プラウドタワー東雲、坪単価240万円は高い? 安い?

東日本大震災による混乱が一段落した首都圏のマンション市場では、
「秋商戦」というのが本格化しております。
最近の報道によると月間の供給数が昨年を上回ったとか、
契約率が70%を超えた、などと「上向き」のデータが続々。
ただ、こういった情報はほとんどデベロッパー側から出されるので
額面通りに受け取れないのは、いつかも書いた通りです。
ただ、売り出される新築マンションの戸数が増えていることだけは確かです。
確駅に置いてあるスーモもちょっと分厚くなっています。

そして、話題の物件も市場をにぎわしております。
特に熱くなっているのは、私の得意エリアである「湾岸」。

プラウドタワー東雲キャナルコート
ザ・パークハウス晴海タワーズ

この2物件が特に派手派手しいパフォーマンスを展開しています。
今日発売の「東洋経済」でも、2ページを使って解説。
この中で湾岸エリアは「年間3000戸程度の新規供給が今後2~3年続く可能性がある」(三菱地所レジデンス)と書かれていました。
私の集めた情報でもそれくらいあるのですが・・・・

実は、ここ4年位の間、湾岸エリアで実際に売れた新築マンションは
毎年1000戸ちょい位ではないかと推測しています。
しかも、2年から4年前に買った人はほとんど、
すさまじい資産劣化に悩んでいるはずです。
最も激しいのは、マドンナが広告に登場したブリリアマーレ有明でしょう。
豊洲で未だ販売を続けているシティタワーの3棟については、
新築がほとんど値引きをしていないようなので、
表面上の中古価格は維持されていますが、実勢価格は・・・・

いってみれば、湾岸エリアの新築マンション市場は、
毎年1000戸の需要を追いかけてヒーヒー言っている状態です。
そこへ「3000戸が2,3年間」と来ました。
さあ、どうなるのでしょう?

プラウドタワー東雲はモデルルームをオープンして以来、
1200組以上の来場があったと報道されています。
だからといって、600戸がすんなりと売れるでしょうか?
3.11の地震で大きな液状化被害を受けたプラウド新浦安という物件は、
累計で数万人の来場があったようですが、
733戸を売り切るのに3年以上もかかっていました。
野村不動産もアレには懲りたみたいで、無理な高値挑戦は避けたご様子。
この東雲のタワーでは坪単価240万円と、まずまずのポジション。
しかし・・・これは決して「安い」といえません。
お隣のビーコンというタワーは今年の初めに完売したと記憶していますが、
最後は値引きに次ぐ値引きで、最終段階での実勢価格は
坪200万円台の前半ではなかったかと想像します。
つまりは、そのあたりが「市場価格」ということになるのです。

場所は少し都心寄りに離れた位置にある晴海タワーズの価格政策も注目されます。
私は坪180万円でも全部売るのは大変だと思っていますが、
江東区東雲で240万円なら、中央区晴海で180万円はなくなります。
というか、もし180万円で出てきたら、東雲のプラウドはぶっ飛びますね(笑)。

それにしても・・・・「3000戸が2,3年間」というのは異常すぎます。
そんな供給を、実際の需要が吸収できるわけがありません。
湾岸エリアといっても、もとをただせばただの埋立地です。
フクシマみたいに30メートルの津波が押し寄せることはないでしょうが、
液状化や地盤沈下のリスクは常に潜在しています。
生活利便施設が特段優れているワケではありません。
だだっ広くてジョギングにはいいかもしれませんが、
歩いていくにはどこへも遠い、不便な場所でしかありません。

私は、「湾岸エリアだから高い」のではなく、
「埋立地だから安く」なければいけないと考えています。
つまり、今の現象は私の常識の逆です。
湾岸が高いのは、多分にデベロッパーが創った虚像です。
いつかは崩れる時が来るでしょう。
その引き金になるのが「3000戸が2,3年間」という
誰がどう見ても供給過剰な異常事態かもしれません。

私がコーディネイトする「新宿余丁町コーポラティブ計画」
直線距離で新宿駅へ約1.8kmです。もちろん、歩けます。
山手線の内側で、地下鉄の駅から徒歩3分。
それで、平均坪単価は約250万円。
プラウド東雲キャナルコートは東京駅へ約5.0km。
銀座まで歩いていくことは無理でしょう。
駅へは徒歩11分。そして、坪単価は240万円です。
私の余丁町コーポラティブと、ほとんど同じ水準。

現状では、プラウドが高いのではなく、私の余丁町が安いのです。
でも、それは今の市場観です。そして市場観は時と共に変化します。
5年前なら、プラウド東雲の坪240万円はかなり割安感があったでしょう。
まず間違いなく短期間で完売できたはずです。
でも、この5年の間にいろいろなことがありました。
リーマンショックに東日本大震災。
民主党ボケボケ政権の日本衰退政策や人口減少の顕著化。
この先、明るい未来を想像できる人がいれば、よほどの能天気者。

このプラウド東雲は、駅徒歩11分ということ以外は、
割合によくできたマンションだと思います。
もちろん、タワーであることのデメリットはあります。
でも、キャナルコート内でイオンが目の前。
地震への対策も充実しているようです。
ただ、キャナル(運河)沿いなので、津波がくれば1階は洗われるでしょう。

さて、果たして600戸を売り切るのにどれくらい時間がかかるのか?
晴海のタワーと、どの程度バッティングするのか?
三井の東雲タワー計画は、近隣問題が販売にどう影響するのか?

湾岸ウォッチャーの私としては、ますます面白くなってきました。


2011/10/24 18:08 Comments (1)

1件のコメント

UR賃貸マンション「キャナルコートCODAN」の住民の質はかなり悪いらしいです。

ボリューム上げたオーディオコンポをガンガンかけるような部屋があって、とてもじゃないけど居られたもんじゃないなどというトラブルも起きているとの事。

これは偶然管理事務所に立ち寄った時に、直に持ち込まれた苦情です。

その苦情を持ち込んだ住民は真剣でしたが、管理事務所側は我関せずと言った対応でした。

もともと辰巳という所はあまり良い土地柄ではないらしく、地元の人からは「辰巳は昔から底辺の溜まり場だ」と言われた。

そんな土地に建てられたマンション。買ってはいけない。

2011/10/24 20:35 | by 政治の季節

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