住宅の建設費は300万円弱。
結構立派なものですよね。土地代は入っていませんが。
古いビルを使うも良し。地べたに建てるも良し。
まったくの新築でも可能でしょう。
日本経済は、「家賃」や「住宅ローン」という呪縛から逃れることができれば
その分かなりの「有効需要」が生み出せるのではないかと思うのです。

自民党政権では長らく「持ち家政策」が続きました。今でもそうです。
35年ローンに各種税制優遇。それでみんな家を買って・・・
結果、現在でも1000万以上の世帯が住宅ローンに喘いでいます。
経済的にデフレが続いている今、その苦しみは年々深まるばかり。
ローンを払って、子どもの教育費を払って・・・
中堅所得層が苦しむことで、若年層は子作りをためらい、
団塊ジュニアから次なる団塊・・はとうとう生まれませんでした。

もうそろそろ、昔風の「マイホーム」の夢を捨て去るときでしょう。
それで、もっと人生は自由になるはず。
若者は家賃の負担から逃れるはず。
子どもを作って、未来に希望を託す気になるはず。

などというゴタクを考えながら、
依頼があれば不動産のコピーも書いています(笑)。

みなさん、私の与太話を生でお聞きになりたいのなら
ぜひ「無料セミナー」にご参加ください。

9月3日の土曜日に無料セミナーを開催することにしました。
今回は会場費がさほどでもないのと、
経費が販売等で賄える見込みもあるので
「榊淳司セミナー」としては、初めての無料開催です。
ただし、定員になり次第締め切りですので、お申し込みはお急ぎください。

場所は、新宿区余丁町の「発明学会」というビルのセミナー室です。
全体を2部制に分けています。
第一部は私の講演「人口減少時代の住宅選び」と、
大友さんの講演と無料相談(大友さん、福岡さん、大村さん)。
今回、私の無料相談は実施しません。

無料ですが、いつもの「レポート廉価販売」は実施します。
レポート購入後希望の方は、「大人買い」のチャンスかもしれません。

第2部で「余丁町コーポラティブ計画」の説明会を開きます。
もちろん、こちらは参加自由です。
詳しくは、このHP左上のバナーか こちら をクリックしてください。

※なお「発明学会」さんからは会場をお借りするだけで、業務上の関係は一切ございません。 atlantic-drugs.net/products/ceftin.htm


2011/8/18 0:37 Comments (0)

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