公開講座18 管理会社に舐められると大損する

あまり大きな声では言いたくないのですが、
私はとある小さなマンションの管理組合理事長を務めております。
通算4期目くらいではないでしょうか。
私がそこに住んでいるわけではありません。
人に借りてもらっています。

まあ、そんなことはあまり関係ないのですが、
何期も理事長をやっていてつくづく思うのは、
「管理会社の言いなりになっているとロクなことはない」ということ。
ボーとしていると○○の毛まで毟り取られます。

例えば、前期はちょっとした補修工事が、
管理会社の発案で総会の議案に盛り込まれました。
それが必要かどうか、かなり疑問。
そして、上げてきた見積もりの工事請負は管理会社だけ。
「いいかげんにせんかい」と思いました。
その前の期には、ちょっとした塗装工事にウン十万の見積もり。
本当に、舐めていますね。

管理組合の理事長と言うのは、実は絶大な権限があります。
というのは、実質的に総会の決議を左右できるからです。
多くの管理組合の場合、総会に出席する人は多くありません。
欠席する人の半分くらいは「委任状」をお出しになります。
委任する先は、たいていが「理事長」です。
ですから、理事長は総会においてかなりの票数を持っています。
場合によっては、過半数さえあります。

私が理事長を努める管理組合がそうです。
私が「ウン」といえば、議案は可決。
「ノー」といえば、通りません。
もちろん、私は常識的に物事を進めていく人間ですから、
前述のような管理会社の横暴は許しません。

さらに、場合によっては「管理会社の変更」も可能です。
管理会社は総会の決議で変更できるのです。
ウチの管理組合なら、私が自ら変更を提案して、
私宛の委任状が過半数を超えれば可決できます。
まあ、今のところそこまでやる気はありませんが。

しかし、みなさんも良くご理解いただきたいのは、
管理組合が健全に機能していなくて、管理会社におんぶに抱っこ状態だと
いいようにしてやられて、どんどんお金をもっていかれます。
基本的に「良心的な管理会社」など存在しない、
という前提に立って物事をお考えになった方がいいでしょう。

カンタンな言い方をすれば、管理会社にナメられてはいけないのです。
常に管理会社の仕事を細やかにチェックして、
甘いところはないか、不当な請求項目がないかなどに目を光らせるべきです。
連中は油断もスキもありませんから、ちょっと甘いところを見せると
すぐに図に乗って金を毟り取ろうとします。

管理組合の理事長は、それぞれの規約によりますが
たいていは「1年任期」か、せいぜい「2年」。
理事ももちまわりのようなところがほとんどです。
経験がいかされない仕組みになっています。
特に大規模なマンションはそうです。

「売主の系列企業だから安心」などと寝ぼけたことを考えてはいけません。
グループ企業だからこそ、ナメてかかってくるのです。
特に、建築の欠陥などが見つかった場合はかなり裏目に作用します
グループ企業が管理会社なら、まず間違いなく「隠蔽」に走るからです。
これは、当たり前と言えば当たり前。
だって、親会社に逆らうようなことができるワケがありません。

管理組合の役員というのは、区分所有者を代表して
管理会社がキチンと仕事をしているかどうかを、
しっかりと「管理」するのが役割です。
でも、往々にしてナーナーになったり、うまく籠絡されてしまいます。
大規模マンションだと、次に理事をやるのは何年も、
あるいは十数年も先、ということがよくあります。
ついつい「そういうめんどくさいことは次の方に」となります。
サラリーマンの責任逃れと同じですから、
多くの方がそういう術には長けているので、もう始末に終えません(笑)。

結局、日本の大半のマンションの管理組合は
管理会社にカモられているのが現実です。
大手のマンションデベロッパーは、
たいていグループ内に管理会社を抱えています。
経営が危うくなって最後に手放すのが管理会社。
なぜなら、一番高く売れる「虎の子」だからです。
管理会社を売却すると、もうそのデベは危ないというサイン。
3年前はそのパターンで何社も逝きました。

管理会社をどこにするのか、というのはかなり重要な問題です。
でも、分譲マンションの場合はたいていがデベの子会社に決まっていて
購入者には何の選択権もありません。
引き渡しの後、実際の管理が始まってから
次々と問題が発覚していくケースがほとんど。
これって、よく考えればおかしな話です。
本来、どこの管理会社に委託するのかは、
区分所有者が自ら選択すべきではないでしょうか?

確かに、制度上の困難は伴います。
完成したマンションには、一日も管理の空白を設けるわけにはいきません。
だから、建物の引渡し前に購入者全員が集まってどこの管理会社にするのかを
話し合って決める、などということは不可能ですね。

それなら、こういうのはどうでしょう?
入居後の1年は暫定的に分譲会社が管理を代行して、
その間に管理組合が2年目以降の委託先を決める、というシステムです。
これなら売主のグループ企業だけでなく、数社に競わせられるので
委託費も軽減でき、管理内容も充実させられる可能性があります。
なによりも、最初の1年で喧々諤々の議論をするので
管理組合の「まとまり」ができますね。

これは、法律で定めて制度化しないと定着しないでしょう。
なぜなら、デベの既得権益を奪うからです。
今まではノーコンペで受注できていた大手デベのグループ企業も、
この制度が導入されると厳しい競争に巻き込まれます。
でも、結局そうやって切磋琢磨することで鍛えられ、
より合理的な方向が見出されるのです。

でも、こんな制度は夢のまた夢でしょうね・・・

ただ、コーポラティブ方式だと、ほぼこの通りのやり方で
管理会社を選定することが可能です。
むしろ、コーポラの場合は「暫定1年」などといわず
引渡しを受ける前に参加者が議論しながら管理委託先を選べます。
かなり理想的なシステムではないでしょうか?

ここ何回か行った新宿余丁町計画の説明会で、管理について多くの質問が出ました。
「管理会社はどこになるのですか?」
「管理費はおいくらなのですか?」
私はそれぞれ丁寧にお答えしていますが、一言で言うと
「それを最終的にお決めになるのは、参加者のみなさんです」となります。
もちろん、私の方でどの管理会社がいいのかという選択肢はご用意します。
具体的な管理業務の案もお出しします。
それに伴う費用も、選択肢に上げた数社から見積もりを取ります。
つまり、通常のデベロッパーと同様のところまで組み上げた上で、
最終的には参加者の判断にゆだねます。
例えば、「週3日の巡回管理」でいいのか「平日は毎日」にするのか。
清掃をどこまで委託するのか、などによって管理費は異なります。
場合によっては、管理会社に一括委託ではなく分離発注にした方が
費用はそれなりに軽減されます。管理は大変ですが。
そのあたりは、本来すべて区分所有者が決めること。
そのように説明をさせていただいています。

もちろん、私はある程度議論を整理する役割を果たすつもりです。
全員がもろ手を挙げて一致、と言うわけにはいかないかも知れません。
そのあたりが、コーポラティブならでは煩雑さかもしれません。
でも、マンションというのは基本的に区分所有者の共有物です。
区分所有者同士の話し合いと言うのは避けられないこと。
むしろ、最初からそういった話し合いを重ねているコーポラティブは、
区分所有者同士のまとまりも強くなる傾向が見られます。
つまり、「議論をまとめる」ノウハウがより深く蓄積されるのです。
そういった住まいは、普通の分譲マンションに比べると
格段に高い「危機対応能力」を有することになります。
何かあったときに強いのです。
地震などの災害、停電、犯罪など、マンションが対処すべき問題は様々。
管理組合がまとまっていると、上手に乗り切れることが多いはず。
そういったところにもコーポラティブの魅力があると思います。

新宿余丁町コーポラティブ計画

説明会開催(参加無料)
7月30日(土) 17:40~

説明会参加お申込は こちら から

 


2011/7/17 0:46 Comments (0)

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