第三の矢、解雇規制緩和に賛成する

安倍政権の「第3の矢」のひとつが、解雇規制の緩和だそうです。
「お前はクビだ。すぐに出ていけ」
実は私、これを言ったことが2度ほどあります。
広告制作会社を経営している時に、のべにしたら
何十人という人を正社員として雇用しました。
とてもよく働いてくれて性格もよい人が大半でしたが、
中には「何でこんなやつを雇ったのだろう」と後悔する方も。

ある方は、手癖が悪くタクシーチケットを悪用したり、
会社の備品を質屋に売ってしまったり・・・
何件か露見したのち、我慢できずにクビにしました。
もう一人の方は、最初はよかったのですが
だんだん怒りっぽくなって完全に浮いた状態に。
会社の空気も悪くなるので、これも仕方なく。

私が経営していたような小さな会社だと、
クビにした相手が大騒ぎでもしない限り問題になりません。
最後は経営悪化で全員を解雇しましたから。
もちろん、みなさんにはご了承いただきました。
というか、彼らには他に選択肢がありませんね。

しかし、この国では一般に解雇は簡単ではありません。
社長が「こいつは気に入らない」と特定の社員を解雇することは
「解雇権の乱用」といって不法行為になります。
解雇するには解雇する正当な事由がなければいけないのです。
私の場合、一人目の理由は「タクシーチケットの悪用」。
二人目の方は「協調性の著しい欠如」。

例えば、社員が会社の業務外で不法行為を行った場合は、
当然の如く正当な解雇事由になり得ます。
電車内で痴漢行為を行った公務員は、懲戒免職になるかもしれません。
ネット上で他人に名誉毀損行為を働いて損害を与えた場合も、
立派な解雇事由になると私は思います。
まあ、そんなことはいいとして(笑)。

さて、今の日本経済を劣化させている原因のひとつは、この「解雇」です。
会社にとって、儲かっている時には多くの社員が必要だけど、
左前になったらお荷物でしかありません。
だから、本音は解雇したいと思ってもできません。
そこで、いくつか抜け穴があります。
それはみなさんよくご存じのこと。
例えば、ソニーには「追い出し部屋」というのがあるそうです。
解雇したい社員はそこへ放り込んで、アノテコノテで意地悪。
社員が自分から辞表を出せば言うことはありませんね。
これなんか、違法スレスレ。内容によっては不法行為です。

もっとも合法的な抜け穴は「非正規雇用」で雇うこと。
派遣社員や契約社員、アルバイトを使うことです。
これだと、要らなくなった社員は「派遣打切」でいつでもポイ。
経営をしごく弾力的に行える、というワケです。
だから、企業はどこもかしこもこの手を使いたがります。
今や、非正規雇用者の割合は全体の約35%。
3分の1以上の方が正社員ではないのです。
私が大学を卒業した1985年には、これが約16%でした。

厚生労働省 厚生労働省資料より

さて、これはマンション市場にどう影響しているのでしょう?
実のところ、いいことはひとつもありません。
なぜなら、非正規雇用の方の多くは住宅ローンが組めません。
だから、マンションの購入者にはなりにくいのです。

さらに、非正規雇用者は総じて年収が高くありません。
コツコツためてキャッシュで中古マンションでも・・・
なんてことも、ほぼほぼ不可能。
何とも悲しいことではありませんか?

正規雇用を減らして非正規雇用を増やす・・・
これは日本経済全体にもよくありません。
だってそれは、年収の低い人を増やすことに他なりません。
多くの人が潤ってこそ、国全体の経済も豊かになるのです。

そこで安倍君(のブレーン)が考えたのが、解雇規制の緩和。
いつでもクビにできるのなら、企業は正社員を増やすだろう。
まあ、そんなことを考えたのですね。
映画を見ていて気が付くでしょうが、アメリカでは
「お前はクビだ、私物をまとめて出ていけ。PCには触れるな」
なんて場面が良くありますね。
言われた方は私物を入れた段ボール箱を抱えて会社を後にします。
カンタンにいえば、あれが日本でも実現するかもしれないのです。

どちらかと言えば、私はそれに賛成します。
なぜなら、その方が今よりも健全だと思うからです。
アメリカやドイツのビジネスマンは、
総じて日本よりよく働いていそうです。
その分、バケーションもドカンと取るようですが。

日本のように、会社に来たらコーヒーを飲みながら新聞を読み、
会議にいくつか出た後で書類にメクラ判をついたら業務終了。
それでもって「部長」だから年収が1200万円・・・
なーんて輩は会社にとってはただの老廃物。とっとと排出すべきです。

ついでに公務員の雇用関係にもこの原則を適用すべきです。
憲法抵触の疑義が生じますが、そこは特別法を作ればOK。
第9条に抵触する自衛隊が「自衛隊法」で成立しているのと同じ。
生徒をおっぽらかして組合活動ばかりしている北海道の先生とか、
教育委員会の決めた教科書を使わない竹富島の先生たち。
奈良や大阪あたりにたくさんいる、主に水道局勤務の幽霊地方公務員。
そういう連中はまとめてクビにすべきですね。

しかし、例の如くサヨク系の方々は雇用規制緩和に大反対。
自分たちのお仲間がクビになるのを恐れているのです。
こういう方は単に自分たちの既得権を守りたいだけ。
いたって利己的な主張に過ぎません。

解雇規制を緩和することは、各労働者に対して
目の前の業務への緊張を強いることになります。
「下手をやっているとクビになるかもしれない」という意識です。
支那はかつて共産主義による人民公社時代がありました。
あの時代、食糧が不足して何千万人もの人間が餓死しました。
農民たちの作業意欲が低かったせいが大きいと思います。
それが、改革開放で食糧は大増産。それを各産業に広めて今はあの通り。

資本主義社会においては、何事も自由度を高めることが
効率化につながると考えなければなりません。
だから、雇用制度も今よりも柔軟にすべきだと思います。
もちろん、そこで優勝劣敗が生じます。
しかし、それはある程度受容しなければならないはず。
今のように「30年前に入社した」というだけで既得権益が生まれ、
25年前に生まれたというだけで不遇に生きる雇用システムは、
社会全体の動脈硬化を生じさせるだけです。

さて、レポートの更新情報です。
「大崎・五反田」というタイトルでずっと出してきたものを
今回は少し範囲拡大。「目黒・五反田・大崎」にしました。
JR山手線の「目黒」「五反田」「大崎」を最寄駅とする
ただ今販売中の新築マンションについて、
その資産価値分析を冷徹に行っています。

このエリアの最注目マンションは、なんといっても
「パークシティ大崎」でしょうね。
これは「買ってもいい」にも入っています。
他の注目物件はあらかた完売してしまいました。
そこで、「目黒」も新たなカヴァー範囲に。
JR「目黒」駅が最寄となると、目黒通りを走るバス便物件も
このレポートで取り上げるべきと考えました。
この「目黒通り」物件はやや特殊。
バス便であるにもかかわらず、価格が少しお高め。
まあ「住みたい」という人が多いからでしょう。
でも、この先どうなるかは微妙。
そのあたりもレポートでは忌憚なく解説しています。

目黒・五反田・大崎
価格 3,190

■パークシティ大崎,■クレヴィアタワー目黒不動前,■オープンレジデンシア目黒花房山,■ザ・パークハウス 目黒三丁目,■セントラルレジデンス目黒学芸大学,■ディアナコート学芸大学レジデンス,■レ・ジェイド下目黒,■大崎ウエストシティタワーズ,■サンウッド学芸大学テラス, 、以上の9物件を収録

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2014/4/30 16:55 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんばんは。

今までの日本が、ちと不自然だとおもいます。
会議の大半は無駄。
社内で出世する鍵はひたすらゴマすり。
一部の一流企業以外はほとんどそうでしょう。
本来、ラーメン屋をやっているのがせいぜいのオッサンが
一部上場企業で部長や役員をやっています。
それでも、システムさえしっかりしていればなんとかなった。

同一業務同一賃金を基本にすべきですね。
それにはしっかりした評価システムが必要。
安いから、と派遣社員を使うのはカンフル剤や抗生物質の乱用と同じ。
根本的な解決ではありません。

まあ、こんなことをアウトサイダーの私がほざいても仕方ありませんが。
また、スナップの効いたコメントをお待ちしています。

おやすみなさい。 榊淳司

2014/04/30 23:41 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

グローバリゼーション。
世界を相手と言っても、人件費の場合、
後進国のタミが相手になります。
アジア諸国のタミは、日本のタミの賃金から見れば、
競争にならないくらい、安い。

例えば、年収300万の日本のタミ。
この賃金で後進アッパッパを何人雇えるか。
であるならば、時給800円のプータロー。
斬り捨てゴメン、となるでしょう。

勤続20年だから、年収1,000万円ですって。
アナタ、会社へのコントリビューションは?
でしょう。

公務員を含めて日本のタミは全員、契約社員にする。
各人のコントリビューションに応じた報酬。
そして、1年ごとの契約更改。
報酬、大幅UPもあれば、激減もあります。
もちろん、契約更改されないタミも出て来ます。
コントリビューション次第です。

今の「生活保護」みたいな給与保障が、もはや、
この先、続けられないのは明白です。
直ちに大変革を実行して、再生か、はたまた没落か。
べき論を言っているときは終わりました。

アベちゃん。
ごきげんよう。

2014/04/30 17:46 | by まろたん

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