クリスマスに語る、キリストと釈迦の違い

クリスマスですね。
こんな日にこういう泥臭いブログを読んでくださる方が
さほど多いとも思えませんが、数日後にご覧いただける方もありましょう。
今日はマンションから脱線して、クリスマスと仏教について書きます。

ハッキリ申し上げて、私はクリスマスに何ら心が動きません。
十数年前、私がまだ人を雇っていた頃の話。
大学を出て新卒で入ってきた女の子が飲み会で
「社長は1年でいつが一番好きですか」なんて
いかにもな質問をされたことがありました。

「お正月だけど」
「エエッ、本当ですか?」
「うん。君はいつなの?」
「それは、もちろんクリスマスですよ!」
「へえ、クリスマスは休みじゃないだろ」
「そうですけど・・・そんなの関係ないですよ」

その彼女、けっこうかわいらしい子で、当時確か彼氏がいたはず。
きっと彼氏と過ごすクリスマスが楽しみだったのでしょう。
しかし、その会話で私は
「今時の若い人はお正月よりもクリスマスか・・・」
などと、妙にジジイ臭い感慨にふけったのを思い出します。

まだ20代の頃、なぜかクリスマスには彼女がいないことが多く、
それをさほど気にする人間でもありませんでした。
いたらいたでそれなりのプランを考えなければならず、
不精な私としてはかなり面倒臭いのです。
あるクリスマスイブの夜、ひとりで行きつけの鮨屋にいき、
何気ない顔でカウンターに座りました。
するとおかみさんがびっくりした表情で
「千原(本名)さん、お一人ですか?」
「はい、そうですが」
「まあ、こんな日に・・・・」 絶句しています。

当時確か20代後半。会社を作ったばかりで結構儲かっていました。
ひとり2万円くらいかかるその鮨屋に、
私は入れ代わり立ち代わり美女を連れて行っていたのです。
だから、おかみさんはきっと私が世間並みの
クリスマスを過ごしていると思っていたのでしょう。
まあそんなこともあって、クリスマスはあまり関係ない人間。
一応家族がいるので、家に帰るとそれらしくなってはいますが(笑)。

さて、ひさびさの「そもそも論」です。
そもそもクリスマスはイエス・キリストの誕生日です。
キリスト教国以外でクリスマスをこれほど盛大に騒いでいるのは
日本くらいではないか、という話は何度か書きました。
別にそれが悪いというワケではないのですが、
冷静に考えれば何とも滑稽な話ではあります。
アメリカ人はお釈迦様の誕生日(4月8日)になると
盛大に騒いでくれたりは絶対にしませんから。
そもそも、お釈迦様とイエス・キリストは神様としての成り立ちが違います。

イエス・キリストは2千年ほど前のパレスチナで、
マリアの処女懐妊により生まれたということになっています。
神様の精液を体内に入れた、ということでしょうか。
キリスト教徒はみなこれを真面目に信じています。
まあ、宗教とはそういうものでしょう。

この現象を異教徒あるいは無宗教な人間から見ると
転げまわるほどおかしな話です。
まず、科学的には「ありえない」ことです。
そのイエス・キリストが、わずか30年弱の生涯の間に
様々な「奇跡」を起こして大評判となります。
目の見えない人を直したり、パンと魚を同じ籠からたくさん取りだしたり。
これも科学的には「ありえない」ことです。
でも新約聖書にはそう書いてあります。
本当にあったことなのかどうかは知りませんが。

それを信じるか信じないかは別にして・・・・
キリストというのは長らく「神の子」ということになっていました。
ところが、中世に「神そのもの」か「神の子」かをめぐり
深刻な神学論争が起こったと記憶しています。
今は「神の唯一の子」あるいは「神の受肉(人間化)したもの」という
非常に苦しい解釈が一般化しています。

これは、キリスト教の母体となったユダヤ教の神「ヤハベ」は
唯一無二・全知全能の存在であり、別系統ができるとやや困るからでしょう。
ちなみに、イスラムの始祖マホメットはこの「ヤハベ」の
言葉を伝える「最後の預言者」という位置づけです。
また、ユダヤ教的にはイエス・キリストも預言者のひとり。

私は、イエス・キリストがヤハベの神の精霊を受けて誕生したなんて
信じる気にもなりませんし、その誕生日が祝福に値するとも思いません。
キリスト教というのは、一神教の中では教義がかなり脆弱だと考えます。
なぜなら、どう見ても生身の人間を神かその子だと信じなければいけないから。
彼を作り出したヤハベはいたって観念的なものですが、分かりやすい。
この宇宙を創り、統べている存在がある、と信じればいいだけですから。
と言いながら、私はそんなものを信じませんけど(笑)。

さて、次に我らがお釈迦様のお話し。
イエス・キリストが生身のカラダを持っていたことは確かですね。
なぜなら、ローマ人に捕まって殺されてしまったからです。
だいたい、マリアのお腹から出てきたのですから。
それに彼が復活したなんて信じるに足る証拠はありません。

でも、彼は宗教上で「神」か「神の子」という神性を帯びています。
ここがキリスト教のもっとも弱い所。
これに対して釈尊(ゴーダマ・ブッダ)は、どこまでも生身の人間です。
その生身の人間が半端なく大変な修行を行い、
その過程で菩提樹の下で瞑想している内に「真理」を悟った、と伝えられます。

つまり、お釈迦様は「人間の中でとてつもなく偉い人」という位置づけ。
自然、神としてあがめられるキリストとは成り立ちが違うのです。
しかし・・・仏教はキリスト教に比べて分かりにくいですね。
キリスト教は「新約聖書」を一冊読むだけでおよそ理解できます。
しかし、仏教は「これを読めば分かる」というのがありません。
私は多分、仏教関係の書物を何十冊も読みましたが、
正直申し上げて未だに良く分かりません。

それに、仏教の場合は宗派によってまるで別の宗教みたいです。
例えば、わが家の浄土真宗では「南無阿弥陀仏」と唱えます。
これを現代語に訳せば「アミダ様、お願いします」となるのです。
真宗の宗徒は、これを唱えるだけで「救われる」ことになっています。
どんなに信心が薄くても、悪事を働いても「南無阿弥陀仏」と
唱えるだけでアミダ様が極楽浄土に導いてくれるのです。
なんとも簡便な宗教ではありませんか。

それに対して、禅宗というのがあります。
これは、中々に救われません。というか禅語では「大悟」なんていいます。
この悟りは基本的に釈尊が菩提樹の下で「悟った」ものと同種かと思います。
禅宗の場合、意地悪なところあって「大悟」したエライ坊さんは
それを分かりやすい言葉にして教えてはくれません。
「禅問答」という何やら漫才めいた言葉遊びで伝えるのです。

「お前、ホンマに大悟しとんのか?」 なんて、私は疑っています。
そもそも、釈尊は菩提樹の下でどんなことを「悟った」のでしょうか?
実は、それは仏教の永遠のテーマではないかと思ったりします。
釈尊には弟子が何十人もいて、その言葉を書き残しました。
それが「経典(いわゆるお経)」として残っています。
それがまた、実に膨大な数なのです。

日本に仏教が伝えられた頃は、そのほんの一部がもたらされただけ。
だから、この国の初期の頃の仏教僧は「もっと他の経典が読みたい」と
まるで江戸末期の蘭学徒が蘭書を求めるがごとく、
まだ読んだことのない新しい経典を渇望したのです。
新しい経典は、まず支那大陸にありました。
だから、真理を求める仏教僧は支那へ渡ることを熱望しました。
それを実現した中の二人が最澄と空海です。二人の事跡はご存じの通り。

さて、その頃の支那へも、まだすべての経典が
伝わっていたわけではありません。
まだ多くの経典がインド北部のお寺に眠っていました。
「それを取りに行こう」と出かけたのが西遊記の三蔵法師。

その経典は、原本がすべてサンスクリット語(梵語)。当たり前ですが。
当時の支那には、それを漢訳したものがありました。
最澄や空海が持って帰ってきたのは、その漢訳版。
だから、我々がありがたがって唱えているお経は、
だいたいが漢文になっています。当然、読み下せます。
ところが、坊主のお経はそれを読み下さず漢字の音で唱えます。
なぜだか私にもよく分かりません。
読み下しの日本語で唱えると、ありがたみがないのでしょうか(笑)。

このように仏教の場合、各宗派によって教えることが違います。
それぞれ、一応は釈迦が悟った真理を伝えているようです。
まあ、経典がありすぎたのが良くないのでしょうね。
だいたい、菩提樹の下で釈迦は何を悟ったのか?

実は私、そんなことには全然興味がありません。
世の中、人間は飲んで食ってセックスして子どもを産み育てて、
最後は歳を取るか病気で死ぬだけ。
王将の社長みたいに殺される人もいますが、まあそれはそれ。
なのに「真理」などというコムヅカシイことをアレコレ悩んでも
仕方が無かろうよ、というのが私の価値観です。
だから、私の宗教は合理主義ということになります。
ただ、もって生まれた強い好奇心があるので、
客観的に宗教を眺めるのは大好き。
なぜなら、宗教の中には人間の弱い面、愚かな面、その限界
みたいなものがいっぱい隠されていますから。

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2013/12/24 16:18 Comments (0)

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