4月以降、新築マンション市場は失速?

マンション市場について「売れている」「売れていない」
という判断は、現場が一番早いものです。
毎週、月曜日に各販売会社では直前土日の
集客状況を踏まえた会議が行われます。
したがって、もっとも現場感覚を備えているのは販売会社。

しかし、そこがまた困ったところ。
マンションの開発事業において、もっとも有能な人材は
事業企画部門に配置される傾向にあります。
つまり、その土地にはどんなマンションが求められるのかを
考えて、現実化する役割を果たすポジションです。
設計事務所やゼネコンとの打合せ・発注を行います。
広告宣伝について提案を受けたり、結論を出すのもここ。

二番目に優秀な人材は、用地仕入部門に配されます。
仕入れはクセのある仕事なので、一度入ると中々動きません。
最後に、元気が良くても頭はそうでも・・という人材が販売部門へ。
販売部門や販売会社はいたって体育会系の組織です。
みなさんがモデルルームで接するのは、この部門の方々。
困ったことでしょ(笑)。

不動産業界というのは、そもそもあまり学生に人気がありません。
「インチキなことやってお金を儲ける」みたいなイメージもあります。
実際、そういうところは多々あります(笑)。
また「やたらと威張っている」というイメージもあります。
実際、かなりの割合でその通りです(笑)。

でも、儲かることは確かです。
新築マンションの販売手数料は3%から5%です。
仮に4%だとすると、5千万円のマンションを売ると200万円。
販売会社の社員は、1ヵ月に1戸販売していれば
十分に給料分を稼いでいることになるのです。
ところが、やり手になるとひと月に5戸も6戸も販売します。
販売会社はたいていが歩合給なので、
そういうスーパー社員の年収はすぐに2千万3千万。

20代でもそれくらいいってしまうので、たいていが勘違いします。
「俺ってすごい人間なんだ!」
だいたい、やることは同じ。キャバクラに通って高級車を乗り回す。
不動産業界というのは、人気がないと申し上げましたね。
中でも一番人気がないのは販売会社。だって、厳しいノルマ制ですから。
だから、あまり高偏差値の社員が集まりません。

マンションを販売するために、偏差値は必要ありません。
そのマンションのメリットを覚える程度の知的能力があればOK。
デメリットをカヴァーできるコミュニケーション能力があれば尚可。
そういった中から、スーパー販売社員が誕生します。
しかし、もともと知的なタイプではないので、
お金ができるとやることはワンパターンなのです。

儲かっていそうな不動産屋さんがなぜエラそうでいい車に乗っているか、
これでお分かりいただけましたか?
傍で見ていて愉快なものではありませんが、まあ仕方はありません。
販売手数料を下げると、販売代理業が成立しなくなります。
また、社員には歩合制で給料を払わないと熱心に売らなくなります。
年収2千万円や3千万円くらいは仕方がないでしょうね。
別に悪いことをしているわけではないのですから。

ただ困ったことに、彼らは往々にして本当のことを言わなくなります。
販売トークというのは「騙さなければOK」みたいなところがあります。
また、多少の嘘でも宅建業法違反でなければ大丈夫だと思っています。
そこで何が起こるかというと・・・「言った、言わない」トラブル。
これは日本全国の販売現場で日常茶飯事に発生しています。

さて、そういう一般的なことはよいのですが、
私にとって困ったことは「売れている」「売れていない」という状況を、
正確に知るには複数の情報源に確認しなければいけないところ。
しかも、全体を把握している幹部は、たいていが「嘘つき野郎」。
私が取材しても本当のことを教えてくれません。
みなさん機を見るに敏というか、頭の巡りに小回りが利いています。
だから、販売部門で出世できたのでしょうが(笑)。

そういった難問をクリアしながら把握したところによると、
どうやら都心の新築マンションの販売には失速の情況が見えています。
「売り物が少なくなった」というのが主因ですね。
あまりに売れすぎたので、いい物件はあらかた売れ尽くしました。
副因は経済の先行き不透明感。株価の迷走。

ただ、これは現段階での私の推測に過ぎません。
年度内の売上については、今週末が事実上の最終コーナー。
そして、デベ各社の今3月期決算は、それこそバブル期以上。
相当の数字が上がると思われます。問題はその後。
さて、4月以降はどうなることやら。
ビクビクと恐れているのは私だけではないと思います。

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2014/2/26 14:11 Comments (0)

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