Brillia(ブリリア) City 横浜磯子はイリュージョンか?

数学者・藤原正彦さんの本で読んだことがあるのですが、
アメリカ人の学生は高校まではあまり勉強しないけれど、
大学に入ってから猛烈にやるそうです。
日本は、大学受験が終わるまでは必死でやっていますが
一旦大学に入ると、ほぼ勉強しませんね。

だから、日本人の多くの大人は、勉強とはすなわち
「受験勉強」だと思っているフシがあります。
受験勉強というのは、「ものを学ぶ」という世界の中では
かなりイビツな形態の勉強のやり方だと、私は思います。
なぜなら、受験勉強には必ず「正解」がありまる。
あの勉強は、単にそれを導き出すテクニックを磨いているだけです。
ところが、その後の人生に降りかかってくる問題の
ほとんどには「正解」などありません。
自分の「答え」は、自分の知力で導きださなければいけないのです。

やや、脱線します。
私・・・文系人間ですが、数学が嫌いではありません。
物理も割合好きでした。生物と地学もまあまあ。
今でもその手の本を読むのは大好きです。
高校生の時、数学の授業で当てられて前に出だされ、黒板で問題を解きました。
ぜーんぜん勉強なんかしてなかったので、解き方が分かりません。
でも、自分流で何とか解いてみて、正解を出しました。
その時の数学教師は「まあ、答えはあっているけど、解き方が違うな」。
それ以来、数学を真面目にやる気が無くなりました。
高校時代、藤原正彦さんに数学おせーてもらっていたら、
きっと東大に入っていたと、今では固く信じています。

そんな与太話はどうでもいいのですが、今日の話題は「考える力」。
多くの日本人は、大学に入ってからまともに勉強しません。
ただ、真面目に勉強する人なら少数ながらいます。
たくさん「A」や「優」を取る人です。
いい成績を残すには、先生の欲する内容の答案を書けばいいのです。
それは、受験勉強とよく似ています。
彼らは、大学で学ぶことを受験の延長だと考えているのですね。
まあ、それでも勉強しないよりましですが。

オッサンたちの飲み会になるとよくでる話題は
「大学の時にいかに勉強しなかったか」
「どれだけ学校にいかなかったか」という、妙な自慢話。
まあ、私の周りに参集する人々で、
真面目に「A」や「優」を取りに行っていた人は、超マイナー。
知り得る限り、新百合ヶ丘に住むロリコンお父さんだけです。

いつかも書きましたが、大学の学部というのは
何かを勉強するというよりは、「学び方」を学ぶ過程だと思います。
そこで教えてもらったことのほとんどは、
その後の人生で何の役にも立ちません。
でも、何かについて「考える」ためのノウハウは身に付きます。

私は職業として、一般の方々の住宅購入の相談を承っています。
そのこと自体は、わりあいに楽しい仕事です。
やや不満なのは、多くの方が私に求めるものが単純な「正解」であること。
考えるための「道すじ」だったり「別の価値観」ではないことです。
中には、しっかりと自分で「考える力」をお持ちの方もいます。
そういう方は、いってみれば私に「セカンドオピニオン」を
期待されているのでしょう。
そのような期待には、私も一所懸命答えるようにしています。

私の考えが「セカンドオピニオン」であるということは、
「ファーストオピニオン」がありますね。
多くの方にとってのファーストオピニオンは、不動産屋です。
これは非常に残念なことであり、言ってみれば本末転倒。
不動産屋は出来るだけ高く売りたいし、
エンドユーザーは出来るだけ安くていいものが欲しいはずです。
これは民法で言うならば、「利益相反」の関係にあります。
利益相反の関係にある場合、民法では相手の利益を
代理することはできないことになっています。
もしそうなら、相手は損をして自分は得をするように動くでしょう。

不動産屋の言うことだけを参考にして自分の家を買うのは、
いってみればそれと同じ。
新築マンションのモデルルームで相手をしてくれる担当者は、
ひたすら契約を取りたいだけのオオカミです。
そこへのこのこ出かけて行って、
オオカミの言いなりになる必要は何もありません。
オオカミに向かって「どこの草を食べたらよいのか」と
尋ねるヒツジはいないのと同じ理屈。

この国では、不動産屋がオオカミであることを前提とした
様々な法規制が敷かれています。
オオカミはあからさまなウソは言えないことになっています。
きちんと伝えなければいけないことも決められています。
でも、オオカミを取り締まるシステムはいたって脆弱。
末端では、それらの法規制は全然まもられていませんね。

何よりも、不動産屋オオカミはヒツジを惑わす
イリュージョン(幻惑術)が巧みです。
例えば、こんなマンション。

何だかとても「特別」な物件のように思えますが、
冷静な目で見ればただの駅から遠いマンションです。
それも、歩いてあの急坂の丘を登るにはあまりもしんどいから
エレベーターを設置しているようなシロモノ。
そのエレベーターの費用は、100%マンションの住民負担です。
言ってみれば、マンションとして大きなハンディを負っているのと同じ。

敗戦前は宮様の別荘。敗戦後はプリンスホテル。
だからといって、優れたマンションになるとは限りません。
そんなことはちょっと考えれば判断出来ることなのに、
多くの人は広告に惑わされているようです。
毎週、300組以上の集客があると聞いています。

それでも、価格が適正であればよいでしょう。
磯子駅から徒歩10分以上のマンションなら、
坪単価160万円くらいが今の市場価格だと私は判断します。
ところが、伝え聞くところでは平均の坪単価は220万円だとか。
眺望はよいようですが、それはエレベーターと相殺すべき。
だから、何も「特別」ではないのです。
なのに、価格はかなりのレベルで「特別」。
これをイリュージョンと呼ばずして何というのでしょう?

さらに、こんな不便な場所に1230戸もの大量供給。
しかも、設計・施工は長谷工コーポレーション。
資産価値の脆弱性は目を覆いたくなるほどです。
それでも、ホイホイとありがたがって契約する人はいるのでしょうね。
そういう人はきっと、勉強といえば受験勉強のことだと
思っているのではないでしょうか?

参考レポート

神奈川の大規模マンション
全解説38物件
価格 5,490

全66ページの分量。掲載の物件は以下の通りです。

青葉台コートテラス
ヴェレーナ東戸塚
エクラスタワー武蔵小杉
オーシャンステイツ湘南平塚 グランフィールド
オールパークス
カワサキアイランドスイート
川崎ラグゼガーデンプロジェクト(ラグゼコート)
グランセレッソ横濱戸塚
グリーンシア川崎京町
クレストシティアクアグランデ
クレストシティ宮崎台
グレーシアガーデンたまプラーザ
ザ・パークハウス 市ヶ尾
ザ・ミレナリータワーズ
ザ・ハウス港北綱島
ザ・パークハウス 追浜
サンクタス川崎タワー
サンクタスシティ長津田みなみ台レジデンス
シティテラス横浜仲町台壱番館
シーズンプレイス
ドレッセ鷺沼の杜
ナイスクオリティス横濱鶴見
パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー
パークスクエア相模大野タワー&レジデンス
パークスクエア湘南茅ヶ崎
パークタワー横濱星川
パークホームズグランファースト
ハマテラスプロジェクト
マークワンタワー長津田
MINASIA湘南ライフタウン
MID OASIS TOWERS(ミッドオアシスタワーズ)
Brillia(ブリリア) City 横浜磯子
ライオンズ一条レジデンス湘南C‐X
ライオンズ茅ヶ崎ザ・アイランズ
リヴァリエ
ルネ追浜
ルネ北久里浜ソラヒルズ
ロイヤルタワー横濱鶴見


2012/2/16 14:22 Comments (3)

3 Comments

かつての受験生様

ご自身で納得されているのなら、それが一番です。
価値観はそれぞれ異なります。
私がお伝えしているのは一面の価値観であり、
すべての方と共有できるわけではありません。

住まいというのは所有してしまえば伴侶のようなもの。
ご自身にとっての価値あるものであることが何よりです。

コメントをありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

榊淳司

2014/06/23 12:09 | by Sakaki Atsushi

小生、「特別」な物件と判断し幾つもの選択支の中から、購入した者です。駅から遠いマンションは、横浜には山ほどあります。
確かに急坂の丘を登るには年寄には、辛いことです。

エレベーターの費用がかかったとしても、戦前からの伝統ある歴史をご存じの方々ならば、あえてこの地に住みたいと願い購入した年寄の気持ちは理解して戴けると思っております。
私は、今、大流行の乱立するタワーマンションこそが、先生のおっしやるイリュージョン性に満ちたものと思います。まるで魔法の国のようです。

資産価値とは、何でしょうか?
今後近い将来に予想される首都圏大地震や地盤沈下を考えた時、昔からの地盤に強い土地に建つ家こそ価値が出るものではないのかと思います。勉強は、受験勉強だけではなく、その人が歩んできた日々の歴史からも学んできた事もその中に入るものであり、その人それぞれが決断に至るマンション購入も、その人生の勉強の判断ゆえと信じます。

マンション市場も東京オリンピックに向けて、東京は相場も上がり、混乱も起きることは予想されます。
それを踏まえても、横浜という土地柄は落ち着き、伝統ある地であると思って住みたいと思っております。

今後もその時代や状況に合った先生のご意見を期待させて戴いております。

2014/06/22 14:05 | by かつての受験生

何十年前のことかは定かではないけれど、受験戦争って言うのは「合格したらオイシイ思いが出来る詐欺」を真に受けた愚かな人々による一過性の現象でしかなかったみたいですね。

(当時の)踊らされた本人と保護者の方々お疲れ様でした。

今さらむずかしいとは思いますが、方向転換がんばってくださいね。

2012/02/18 23:29 | by 政治の季節

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