メディア大変換期の業界事情

皆さんはマンションを探そうというときに、どこから手を付けますか?
まさか、金曜日の朝刊に折り込まれるチラシをチェックするわけではないでしょ?
このブログの読者は特にそうだと思います。
駅やコンビニに置いてあるリクルートの住宅情報誌をご覧になりますか?
そういう方も多いことでしょう。
でも、一番多いのは何か?
当たり前ですが、「YAHOO不動産」と、リクルートの「住宅情報ナビ」ではないでしょうか。
ちょっとマニアックなのは「マンションDB」で、初心者は「アットホーム」あたり。
凝る方は「マンションコミュニティ」もチェックされるかもしれませんね。
つまり、みなさんがマンションと出会うファーストコンタクトは
確実にネット系の媒体になっていることです。
これは、今や誰しもが否定できない事実なのですが・・・・
世の中には5歩も10歩も遅れている輩がいます。
何よりも、売主(デベロッパー)の事業担当者、そして広告担当者。
以下に、この業界の人々の頭が如何に遅れているかということを
象徴的にお分かりいただけるエピソードを紹介しましょう。
●大手ハウジング系D社、2億円をドブに捨てる!
いまだに、新聞折込チラシが集客の主体だと考えている
アホな広告宣伝部員がいたようです。
そういう連中に、悪辣な営業で知られる某大手広告代理店が
「各物件の担当営業が新聞折込チラシを製作できます」
と売り込んだらしい折り込みチラシ製作システムの値段が2億円。
フォーマットを決めておいて、デザインにはトーシローの営業マンが、
写真や図面、地図などのデータを流し込めば立派な折り込みチラシが完成する
というのが売り物の「システム」。お値段は冒頭の通り2億円。
あーほ、といいたくなりますね(笑)。
2億円かければ、今の広告屋さんの制作費だと
約666種類のチラシデザインが可能なのです。
彼らの売り出し物件が、年間最多で60程度。
ひとつの物件で10種類もチラシを作りますか?
5種類作るにして、最短で2年たたないとコスト削減効果は出ません。
しかも・・・・・・
彼らがやろうとしている折込チラシのデザインはほぼ1種類。
その単純なデザインのチラシを作るために、
慣れない現場の優秀な営業さんがパソコンと悪戦苦闘する羽目になります。
それだけ、現場の売るためのパワーが減りますね。
目に見えないけれど、無視できない営業現場のモラル低下。
しかも、折り込みチラシはもはや集客の主体ではありません。
何を血迷っているのでしょうね。
●三井不動産レジデンシャルさんへ、もっと見やすくHPを作って!
榊淳司も業界ではそこそこ知られる存在となりました。
大手不動産会社の開発物件の購入を検討されている
エンドユーザーさんの相談もたくさんいただいています。
そういった場合、まず物件HPで情報を確認するのですが、
そのときに、この業界の感覚の遅さにつくづく呆れます。
ネット媒体を、従来のマスメディアと同じように捉えているのが、
そもそもの大きな間違いです。
ネットというのは、ユーザーがポジティブに情報を求めている媒体です。
そのポジティブなエンドユーザーに対して、
おのが勝手な言い分をダラダラ流すなといいたい!
簡単に言えば、勝手なイメージを押し付ける動画は不要です。
私が何にイラつくかというと、必要な情報に行き着けないことです。
不動産にとって、もっとも重要な情報は何でしょう?
不動産は字のごとく動かざる資産です。
一番大事なのは「どこにあるか」。
つまりは・・・地図を見たいのです。
これが、愚鈍な担当者が作ったマンションのHPだと
どこにあるのかまったく分かりません。
イライラして、最後はオリジナルHPではなくyahoo不動産で
情報を確認する場合が多々あります。
これは、意外なことに大手で多く見られる現象。
三井不動産レジデンシャルが分譲するマンションのHPをご覧ください。
みなさん、きっとイライラしますよ。地図がどこにあるか分からないのです。
私も、イライラした後だと、その物件に対して不用意な悪意を抱きがちになります。
なるべく平明な眼で物件を評価しようと思っているのですが。
●イメージ広告から情報広告へ
そもそも、不動産の広告に
商品特性からかけ離れたイメージビジュアルは誤解の元であり、
モノの中身を誠実に伝えるためには不要の存在です。
ましてやタレントやキャラクターは何の意味もありません。
むしろ、販売サイドの悪意や底意の卑しさを感じます。
みなさんのご相談をお聞きしていて感じることは、
いかに「正確な商品情報」を求めておられるか。
そして、売主側が発信する情報に対して
「根深い不信」をもっていられるかということです。
その基底には、例のごとく実態とかけ離れた広告表現。
それに現場の営業マン売らんがためのトークで
いい加減な情報をまち散らしているという現状があります。
改めるべきは、営業方針であり、それにつながる広告戦略です。
そして・・・そもそもエンドさんたちが魅力に感じる商品作りです。
●不動産業界、いまだ人気業種たりえず
悲しいですね。
先日、日経新聞に載っていた
学生さんたちの就職人気企業ランキングに、
マンションデベロッパーは1社も入っていませんでした。
人気がすべてではないけれど・・・・
いい人材が集まらないと、結果的に
この業界の衰退を招きます。
それなりに面白く、やりがいのある仕事だと思うのですが、
一般人のイメージはかなり違うようですね。
嗚呼、残念!


2009/3/21 0:47 Comments (8)

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