幽霊の正体見たり・・・

私は2年ほど前まで、新築マンションの
分譲広告を作る仕事に明け暮れていました。
日々お会いするのは、マンションデベやその販売会社の担当者とか・・・
最も頻繁に接触するのは広告代理店の営業マン。

実はその世界、かなり狭いムラ社会なのです。
誰かは、必ず誰かの知り合い。
私は20年以上もその世界を遊弋し、
人と会うのを厭わないどころか、
可能な限り多くの人々と接触してきたお陰で、
大概のことは電話の2,3本で分かるようになりました。
でも、結局は「井の中の蛙」です。
それに、あの世界はかなりの割合で
アタマの中が単細胞に構成されている人々が生息しています。

ところが「榊淳司」として活動を始めてから
出会う方々の人種はかなり変わりました。
メディア側としては、新聞記者に編集者、テレビのディレクター等々。
マンション購入の相談者としては大学の先生にお医者さん。
中にはお坊さんやコンサルタントなどの変り種も何人か。

いやあ・・・面白いし、興味深い。
20数年、マンション分譲とその周辺の人々だけを相手に
「この業界は・・ばっかりやないか!」
と、嘆き暮らしてきたことを思えば、かなりの環境変化。

つい先日は「榊」とは関係ありませんが、
マンション分譲広告からやや距離を置いたことから
転がり込んできたお仕事で、とある大手教育産業を取材。
「東大・京大入試に受かる最短距離教材」担当者のお話を伺う機会を得ました。

こういう仕事って、サイコーですね。
根掘り葉掘り、そのノウハウについて質問してもOK。
しかも、それについて文章を書くことで原稿料までいただけます。
何といっても東大入試を攻略する教材をお作りになる方ですから、
オツムの中は水際立っています。
私のような単細胞系が発する様々な質問に、
「立て板に水」の如くお答えくださるのです。
その話しぶりを見ているだけで、惚れ惚れします。

また、一昨日は、とある編集者と一献傾けました。
この方は「哲学科」のご出身で、そちら方面の造詣がかなり深め。
こういうタイプは、マンション分譲業界とその周辺には
まずいらっしゃいませんね(笑)。

「哲学」というとみなさん煙たがられるかもしれませんが、
さほど敬遠するようなものではない、と私は思っています。
もっとも、私はあまり得意なほうではありません。
でも、嫌いでもありません。

「学問」にも、一応「系統図」みたいなものがあります。
例えば、数学と物理学は結構近しい間柄です。
化学と生物学も近いですね。生化学と医学は、ほぼ近親関係。
文系でいえば、社会学と政治学は意外に近いのです。
また、政治学と法学は、日本の大学ではだいたい「法学部」に属します。
あまり知られていないところでは、教育学と心理学。
これは切り離せない関係にあります。

でも、そういう様々な分野の頂点に立っているのが「哲学」。
すっごく難しい印象がありますが、突き詰めればどうということはありません。
「人間とは何なのか」
それを考える学問、だと私は思っています。

そういうことって、普通の方々には馴染みが薄いですね。
「そんなこと考えて、なんの役に立つの?」
と、多くの人が考えます。
でもね・・・実に大切なことだと思います。

私がこのブログで何度かチャチャを入れている創価学会。
あるいは、とでもない事件を起こしたオウム真理教。
未だに何をしたのかよーわからん幸福の科学。
ああいう「ワケのわからん」ところにさ迷い入る方は、
たいていが「自分は何なのだろう」と悩まれた挙句だと思います。

だから「哲学」とは、物思うすべての人に関係ある学問です。
欧米では、高校の授業でキチンと「哲学」の時間があると聞きます。
「ソフィーの世界」という名著を書いた方は、
高校の哲学教師だそうですから。

おっと・・・哲学のことを語りすぎました。
私が今日の更新で言いたかったのは、
その「哲学科」出身の編集者との対話が面白かったということ。
いわゆる「形而上」の話題について、
私の初歩的な質問にキチンとお答えいただき、
さらに発展して森羅万象に話題が及ぶのです。

例えば、「心」とは何なのだろう・・・なんて話。
様々な話の後に、話題は「幽霊」に及びます。
興に乗った私が
「幽霊というのは、詰まるところ『電子』が作る像の一形態ではないでしょうか?」
などと持ちかけると、彼は真面目な顔で
「そうかもしれません。でも幽霊はまもなく科学的に解明されると思います」
なんて、先進科学研究に基づいた意見を展開されます。
「幽霊」の科学的な解明・・・なんて、知りたいでしょ?

彼がなぜこういったことまで好奇心を広げているかというと、
すべては「人間とは何か」ということ考えようとする、
「哲学」の原点に発しているのだと思います。
それは、私の思考ベクトルと多少なりとも
重なっているのではないかと感じました。
だからこそ、酒席は大いに盛り上がりました。

こういうコミュニケーションは、私にとって人生の宝物のようなもの。
カタチはありませんが、ずっと心に残ります。
そして、さらなる知的好奇心を掻き立てます。
マンション分譲業界の方々と、
バカっぱなしをしながら盛り上がる酒席も楽しいのですが、
時には幽霊の正体を真面目に語るのもオツなもの。
「人間は考える葦」でなければいけないのです。


2010/12/26 2:58 Comments (1)

1件のコメント

あなたも只者ではありません。
十分です。

でもその話もう少しだけ詳しく教えてください。
興味があります。

2010/12/27 18:42 | by ちょっとまって~

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