↑今年は、多くのレポートを出しました。
あまりにも「正直すぎる」ことを書きすぎたので
少しは長年の悪業の罪滅ぼしになったかと思えるほどです(笑)。
さて、今日の話題は・・・
昨日、W出版社のO氏と打ち合わせしていた時に
求められるままにご披露申し上げた話を書きましょう。
こういうことって、私の頭の中では当たり前なのですが
人に話すと妙に感心されたりします。感心されると、
「へえ・・・そんなに面白い話かしら」と再認識するワケです。
その中身は、
首都圏の不動産の「地位(じぐらい)」が
東京都>神奈川県>埼玉県>千葉県>茨城県
になっている理由です。
コレ、実にカンタン。
東京が一番なのは誰もが文句ないと思います。
神奈川が2番なのは、「横浜」があるから?
そうでもあるし、そうでもない。
実は、ひとつの法則があります。
それは「その向こうに何があるか?」ということ。
神奈川の場合、東京からは東海道が西に伸び、
川崎、横浜・・・その向こうには静岡、名古屋、そして京都・大阪・神戸、
果ては広島、九州までつながっているでしょ。
つまり、バックヤードが「中部&西日本の中心」なのです。
埼玉は、大宮から東北へ向かうベクトルと
高崎、新潟へ向かう関越軸が分岐します。
東海道ほどではないけど、それなりのバックヤードです。
そして、バックヤードが整備されている都市には新幹線が通っています。
千葉は・・・その向こうにあるのは房総の山塊と海です。
茨城は・・・霞ヶ浦と海だけです。
ともに新幹線が通っていません。
この違いが、都市の力であり、ひいては不動産の価値に反映されます。
私は、千葉ニュータウンやTX沿線の新築マンションを
「買ってはいけない」と主張し、そうアドバイスしています。
それは不動産の資産価値としてかなり疑問があるからです。
その際に掲げる一番大きな理由は
「人口縮小に向かう今、新たなベッドタウンは必要ない」
ということです。
それに加えて、この「バックヤードの法則」に当てはめると
千葉NTやTX沿線には何ら魅力を見出せません。
実は、2年ほど前は北総線に多少の救いを見出していました。
その理由は「日本の玄関」である成田空港とつながる可能性があるからです。
でも、今やその幻想はしぼみました。
成田空港とはつながるでしょうが、
「日本の玄関」は再び羽田に戻りそうな気配を感じるからです。
考えてみれば、千葉県の一部の方々は蒙昧でしたね。
まず、成田空港は「悲劇のエピソード」の塊にしたおかげで、
すっかりマイナスイメージを定着させてしまいました。
成田空港を訪れる人は、あの無用で厳重な警備に接する度に
愚かな過激派に踊らされた反対闘争を思い出すことになります。
「なんでこんな遠いところにこなければいけないの?」と思うでしょう。
成田空港には常にネガティブなイメージが付いて回ります。
当初の計画通りに新幹線ができていれば、マイナスイメージは払拭できました。
でも、欲をかいた千葉県の一部の地主の反対で新幹線計画は頓挫。
この不自由さを散々味合わされた多くの日本人は、今になってみれば
「羽田でいいじゃない。海を埋め立てればいいじゃない」
と思ってしまうわけです。実際、そういう動きになっています。
そうすると、あの青春の森田健作千葉県知事が「ケシカラン」と
前原国交大臣に抗議。でもオツムの違いであっさりかわされて・・・
いまさら抗議するのなら、何であんなアホな反対運動をするんだよ!
地主どもはちゃんと新幹線用の土地を提供しとけよ!
と、私は思ってしまいます。
おかげで、千葉は今でも「バックヤードの法則」でいう
「どんづまり状態」のままです。
不動産の価値にも明るい将来展望は開けません。
茨城には・・・千葉ほどのチャンスはなかったのです。
唯一の希望の星は「つくば」でした。
何とか無理して作り上げたのがつくばエクスプレス。
でも、TXには将来性を感じません。
なぜならTXの終着はたったひとつ・・・「つくば」です。
その先には何もありません。
「つくば」は、人工的に作られた街。
人工的な街が生物としての生命力に欠けることは
マンションレポート3の「武蔵小杉」で縷々述べました。
つくば市は今でも人口20万人の小都市。
この先も多くは期待できません。
そういった小都市に、財閥系企業までが
無謀なマンション供給をしています。
この「バックヤードの法則」は普遍的に適用できます。
近畿圏を見てみましょう。
中心都市・大阪から伸びるライン。
京都から滋賀、名古屋、東京へ伸びる東海道。
神戸から岡山、広島、九州へ向かう山陽道。
この2つが主力です。
2つのライン上には「人気の街」が多く、
不動産の資産価値も高く評価されがち。
逆に奈良に向かうラインや、泉州、和歌山方面は
その先にはほとんどめぼしいものがありません。
唯一あるといえるのは、泉州沖の「関空」。
でもね・・・・成田以上に不便だし・・・日本の玄関でもないし、
ハブ空港でもないし、着陸料も高いし・・・
最初から大阪南港の沖くらいに作っておけばよかったのですよ!
だから、泉州・紀伊ラインも大和路にも
都市としての発展性には明るい希望はありません。
こういったエリアの不動産も得てして低い評価。
ご納得いただけたでしょうか?
こういう「基本的な法則」は、言ってみれば
不動産の評価基準の「キホンのキ」です。
あまりにも基本的過ぎて・・・どこにも書いていません。
また、こんな風に解きほぐしては誰も教えてくれないと思います。
実際、私も誰から教えてもらったワケではなく、自分で考えて行きつきました。
でも、「発見」というには、あまりにも当たり前すぎますね(笑)。
面白いことに、業界の方でも
こんなカンタンなことを分かってない方が多いようです。
2003-2007頃のミニバブルは、最終的に地方都市にまで及びました。
それこそ、人口20万クラスの都市にも、多くのマンションが供給されたのです。
そういったやや無謀な事業の成否は、明らかにこの
「バックヤードの法則」「新幹線の有無」が当てはまっています。
例えば、関東で言えば「宇都宮」や「郡山」「高崎」あたりの
マンションは苦しいなりにも何とか売れます。
でも「水戸」や「大網」はほぼ売れません。
この違いは、明らかに「バックヤード」と「新幹線」。
「宇都宮」「郡山」」「高崎」は新幹線の通る駅。
「水戸」は県庁所在地だけれども、その先はどんづまり。
「大網」にいたっては、ただの地方都市です。
その向こうに何があるかによって「都市力」が異なるのです。
「水戸」や「大網」で大量の新築マンションを売り出した
デベロッパーは、こういう「基本のキ」をご存じなかったようです。
まあ、同情できませんね。ただのおバカさんです。
近畿でいえば、大阪から東に向かう新幹線の駅は
「京都」-「米原」-「岐阜羽島」 です。
大津にも、草津にも新幹線は止まりません。
でも・・あるのですよ、地方都市と位置づけていい
大津にも草津にも大量の大規模新築マンションが。
それも、東京資本によるものがほとんど。
死屍累々と言っていいでしょう。
分かっていませんね(笑)。
詳しくは、レポートをご覧ください。
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