日本とギリシャの違いと共通点

ギリシャの債務問題が世界のマスコミを賑わせています。
「デフォルトは時間の問題」というのが、ほぼ間違いなさそうですね。
でも、一応現政府は緊縮策を受け容れたみたいなので
今しばらくはデフォルトが顕在化することはないでしょう。
でも、次なるヤマは3月20日だそうです。
この日はギリシャと共にポルトガルも多額の国債償還を迎えるとか。
どうなるのでしょうね?

日本人の大半はこのPIIGS問題を対岸の火事みたいに考えています。
でも、どうして、どうして・・・日本にも関係あります。
今や世界経済は「グローバル(この言葉好きじゃないけど)」に
繋がっているので、知らんフリはできません。
どうやら、ギリシャがデフォルトすると多額のギリシャ政府国債を
抱えているフランスの3つの大手銀行が「危機」に陥るとか。
となると、そこに債権を持っている世界中の銀行も
「焦げ付き」が発生する可能性が生まれます。
金融不安がどんどん連鎖していく、あのリーマンショックの再来・・・
なーんてことにもなりかねないのです。
だから、ドイツもフランスも目先は弥縫策でごまかし、ごまかし。
でも、根本的解決には程遠い状態ですね。

今のところギリシャだけがクローズアップされていますが、
PIIGSにはポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインも入っています。
まあ、次はポルトガルでしょうね。
PIIGSの債務残高対GDP比率は以下の通り
ポルトガル 160%
イタリア  120%
アイルランド116%
ギリシャ  160%
スペイン   67%
そして日本は200%超。

ぜんぜん日本の方が悪いでしょ。
彼らと日本との違いと共通点について考えましょう。

PIIGSと日本の共通点は、共に政府と役人が
長年にわたってインチキをやり続けてきたこと。
カンタンにいえば、無駄なお金をばらまき続けてきたワケです。
当然に借金ばかりが増えました。
これが唯一と言っていい共通点です。
まあ、もうひつつあるとすれば、これらの国全部が
「今の貨幣価値のまま借金を返すことは不可能」なことでしょうか。

違いはイロイロあります。
まず、ギリシャやポルトガルは国内経済が破綻状態ですが、
日本はまだしっかりと機能しています。大不況ですがw。
日本には世界に通用する産業がいくつもあります。
一方ギリシャとポルトガルには、ほとんどありません。
イタリアには立派な産業がいくつもありますが、
行政機能が一部麻痺しているような印象を受けます。
スペインは全体的にいい加減。
今後、不動産バブルの崩壊で経済が大混乱しそうです。
アイルランドについて、私はよく分かりません。

また、日本の政治家と高級役人はインチキ野郎ばかりですが、
日本の小役人の大半は真面目に公共サービスに取り組んでいます。
大阪市役所の職員組合の連中は別にしてw。
つまり、日本は全体として見れば
非効率ではあっても行政はきちんと機能しています。

まあ、そんな細かいことはこの際どーでもいいかもしれません。
日本とPIIGSの最も大きな違いは
「借金を自国通貨でしているのか、他国通貨なのか」
ということなのです。
日本政府の債務残高は約1000兆円といわれていますが
そのほとんどが「円建て」で発行した国債です。
一方、PIIGS各国は「ユーロ建て」で借金をしています。

例えば「ギリシャ政府国債」はすべてユーロが発行単位。
だから、政府が国債を償還するには
「ユーロ」の現金を用意しなければいけません。
ところが、ギリシャ政府の金庫は空っぽ。
この3月20日に大きな額の償還が迫っているのですが
今のところそのための資金が全然足りないワケです。
ですから、どこかから現金を借りなければいけません。
何と言っても自国ではユーロを作れませんから。
でも、もう誰もギリシャ政府に金を貸し(国債を買う)たりしません。
だって、返してもらえない可能性が濃厚ですからw。

あとは公的機関しかありませんね。
考えられるのは、国際通貨基金(IMF)と、
ユーロを発行しているヨーロッパ中央銀行(ECB)といったところ。
そこがギリシャ政府に現金を貸すにあたって
「もっと公務員を減らせ」
「連中の給料を下げろ」
「税金を上げろ」
などと、様々な「緊縮策」を要求しているのです。
それに反発した一部のギリシャ国民が、街に出て暴れているのが現状。

これがもし、ギリシャ政府がユーロに加盟しておらず、
昔の自国通貨「ドラクマ」で借金していたらどうなったのか?
カンタンです。
ギリシャの中央銀行がジャンジャカとドラクマを刷って政府に貸し、
それで国債を償還してしまえば、とりあえずはOK。
その代わり、ハイパーインフレがやってくるだけのことです。
ただし、ドラクマ建てのギリシャ国債なんて、
国内の金融機関くらいしか買わないだろうから、
今ほど借金が膨らんだとは思えません。
やはりドル建てで借金したのでしょうね。
そうなると、やはりデフォルト。
1998年ロシア、2002年アルゼンチンはデフォルトで
ハイパーインフレを経験しました。

さて、日本。
もうお分かりですね。
日本国債は日本円で発行されているので、
デフォルトになることはありません。
必ず償還されます。
それに、形式的な「未達(発行した国債に買い手がつかない)」に
なることもないと思います。
なぜなら、最後の買い手として日本銀行が控えているからです。
ただし、実質的な未達は十分にありえます。

また、日本国債が表面的に「暴落」する可能性もあります。
つまり、売り手が買い手を大幅に上回った場合
需要と供給の関係で当然のごとく価格が下がるのです。
でも、当面は考えられないでしょうね。
というのは、やはり日銀が裏から買い支えるからです。
何となれば、日銀法を改正して
日銀が国債を直接買えるようにすればよいのです。
少々国会で揉めるでしょうけど。

どちらにせよ、そんなことになると円の国際的信用はガタ落ち。
今の円高が嘘のようにどんどん円安になります。
当然、物価は上昇します。
待ちに待ったインフレの到来ですね。

今、円は歴史的といっていい高水準な評価をされています。
つまりは、実力以上にかなりの円高。
これは「円バブル」と見做していいかもしれません
しかし日本経済は衰退一途で、当面この流れは変わりません。
そんな国の通貨が国際的に買われている理由は
「他の通貨が信用できない」ことに尽きるのではないでしょうか。

アメリカでは、近々オバマがQE3に踏み出しそうです。
つまり、もう一度ドルを大量供給して景気を刺激するのです。
欧州ではPIIGSに金を貸すためにECBがユーロを大量に増刷しています。
人民元はそもそも変動制ではないし、支那国内はバブル崩壊。
それに年に15万回も暴動が起こっている国の通貨なんか危なくってw。
かといって、イギリスポンドや豪ドル、スイスフランだけでは
市場の投機資金を吸収できる規模はありません。
だから、消去法で円が残っているのです。

どちらにしろ、そのうちJGB(日本国債)の市場価値は落ちるだろうし、
日本銀行が今のストイックな通貨政策を改める日も来るでしょう。
おりしも先ほどのニュースで、日銀が10兆円の金融緩和に踏み切るとか。
10兆円とは何ともケチ臭い話ですが、ないよりもマシ。
株価は反転に転じました。
日本もこれから徐々にミニミニバブルに向かうのかもしれません。
でも、二度と不動産にだけは資金が流入して欲しくありませんね。


2012/2/14 13:37 Comments (3)

3 Comments

債務超過に陥ってる作曲家は債務者成章(三枝成章)。

♪チャツチャカ!チャチャチャチャ!チャツ!チャツ!

☆☆☆☆☆☆☆
☆ 笑 点 ☆
☆☆☆☆☆☆☆

(^∀^)(^∇^)
  (^∇^)(^∀^)
(^∀^)(^∇^)
  (^∇^)(^∀^)
(^∀^)(^∇^)
  (^∇^)(^∀^)
ワハハハハハハハハ…

パフ!

榊さんの「グローバル(この言葉好きじゃないけど)」痛快ですね。

とっととデフォルトして日銀だけ苦しめ。

2012/02/16 09:56 | by 政治の季節

榊の政治さんは別として、今どきの無教養な人達は「カネ的にどうのこうの」「グローバル化云々」的な会話がお好きなようで…

2012/02/16 01:50 | by 政治の季節

アントニオガデス舞踊団の「カルメン」。

ミゲル・アンヘル・ソラ、ミア・マエストロの「タンゴ」。

カルロス・サウラ監督の映画の題材になりえるものが存在するかどうかが、イケてる国かどうかの判断基準ともなり得る。

なのでスペインもアルゼンチンもいいと思う。

その意味では、ウクライナ国立民族舞踊団があるウクライナも、リバーダンスとかラグースとかのアイリッシュダンスがあるアイルランドも、ハバナ・ラカタンがあるキューバもいいだろう。

何が言いたいかと言うと、たかだかカネ回りが良くなっただけで、他になんの取り柄もない新興国なんかに全然魅力を感じてないと言うことだ。

中国だのインドだのタイだのベトナムだのドバイだの、いい加減にしてくれよ。

カネ的にどうのこうのごときで喜べるような泡銭屋は別として、自分は本当にどうでもいいよ新興国なんか。だいたいさしたる中味なんかネーし。

そう言えばアイルランドは天然資源として石がありますね。

あの豊富な石を、日本の住宅の建材にぜひとも活用したいって榊淳司的には言いテーヨ。

2012/02/15 23:31 | by 政治の季節

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