野田君はバカ正直、それとも現実離れ?


大晦日です。
このあと、御節を1品もののして晩飯の蕎麦他を作ったら、紅白。
それで、この1年も終わりです。
みなさま、1年のお付き合いをありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします。

さて、今年最後の話題は「現実」。
英語で言うと「リアリズム」でしょうか。
というのは、この1年はとりわけ「現実」と
多くの人々の「認識」のズレを強く感じたからです。

まず、足元のマンション市場について。
首都圏のマンション市場は、今年「本格回復」するはずでした。
私は、そう思ってはいなかったのですが、
メディアやデベ関係者はそう思い込んでいたフシがあります。
まあ、願望といってもいいでしょう。実際、概ねが願望に終りました。
回復すると考えた理由は、前年に3.11の地震で落ち込んだから、
その分の需要が溜まっている、というもの。
でも、そもそもの需要があったのでしょうか?

湾岸に絞って申し上げましょう。
この12月に竣工したプラウドタワー東雲は今年秋ごろまで、
野村不動産が派手派手しく「連続即日完売」を謳っていました。
「このままでは、竣工までに完売か」と業界関係者は
誰しもが考えたのではないでしょうか?
私は、多分それはないと予想しました。
だって、豊洲の駅から徒歩11分、しかも600戸の規模。
販売価格も坪単価240万円とあきらかに割高。
そりゃあ、シティタワーズ豊洲に比べると安いのですが、
あれは市場を無視したバカ高物件だから比較になりません。
このエリア、10年前なら200万円以下が当たり前でした。
それを240万円で出して、600戸もプロモーションの力だけで
売り切れると考えるのは明らかに「現実」離れしています。

ザ・パークハウス晴海タワーズも、勝どき駅から徒歩11分。
2002年なら坪150万円でもおかしくないのに、
去年売り出された価格は坪単価にして推定270万円前後。
「三菱地所君、ちゃんと現実をみとるかね?」と言いたいですね(笑)。

極めつけは東京ワンダフルプロジェクト。
名前にも広告にも大笑いできるこのマンションは、存在自体が「現実」離れ。
こちらは豊洲駅から徒歩12分。ゆりかもめの新豊洲からは徒歩5分。
しかし「なーんにもない」場所です。
これから学校や病院その他が建設されたり、
築地市場が移転することになっていますが・・・
私に言わせれば「こんなところにマンション作ってどうするの?」。
売主は三井不動産R、東京建物、三菱地所R、住友不動産、そして東京電力。
財閥オールスターに瀕死の東電ですね。
東電の資産処分事業のひとつなのでしょうが、
今さら1110戸分の需要があるとでも思っているのでしょうか?
坪単価150万円で出すのなら何とか売り切れるでしょうが、
この面子でそんなことがあるワケもなし。
だいたい、広告にタレントを起用したところから、
消費者を「騙そう」という気配が窺えます。
だからきっと坪200万円台の中盤になるのではないでしょうか。
すでに隣接している東雲エリアは熾烈な値引き合戦に入っているので、
200万円台の中盤では失速すること間違いないし、といえます。
三井不動産君たちは、そういった「現実」が見えているのでしょうか?
実際、自社のタワーは値引きをしているくせに(笑)。

視点をマンション市場から国内政治に転じます。
今年、何といっても一番に「現実離れ」していたのは
あきらかに小沢君、そして嘉田君の成田離婚コンビ。
「卒原発」などというマヤカシで国民を騙せると考えたところからして、
「君たち、ちゃんと新聞読んでいるの?」といいたくなります。
普通に世間を見ていれば、まずそうは考えないはずですから。

もっとも、日刊ゲンダイ君とか田中秀征君みたいな連中も
まったく「現実」が見えていなかったと言えます。
また、実際にあの『未来』とかいった政党に期待し、
投票した人も少なからずいたわけです。
みなさん、もう少し「現実を直視して」といいたいですね。
ただ、人間というものは常に
「見たいと思う現実しか見ない」とカエサルも言っていますが。

さて、現実をどの程度見ていたのか、やや分からないのが前総理の野田君。
彼は小学生時代「正直の上にバカがつく」と担任教師に言われたそうです。
自衛官であった父親はこれにたいそう喜んだとか。
しかし、正直だけが取り柄の人間が首相になると、どうなったのか?

まず、彼が行った「消費税の増税」。
私は、未だになぜ野田君がこれをあれほど一生懸命にやったのか
まったく理解できません。信じられないのです。
まず、野田君の民主党にとっていいことは何もありません。
それこそ「マニフェストに書いてあることは何もやらないのに、書いていない消費税増税をやった」と非難されることは目に見えていました。

多分、野田君は財務大臣の時に財務省の役人から
「この国にとって消費税増税は絶対に必要」と洗脳されたのでしょう。
それを、総理になってバカ正直に実行してしまったのです。
財務省にとっては、それこそ笑いが止まらないでしょう。
だって、消費税の増税は「内閣を投げ出す覚悟」がないと出来ません。
そんなもの、自分の政治生命を終らせることになる消費税アップを
喜んでやるような総理なんて、めったにいるものではありませんから。
財務省にとっては総理の代わりなんぞ自然に沸いてきますが
一旦上げた消費税率はめったなことでは下がりません。
自分たちが主導権を持てる税収が「増える」ワケですから
彼らにとっての権限拡大に他なりません。
財務省にとって消費税の増税は「この国」のためではなく
自分たちの「省」にとって必要なだけなのです。
野田君は、財務省にいわば「使い捨て」にされたといえます。

もっとも消費税率が上がったところで税収は増えない、と私は予想します。
だって、経済自体が萎縮すれば法人税や所得税の納税額が減ります。
消費税が3%から5%に上がった後、
税収全体としては増えるどころか減ったのですから。

しかし・・・財務省に騙されている(ノセられている)という構図は
私のように公開情報しか知らない人間でさえ見通せる現実。
それがなぜ、実際に厄災を蒙る(現に蒙りました)当の野田君にとって
まったく理解できなかったのでしょうか? 不思議です。

それでもって、野田君のなした「解散」もまったく理解できません。
だって、解散総選挙になれば民主党が惨敗することが自明。
私でさえ60議席を予想しました(実際は54)。
これ以上の惨敗はほぼ無い、と思います
だったら、任期がギリギリの来年夏まで引っ張ったほうが、
自分の総理としての在任実績を積み増しできたでしょうに。

不思議ですね。
野田君は、政治家として2回も「自殺」しているのです。
まず、消費税を増税したことで日本経済と共に
自らの政権を殺してしまいました。
次に、「近いうち」の約束をバカ正直に守って解散を強行。
自らの党である民主党を殺し、落選者からこれ以上ない恨みを買いました。
国民は野田君を評価しても、民主党内での再登板はないでしょう。
つまり、消費税増税は野田君にとって「なーんにもいいことなし」。
そんなこと、一介の市井人である私にさえ見えた「現実」。
野田君は、それが見えていてあえて「バカ正直」にやったのか、
それとも「サイカドーハンターイ」と叫んでいるバカ共のように、
目の前の現実がまったく見えていなかったのか。

世の中、現実が見えない人は驚くほどたくさんいます。
私から眺めると、かなり不思議な人々です。
どうして、こんなカンタンなことが見えないのでしょう。
いつも私はそう思っています。
例えば、早晩、首都圏湾岸エリアのマンション市場が
大幅な値崩れを起すことなど、私にとっては「予想」ですらありません。
それは自明のことなのです。
また、原発を稼動させないと日本が衰退することも、
「もう目の前にありありと見えている」現実です。
多くの人も、そのことに気づいてこの間の選挙で投票されたのでしょう。

むしろ、湾岸エリアで大量供給されるタワーマンションが
デベロッパーの希望する価格で「売れる」という発想や、
再生可能な自然エネルギーが原発の「代替となる」という考え方が、
私から見れば恐ろしいばかりに「現実離れ」しています。
まあ、この国は総理大臣からして相当に「現実離れ」していたのですから、
バカ高いマンションが一時的に売れても、
なんら不思議ではないのかもしれませんが(笑)。

最後までヨタ話を読んでいただき、ありがとうござます。
みなさん、よいお年をお迎えください。


2012/12/31 17:52 Comments (0)

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