将棋のプロ棋士・羽生善治さんが何かの本で書いていました。
「直観の7割は正しい」
次の指し手で迷った場合は、直観が示す方を選ばれるようです。
それでもって、あの驚異的な勝率・・・
私もヘボ初段程度には将棋を指します。ほとんど直感で。
でも、生涯勝率は5割に達するかどうか怪しいもの。
やはり、彼は天才中の天才なのでしょう。
私は、社会に出てからのほとんどをコピーライターとして生きてきました。
今でも、一部分はそうです。
その経験上「直観の7割は正しい」ということについては、大いに共感します。
何かコピーを考える際、一番最初に出した案が最善である確率が
おそらくは7割程度ではないかと思えるからです。
何時間、あるいは何日も悩んだり、はたまた頭の働かない徹夜仕事で
ひねり出した案をクライアントに気に入られたケースが無いではありません。
でも、それは極めて稀な出来事でした。
また、それが最善であったという記憶はほとんどありません。
人間というのは全体的に見て、たいして賢くない生き物です。
99%の人間は、たいていの物事を感情で判断しています。
分かりやすくいうなれば「好き」か「嫌い」のどちらかという基準。
特に、広告については100%が好悪の感覚で受け止められます。
広告業界の喜劇性は、この突き詰めれば感情・感覚の問題を
何とか理論体系らしく見せようと日頃から悪戦苦闘しているところにあります。
「宣伝会議」とか「広告批評」などいう業界雑誌があるのですが、
何が書いてあるのか私にはサッパリ分かりませんし、興味もありません。
もし「こういう場合にはこうすれば、こうなってうまくいく」という手法があれば、
とっくにその理屈が体系化されて、相対性理論みたいに世間に知られているはず。
「動物と子どもと好感度タレントを出せば何とかなる」
みたいに、マーフィーの法則まがいの格言ならいくつかありますが(笑)
結局、答えなんかどこにもありません。
膨大な事例がありますが、誰もそれを理論的に体系立てて整理していません。
たとえそれができたとしても、経済状況や社会情勢などの変数が大きすぎて
どのような場合にもあてはまる法則なんかになりっこないのです。
なのに、業界内の多くの方はどこかに「答えがある」と思い込んでいます。
これが私にはとても不思議なところ。
ノーベル経済学賞というのは、ノーベル賞の中でも最後発だそうです。
つまり、化学や医学・生化学、物理学などの本家ノーベル賞から見れば、
亜流の継子みたいな存在だと見なされています。
それでも、世界の経済学界ではもっとも権威ある賞でしょう。
そして、この賞を取るのはだいたいがアメリカ人。時々イギリス人他。
彼らは日本の経済学者みたいに大学で小難しい講釈をたれるのではなく、
積極的に政府の内部に入り込んで、経済政策の立案に関わります。
そういう世界最高の頭脳をもってしても、経済を思いのままには動かせません。
たとえそれができなくとも、
ある程度正確な予測が立てられればいいのですが、そっちもダメ。
ノーベル経済賞の受賞者が、個人的に株投資で大儲けしたという話も聞きません。
実際にはあるのでしょうが(笑)。
そこが経済学における現代アカデミズムの限界水準だと仮定すれば、
広告の世界なんて未だに石器時代みたいなものです。
ましてや、その中でも隅っこにある不動産広告の分野なんて・・・
もう、アハハと笑うしかないほど、実は誰も何も分かっていないのです。
もちろん、私もその中の立派な一人です。
ただ、私は「分かっていない」ということを、
他の多くの方よりも強く認識しているかもしれません。
ただ、「分かっていないこと」を「分かっている」としても、
実際の業務には何の役にも立たないばかりか、
かえってマイナスですらあります。
なぜなら、不動産業界と不動産広告業界の間では、
「正確なマーケティング分析」や「正しいクリエイティブ」が
存在する、という仮定の下で日々の業務が進められているからです。
だから、「答えがある」という前提に立たないと、異端とみなされます。
そのあたり、宗教と人間の関係にとてもよく似ています。
アッラーやイエス・キリストやヤハヴェの神や、はたまた阿弥陀如来が
「存在する」という前提でイスラム、キリスト、ユダヤ、浄土真宗は、
多くの人間の心の中で「存在している」ワケです。
それが「無い」あるいは「分からない」となると、
人々の心の中の信仰などいうカタチのないものは雲霧消散してしまいます。
そして、迷いがあったり、自信が持てなくなった者は「異端者」です。
では、答えのない世界で「答えらしきもの」を決める場合は、
どのようにすればよいのでしょうか?
将棋の世界では「最善手」という考え方があります。
最善手とは、誰が見てもその状況ではその手が一番、と思える手のこと。
将棋の場合は「最善手」を指し続けると勝てる、ということになっています。
では、プロ棋士は常に最善手を指せるのか?
なわけないですね。もしそうなら、負ける棋士がいなくなります。
プロ棋士だって、対局中は必至で最善手を探しているのです。
勝率№1の羽生さんだって、悩みに悩むわけです。
プロの対局といえども、時間に限りがあります。
だから、羽生さんは迷った時にはいつも直観に頼っているのです。
そして、直観の7割が最善手に近かった・・・
彼のような天才が羨ましいですね。
自分の直観に7割の信頼が置けるわけですから。
私も前述したように、自分の直観をある程度信じてはいます。
でも私の泳ぐ広告世界では、1対1で話が決まるなんてことはありません。
自分の直観に従った手を指せる確率は
全体からいえば1割にも満たないのではないでしょうか?
それがうんざりするような現実です。
方、私が行っているジャーナリズム活動においては
自分の直観はもちろん、時間をかけてじっくり分析した
「最善手」をそのままみなさんに披露することが可能です。
マンション市場について私なりの分析をまとめた各種レポートには、
そういった「最善手」を余すことなく盛り込んでいます。
また、11月19日(土)に新宿で行うセミナーでは
「買っていいマンション、買ってはいけないマンション」というテーマで
買っていい最善手マンションと、買ってはいけない悪手マンションを、
実名を挙げながらバシバシとご紹介しましょう。
参加は無料です。
上記レポート簡易プリント版の廉価販売など特典もいっぱい。
ぜひご参加ください。
11月19日(土)開催のセミナー
「買っていいマンション、買ってはいけないマンション」
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