「なぜ登るのか?」という問いに、
登山家のJ・マロリーは「そこに山があるから」と答えました。
「なぜ建てるのか」と問うと、
「そこに土地があるから」と答えるのがマンション屋さんです。
土地さえあれば、どこにでもマンションを建ててしまう会社があります。
自分のお金で建てるのではありません。
「こんな土地がありますよ。だからマンション建てて売りませんか。こんなマンションを建てて、うちの子会社が販売すれば、こんなに儲かりますよ」と他の会社に持ちかけるのです。
自分の力で土地を見つけてこられない会社がそれに乗ります。
1社だけなら不安だろうからと、ひとつのプロジェクトに何社も付けます。
これがいわゆるJV(ジョイントベンチャー)案件と呼ばれるもの。
マンションの分譲広告で、事業主が何社も記載されているのがコレ。
最後に(設計・施工)とかいう自社が入り、(販売代理)として子会社が付きます。
事業主に名を連ねている会社は、ほぼレギュラーといっていいほど、
どのプロジェクトにも同じような顔ぶれがそろいます。
業界では「○社と愉快な仲間たち」と揶揄されています(笑)。
こういう案件が、うまくいっていれば平和です。「愉快な仲間たち」も楽して儲かります。
ほんの1年前までは、まあまあうまくいっていました。
各社とも「いい話があったら一口乗せてよ」と、擦り寄っていました。
ところが・・・
そんなあまーい話がいつまでも続くとは限りません。
そのうち「へえ、こんな場所で大丈夫なの?」という土地ばかりになりました。
遠くて、不便。とてもマンション事業が成立しえないような土地が持ち込まれるようになりました。
不動産バブルで土地価格が高騰。マンション用地として買える土地の質がどんどん劣化していったのです。
「○○社さんも○○%もたれることになりましたよ。御社も早く決めていただかないと・・・」とか
「大丈夫ですよ。来年になればマーケットが追いついてきますから」なーんて囁きながら・・・・
花男のセリフじゃないですが、普通に考えれば「ありえないつーの」といいたくなります。
それでも、買った会社は買った。
そのほとんどが、今では怒涛の完成在庫。各社の担当者は心の中できっと思っています。
――騙された
しかし今では受注の大幅減と資材高騰のあおりをうけてか、業績低迷。株価も100円近くまで落ちてきました。ただ、ここが飛ぶかどうかは・・・・この前書いた政・官のかかわりから、微妙です。
さて、コメントでいただいたご相談にお答えいたします。
近畿からいただいたFさん
二人目のお子さんがお生まれになるのなら、本当はもう少し広めのマンションがよいと思いますが、予算との兼ね合いから仕方なさそうですね。ただ、ご検討中の案件は慎重になられて方がよいかもしれません。というのは、ご懸念されている南側の住棟ですが、もうすぐ完成なのに販売が行なわれていないのは、何らかの理由があるからと想像できます。噂のように売主変更もないとはいえません。この事業主は、いわゆるカタカナ系の老舗なのですが、近頃は資金繰り不安が囁かれています。飛ぶようなことはないと思いますが、事業整理で「南側」の売主が変更になることが十分想定されます。そうなれば、販売不振の「北側」より安くなるのはほぼ確実です。そういった意味で、急ぐ理由がない限り、しばらくは様子見でよいかと思います。
前田さん
ご指摘の通りA工務店のマンションが、高いクオリティであるという話は聞いたことがありません。地方専門といってもいいデベロッパーなので、目の肥えた首都圏、近畿圏の客を相手にするよりも一段低めで商品作りをしていると考えるべきでしょう。ただ、選択肢が少ない場合は・・・・そのエリアのマーケット状況が分からないので、これ以上はなんとも申しあげられません。
建材メーカーさん
現場の感覚では、マンションの建設費はここ5年で倍になっています。とくにこの1年の高騰が異常です。もうすぐ沈静化するとは期待していますが・・・
榊淳司
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