一昨日だったでしょうか、事務所にやって来た大手デベの仕入れ責任者。
「もうマンション事業なんてできませんよ!」
真剣な面持ちでそうおっしゃっていました。
なぜかというと、建築費の高騰です。
軽々と戸当たり2000万円を超えました。
今や、ゼネコンが見積もりを出すことさえも渋っています。
地方専門の自社施工ができる某デベロッパーさえ、
1700万円かかるそうです。つまり、これは全国的な現象。
東京でまともな設備仕様のマンションを作るとなると
2300万円くらいかかってしまうのが現状。
もともと1400万円弱くらいでしたから、約1000万円上がった計算。
なぜそんなことになったかというと、前回でも述べた職人不足。
型枠工や大工さんみたいな方が、極端に不足しているようです。
「今から工務店をやると儲かりますよ」
なんて、私に言ってくれる人もいるくらい。
やれるものならやりたいですけどね(笑)。
私は白い手でキーボードを打つ人間。
建築現場からはもう何十年も遠ざかっています。
ここでひとつ耳寄りなお話をさせていただくと、
マンションの建築費は値上がりしているのですが、
戸建て住宅はちょっと下がっているくらいだそうです。
70とか80㎡のいわゆるミニ戸建の建築費はマンションの半分。
もちろん、業者間価格ですから一般の方はそんな値段で建てられません。
しかし、かつてはさほど変わらなかったのですから、
この差は際立っていますね。
だから、同じエリアでマンションと分譲戸建てがあると、
そのうち価格(面積割単価)が変わらなくなってしまいます。
80㎡の家に住むのに、戸建てかマンションを選べるようになるのです。
なんだかちょっと違和感がありますけど。
「賃貸VS分譲」とか「買うor 借りる」なんて特集を、
スーモなんかが良くやっていますね。
どこまでいってもハッキリ結論が出ない神学論争。
でも、今後は「マンションVS一戸建て」ということに
なるかもしれません。このままだと。
そもそもマンションは、限られた土地に
多くの住宅を作ることに意味がありました。
だから、昔は「団地」なんて言い方をしましたね。
一戸建てよりも一段劣る、と考えていたのが私の親の世代。
「近所付き合いがないから気楽」みたいなことも言われました。
いつも書いていますが、それって大きな間違い。
都会では戸建て住宅の方が近所づきあいはありません。
まあ、道で会うことが多いので挨拶くらいは交わしますが。
町内会への加入率も、かなり低いのではないでしょうか。
マンションの場合は、「管理」という、生半可な近所づきあいを
上回る義務と責任がついて回ります。
管理費や修繕積立金というコストもかかります。
一戸建て住宅には、基本的にそういうのはありません。
自身の判断でメンテナンスができます。
よくできた戸建てなら、20年や30年はほとんど修繕費がかかりません。
マンションと戸建て、どちらを選ぶのかはお好み次第です。
毎月何万円というコストを払っても、24時間ゴミ出しができて
セキュリティもしっかりしているマンションがいい、
という人の方が多いかもしれませんね。都会では。
管理組合のことなんか誰かに任せておけばいい・・・・
そういうスタンスでも、目先は何とかなりますからね。
いつかは大きなツケを払わされるかもしれませんが。
ただ、木造戸建ての建築費がマンションの半分となると、
郊外へ行けば行くほど価格差がなくなり、場所によっては逆転します。
日常のコストは戸建ての方が安いわけですから、
今後「マンションは諦めて戸建て」という選択も出てくるでしょう。
土地が狭いから・・・という理由によって日本の都会で増殖したマンションも、
この建築費高騰でいよいよ低成長期に入るかもしれません。
「都心回帰」とともに「戸建て回帰」という流れになりそうです。
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