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榊 淳司オフィシャルブログ

ここのところ「買ってもいい」マンションが増えています。
その一部は、期間限定で販売中の私のレポート

今、注目のマンション 首都圏編 2010年 秋冬号
販売価格1,490

で、ご紹介しています。
ただ、世の中には私と同じ意見の方が数多くいます。
だから、「買ってもいい」マンションは売れ行きが早い!
先日、早その中の1物件が「完売」したという情報を得ました。

このレポートは、今年中に販売を終了しますので、
ご希望の方は早めに手続きをなさってください。

さて、今日の話題はタワーマンション。
「またかよ! もう飽きた」
という声が聞こえてきそうですね。
でも、今日のはちょっと違います。

ここのところ、私の事務所に有料相談でお見えになる方々の
ほとんどが、なぜかタワーマンションをご希望です。
私がブログやレポートで散々に否定的な
意見を表明しているにもかかわらず、です。
それだけ人気が高い、ということなのかもしれません。

私はかねてより
「買ってはいけないタワーマンション東京都心編」という
レポートを発行していました。
これ、中々に好評です。
多分「自分の買おうとしているマンションが入っていないかどうか」
ドキドキしながらお読みいただいていたのだと思います。

このレポートを出した1年ちょっと前までは、
東京の都心で販売されているタワーマンションの大半が
「買ってはいけない」に分類されるものでした。
実際、購入されてから私のレポートを読んで
「しまった」と思われた方も多いはず。
そのうちの何人かは私のところにも相談にお見えになりました。
ただ、買ってしまったものについては、中々難しいですね。
できることなら、買う前に相談して欲しいもの。

「だったら買っていいタワーマンションを教えてください」
ということになりますね。
ウーン、困った・・・というのが2ヶ月前の私。
でも、今は違います。
「コレとコレとコレは『買っていい』にはいりますよ」
ということができます。
なぜなら、私はこの2ヶ月で東京の都心と近郊で販売されている
すべてのタワーマンションを見てまわったからです。
全部で43物件。
中には、他のレポートを書くため、すでに見ていたのもありますから
実際には19現場ほどを回ってきました。

「アレ、うちには来なかったよね、榊さん?」

という、タワーマンションの販売担当者がいらっしゃると思います。
私は建物の中に入ったり、モデルルームを訪ねたりはしません。
すべて、現地の周りの環境と、建物の外観を見るだけです。
共用施設や住戸については、資料やネットで十分に判断できます。
モデルルームなんてオプションだらけですから、
実はほとんど参考にならないのです。

そして・・・・ありました。「買ってもいい」タワーマンション。
43物件の中に7物件です。
立地や価格のバランスから「買ってもいい」と判断しました。
中には、まだ建設途中なのに完売しかけている物件もあります。
やはり、みなさんよくご存知です。

43物件のうち、「買ってはいけない」と思えるのは21物件。
これだけをお知りになりたいのなら、
先に上げた「買ってはいけないタワーマンション東京都心編」
お読みいただければよろしいかと思います。
また残り15物件については、どちらでもない「ニュートラル」と
価格などの情報が出ていないので「判断できない」の2種類に分かれます。

この「43物件のすべてを知りたい」という方は
今日から販売を開始した

榊淳司の東京のタワーマンション 全解説43物件
価格 9,980

をお読みになってください。
「高いじゃないか!」と思われるかもしれませんね。
実は、ボリュームが全然ちがいます。
他のテーマを絞ったレポートは、だいたい30Pから50P。
ところが、このレポートは全体で185P。
普通のレポートの4倍強のボリュームです。
本音は15000円くらいにしたいのですが、
いつもの通り「できるだけ多くの人に読んで欲しい」
ということで、内容の割りに廉価に設定しました。

そして、従来の
「買ってはいけないタワーマンション東京都心編」も、
19物件から21物件にボリュームアップ。
新たに加えたのは3物件。削除は1物件。
そして、ページ数も100に大幅増。
したがって、お値段も上げさせていただきました。

「買ってはいけないタワーマンション東京都心編 21物件」
価格 6,980

この内容は「東京のタワーマンション 全解説43物件」
完全に含まれています。
だから「全解説43物件」をお読みになった方については
こちらは不要ですので、くれぐれもご注意ください。




ハッピーリタイアメント・・・・
お金のために働くことが嫌いな私としては
生活の心配がなければ、今すぐでもOKです。

昨日、私の事務所にお見えになった方は61歳。
リタイアして2年目。
仏像彫りや和竿づくり、詩吟、釣りなどに
「いやあ、毎日忙しいぞ、ワシは」という
羨ましい限りの「ハッピー状態」。

「忙しい」ながらも、昨日はお茶を飲みながら5時間、
いろいろなお話を聞かせてくれました。
それはそれは、面白かった!
私は本を読む以上に、人の話を聞くのが好きです。
ただし、話す中身のある人に限りますが。

そのリタイア氏・・・眼光は鋭く、
面相は般若の如く「おっかない」感じ。
見た目だけなら、警視庁の四課が担当する業界の方々・・・
といっても100人が100人信じると思います(笑)。

そんな彼は、私が若い頃に2年半ほど勤めていた広告代理店のOB。
でも、初めてお会いした頃、私はすでに辞めていました。
ある時、車でご自宅にお送りすることになって、
運転しながらお聞きした話の印象がかなり強烈。

「榊君、ワシはいろいろ社内で噂をされとると思うが、別に気にする必要はないぞ」
「はい・・・私はもう社外の人間ですから噂なんて聞こえてきませんけど・・・ちなみに、どんな噂ですか?」
なーんて、でしゃばって聞いてしまったのです。
「そうか・・・うーん、ワシはクライアント(顧客)を殴ったことになっておるが、あれはウソじゃ」
「へえー、そんな噂があるのですか。全然知りませんでした(本当です)」
「ウン、あの会社はすぐにくだらん噂が広まる」
「そうですね。私もあらぬ噂をいっぱい流されていますよ(笑)」
そういえば私も、外注業者の癖に部長の机に足を投げ出して電話をしていた、
なんて根も葉もない噂を流されたことがありました。
「そうじゃろうな。本当に困ったことだ。ワシはなあ、噂されているようにS社のヤツを殴ったのではないぞ。殴ってやろうかとも思ったがな・・・ワシが殴ったのはS社ではなくI社のヤツじゃ! みんな、そこを間違ごうておる!」

ウッヒョー・・・やっぱり殴ってるじゃん!

そういう武勇伝がヤマのようにあるお方。
大学時代はバリバリの体育会。それも武道系の主将です。
私は親しくさせてもらっていますが、もしそうでなければ
ネオンの下では絶対にすれ違いたくないタイプ。

彼はその広告代理店を「部長」で終えました。
入社したときは「社長になる」つもりだったそうです。
マンションデベロッパーばかり相手にする営業職ですから
それはもう理不尽に継ぐ理不尽の連続。
それでも懸命に努力して、艱難辛苦を乗り越え、
異例のスピードで昇進していったそうです。
ところが・・・・
この前も書いたとおり、所詮は「てなもんや代理店」。
経営は、創業オーナー社長の超ワンマン。
いってみれば、オスマン・トルコ帝国と同じ状態。
「スルタン(社長)以外はすべて奴隷(イエスマン)」。
肩書きだけあがって「局長になっても、専務になっても」
社長にモノをいえる人は誰もいない・・・
そのワンマン社長が、どうしようもないバカ息子に継がせようとして・・・・
元来、「応募者の中からバカを選んで採用し、
その中からさらにバカを選りすぐって昇進させている」
といわれても仕方がないような
人事を行っていましたから、上部構造が脆弱極まりなし。

「こんな会社で出世しても仕方がない」
リタイア氏がそう決意したのは50歳の時。
相当の勇気を要したようです。
でも、彼は面相どおりの「強い」意志を持っています。
「ワシの『気』は、会社のためにも客のためにもつかわん。自分のために使う」
それ以来、社長の理不尽な要求にはすべて正論で反論。
激怒した社長に、たちまち窓際に追いやられました。

2年後、クライアントに「ヒラ」の身分で出向。
でも、給料は部長のときのままだったそうです。
社長としては、反抗した社員に対する「懲罰人事」のつもり。
でも、本人にとっては渡りに舟の災害「避難」。
「そんなもん、ホイホイと行ったがな」
行った先では平社員の扱いだけど、
仕事は「一人前」だけやっていればOK。
「それはラクやで。金も使わんでええし」
と、本人にとっては一石三鳥のありがたい人事。

そして会社は案の定、下り坂をゴロゴロと転がり始めます。
ワンマン社長はバカ息子とともに追放され、
IT系の新興企業にM&A。
「これはもうイカンな」と考えていた矢先に
最後かと思われる優遇付き早期退職募集。
それに応じて、加算された退職金をもらった上、
出向先で2年間の嘱託雇用を確保。
その2年も終えて、昨年春にめでたくハッピーリタイア。

まあ、沈み行く船から自分の分だけはキッチリもって
脱出したようなもの。
「ワシは社長にはならんかったけどな」
というのが、唯一の人生の取りこぼし。

そんなリタイア氏の子どもの頃から学生時代、
現役時代の四方山話をたっぷりとお聞かせいただいて、
楽しい楽しいひと時でした。
若い頃から人生を真剣勝負で生きた人には、ふさわしい
「ハッピーリタイアメント」が待っていたのです。

さて、私は彼のようにハッピーリタイアできるか?
ちょっと無理でしょうね。
私は彼のように「真剣勝負」では生きていません。
仕事よりも家族、自分。
お金を稼ぐ「仕事」ために
『気』などほとんど使ってきませんでした。
何とっても、ネが「てなもんや」ですから。




12月というのは、師走。
マンションも売れません。
そこで、調子に乗ってもう一度脱線させていただきます。

昨日(数時間前)は昔の仲間が集まる忘年会がありました。
したがって、今日は酔っ払い更新。
ちょっとレロレロ気味(笑)。

この歳になると、オッサンたちの飲み会も結構楽しいものです。
昔話、知人の消息、出身校談義・・・
話題は尽きないのですが、興味深かったのは「龍馬噺」。
みんな、NHKの龍馬伝を観ているようですね。

でも、私は観ていません。
初回と2回目だけは見ました。
あとはスルー。
もともと私は龍馬フリークではないし、
武田鉄也や鳩山弟にはかなり違和感を覚えていました。
でも、龍馬のことは決して嫌いではありません。

さて、龍馬は慶応3年に暗殺されました。
彼が歴史に残した足跡は、あまり目立ちません。
日本史の教科書にもほとんど載っていませんね。
歴史学者の多くは、彼の功績を大きなものとは認めていません。

●    薩長同盟
●    船中八策(大政奉還の元)

この2つが見るべきものなのですが、
これは彼がなさずとも誰かがなした可能性が高いと思います。
いずれにしろ、歴史の流れに沿ったものです。

まあでも、あの時代において
「世の中が見えていた」数少ない男であり、
ああいう動きができたのは、彼ならでは。
カッコイイことには違いありません。
ついでに、日本郵船(三菱)の土台を提供しています。

ただ、ドラマはドラマです。
龍馬を中心に幕末を見ていると、時代認識を誤ります。
まるで、坂本龍馬を中心に日本が回転していたように思いますが
実際は全然違います。
龍馬は、ほんの端役。
舞台の端に登場するかどうかなのです。

ここでひとつ、視点を変えましょう。
龍馬が暗殺された慶応3年。
どんな1年だったのでしょう?
幕末のもう一人のヒーロー・高杉晋作も死んだ年。
「坂の上の雲」の夏目漱石、正岡子規、秋山真之が生まれた年です。

この1年を、ちょっとお遊び風に
今風の「十大ニュース」で表してみると・・・

1 おかげまいりの大流行
「えじゃないか、えじゃないか、えじゃないか、伊勢の名物、赤福餅はえじゃないか」の元になった「お伊勢参り」が、歴史上最大級の流行。
2 孝明天皇崩御。睦仁親王、践祚して明治天皇に即位
16歳の英邁なる明治天皇の誕生。孝明天皇は薩摩に毒殺されたという説が有力
3 江戸騒乱
西郷隆盛の命を受けたといわれる設楽総三などが、江戸で夜盗まがいの狼藉を繰り返し、江戸は騒乱状態に陥る
4 薩摩屋敷襲撃
上記の夜盗はすべて高輪の薩摩屋敷に逃げ込んでいるという実態に憤怒した江戸警備の二本松藩兵などが薩摩屋敷を襲撃。薩摩藩士は品川沖から逃走。
5 大政奉還
これは、庶民にはよく理解されていなかった。公方さまが京のミカドに将軍を返した・・・程度の感覚。
6 二条城に総登城
幕府が在京(当時の京都にいる)藩主に総登城を命令。大政奉還について議論したのですが、これは徳川期を通じて異例の出来事。てんやわんやの大騒ぎだったはず。
7 長州藩主の復位
蛤御門の変以来、朝敵だった毛利候の官位が復活。これ倒幕へ潮目の変化を意味します。
8 幕府歩兵出陣
フランス式に訓練された幕府歩兵が江戸から出陣。当時としては大ニュース。
9 薩摩兵入京
徳川幕府にとっては、武装した薩摩兵が京都に入るのはただならぬ事態。
10 開陽丸横浜入港
榎本武陽によって回航されてきた、オランダ建造の軍艦・開陽丸が横浜に入港。幕府びいきの江戸市民を沸かせました。

さて・・・お気づきかと思いますが
私が勝手に選んだこの年の十大ニュースには
龍馬暗殺も晋作の病死も入りません。
壮絶な明治維新という革命にとって
彼ら二人の死など些細な出来事なのです。

龍馬という人物が、あの歳で殺されてしまったのは
実に残念なことではあります。
しかし、横死したからこそ「伝説」になっている面があると思います。

私は大河ドラマが結構好きなのですが、
イコール「歴史」とするには、注意が必要です。
ドラマはあくまでもドラマ。
でも「坂の上の雲」には期待します。



2010/12/8 2:07 | ちょっと脱線 | Comments (1)

ひとつ前の記事にいただいたコメントで
「榊は顔が悪いから損をしている」という下りがありました。
「ちょっとまってよ」さん、いつも応援ありがとうございます。

でも・・・私ってそんなに悪相ですか?
昔はこれでもジャニーズ系でブリブリいわしていたのですが(笑)。

まあ、そんなことはどーでもいいのですが、
おかげで昔のことをいろいろ思い出させていただきました。
私がまだ自分の容姿や服装に多少気を使っていた20代中盤の頃、
この国はバブル経済の真っ盛りでした。
ところが・・・私はしがない三流広告代理店の契約社員。
年俸は300万円。
まずビンボーといっていいでしょう。
大学の同窓生たちの年収は
ほぼ400万から500万のラインに達していました。

安月給のおかげでタダでさえモチベーションが下がるのですが
所属していた広告会社が、いってみれば「てなもんや代理店」。
谷崎光さんの「てなもんや商社」は映画にもなりましたが、
こちらは未だに映画化の話はありません。

「てなもんや」というのは、関西弁です。
東京風にいうと「なんちゃって」。
当人達はマジメにやっているのですが、どこかおふざけ。
本来あるべき姿からは程遠いけれど、
それを笑ってごまかしている、という状態ですね。

でも、その会社のことを、私は基本的に今でも好きです。
「君は結局、何年いたんだっけ?」
今でもOBさんたちとよく酒席を共にします。
ほとんどは、私の先輩方々。
「ハイ、2年半です」
そう答えると
「お前・・・・・2年半しかいなかったのか!」
と、ビックリされます。

飲み会、マージャン、その他社内行事全般・・・・
仕事に関係ないことは皆勤賞。
それに、幹事・世話役を嫌がりませんでしたから(笑)。

私はアッケラカーとしているけど、
自己主張は強くて使いにくい社員として、
上司には評価されていたようです。
まあ、従順でないことは確か。
でも、割合仕事はマジメにしていました。
あの当時の同僚先輩たちに、
そういう印象はちっとも残っていないようですが。

まあ、「てなもんや代理店」ですから、中身はいい加減です。
入社して初めの1年間は、コピーライターの仕事をしていました。
不動産広告ばっかりだったので、最初は戸惑いました。
でも、そういうのは最初の半年ですね。
「こんなもんかいな」
そう思えるようになると、仕事は割りとチョロかったと思います。
後半の1年は、ぜーんぶ一人でやっていました。

当時、不動産広告における最もステイタスの高いメディアは新聞。
日本経済新聞の全国版になると15段(1ページ)で
出稿料(広告費)が3000万円くらいだったでしょうか。
朝日新聞の首都圏版でも15段が2000万円前後だったと記憶しています。

まあ、バブルですから・・・そんな高額の広告でもバンバン発注が来ます。
「申し込んだけれど紙面が確保できない」という状態。
新聞社側からすると「掲載させてやる」というスタンス。
それを取次ぐ広告代理店の「媒体担当」は
社内でエバりちらしていました。

当時、制作費まで含めると3000万円前後もかかる
そういった15段の新聞広告を、
一介の契約社員である20代の若造が、
企画から制作までぜーんぶ一人でやっていたのです。
それも、ハンパな量ではありません。

「忙しいなー、今月は」
なんて思ったときに一度、
その月に私が新聞社に送った原稿の段数を
数えてみたことがあります。
「0日に日経に15段、00日に朝日に15段と読売に10段・・・」
と積み重ねていくと、なんと合計150段。
1ページに当たる15段と、3分の2ページの10段が中心。
だからほとんど毎日の様に原稿を送っていたのです。

業界外の方は「ふーん」と思われるかもしれません。
でも、新聞の原稿を送るというのは大変なことなのです。
何といっても当時は1本2000-3000万円のシロモノです。
発注を受けると、スポンサーと打ち合わせを重ねながら
広告表現案を何案も作成。
修正しながら最終案にたどり着いて、製版・最終校正・送り。
その間、スポンサーとの打ち合わせは少なくて5回くらい。
多いと10回以上。
時間にすると1-2ヶ月はかかりました。

そんな仕事を、当時26歳くらいの若造が5,6本同時進行していました。
それも、ほぼ一人です。

打ち合わせの相手は、一部上場企業の部長クラス。
私は物怖じしないタイプなので平気ですが、
「今日は決めなければいけない」という時には、
上司を駆り出します。
3000万円もの広告原稿にOKを出させるのに
20代の営業・制作コンビではちょっと役不足と思ったからです。

「部長・・・今日の提案は・・です。・・については先方から・・・が指摘されたので・・という手法で・・・の案を制作して今日プレゼンします。向こうから・・・という突っ込みが来る可能性がありますから・・・と、おっしゃってください」
「てなもんや代理店」とはいえ、
バブル当時の上司はそれなりに忙しいので
打ち合わせはスポンサーに向かうタクシーの中。
用意した企画書を読んでもらいながら、懸命に「振り付け」します。
「よし、わかった」
部長は、調子よく太鼓判。
「じゃあ、お願いします」

いよいよ最終案プレゼン。
ところが・・・・
そこは「てなもんや代理店」の上司。
「この前大成功したキャンペーンがありまして、それは・・・・」
オイオイ・・・打ち合わせと全然違うことを喋りだします。
そんな番狂わせに見舞われながらも
横からしゃしゃり出て口八丁手八丁、
「三寸の舌をふるい、斉の七十余城邑を落とす」ように
なんとかOKを取り付けて最後には
めでたく原稿を新聞社に送り出していたのです。

部長を駆り出すのは、言ってみれば特殊ケース。
普段は、直属の上司である課長クラス。
クリエイティブ部門ですから、
ネはグラフィックデザイナーです。

大事なプレゼンテーションがあって、
企画書を書いたのは私なので自分が喋るつもりでした。
でも、直前になって「僕がやる」とおっしゃいました。
「はい、わかりました」
それはそれでいいのですが、
やはりスポンサーに向かうタクシーの中で
やっと企画書を真剣に読み始めました。
そして、私に「ねえ、この漢字はなんて読むの?」。
着く頃には、企画書の漢字にはほとんど手書きのルビ。
それでも、本番はシドロモドロ。
途中から「補足」で私が引き継いでなんとか仕事にはしましたが・・・

そういうことが重なると、精神的に参ります。
大学の同窓生達は外務省や国連、
その他一流の民間企業で活躍しているのに・・・
自分は当用漢字もろくに読めない上司に仕えて
「てなもんや代理店」で「てなもんや人生」を
歩いていたわけです。落ち込みますね。

それで、結局その会社を辞めました。
でも、あの頃の同僚・上司達(後輩はほとんどいません)のことは
今でも好きです。
何人かの方々とは、今も酒を飲みます。
漢字が読めなくても、いい人はいい人。
結局、人間はその本性だと思います。

会社を辞めた次の日、
二日酔いの目覚めの朝に電話がかかって来ました。
「なにやっているんだ・・・仕事があるから打ち合わせに来い」
とてもよくしてくれた先輩の一人。
そういう方だから断りきれず・・・・
辞めたのに、翌日また同じ会社に「出頭」。
「こんにちは・・昨日はどうも」
なんてデスクを一周すると、抱えきれないほどの仕事が・・・
こんなに仕事があるのなら会社でも作るか!

年俸300万円で終えたサラリーマン生活の翌年、
エッコラサと会社を作ってしまいました。
そして、年収はいきなり実質3000万円に。
ヤッターと思って調子に乗りまくったものの、
翌年にはあえなくバブル崩壊。
その後は元の木阿弥の「てなもんや人生」を
トボトボと歩んでいます。




私の拙い知識では、上場企業というものは自社の情報を
世間に対して正しく開示しなければいけないはずです。
特に、財務状況についてはかなりの正確さを求められます。

1997年に倒産した山一證券と言う会社は、
そのルールを守っていませんでした。
2600億円ともいわれる負債を隠していたそうです。
それを知らずに、山一證券の株を買った方は大きな損失を蒙りました。

さて、私は住友不動産の決算に注目しているのですが、
昨日、この会社が11月5日に発表した
「平成23年3月期第2四半期決算短信」
というのをツラツラ読んでいると、不思議な一文を発見しました。
以下長くなりますがペーストします。

当第2四半期連結累計期間は、「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」、「シティタワー有明」など、マンション、戸建、宅地の合計で2,762 戸(前年同期比+1,075 戸)を販売計上いたしました。前年同期に比べ、計上戸数が大幅に増加した結果、売上高、営業利益ともに前年同期比5割超の大幅な増収増益となりました。通期業績予想に対する営業利益進捗率は66%と、計画をやや上回るペースで推移しております。マンションの契約戸数は2,623 戸(前年同期比+13.1%)と、平成17 年の「ワールドシティタワーズ」販売時以来、5 年ぶりに上半期2,500 戸を超える高水準となりました。その結果、当第2四半期末時点におけるマンション、戸建住宅の当期計上予定戸数(4,500 戸)に対する契約率は、87%(期首時点30%、前年同期 60%)、完成済販売中マンションは1,120 戸(前期末比△78 戸)となりました。
※太字は榊の指定
掲載アドレスは
www.sumitomo-rd.co.jp/ir/settlement/1011_0003.html

これを読むと「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」や
「シティタワー有明」はいかにも販売が好調のように思えますが、
実際はどうなのでしょう?

それに「完成済販売中マンションは1,120 戸」って・・・本当?
まさか1120戸ってことはないでしょう、というのが正直な感想。
天下の住友不動産が世間に向かって嘘をつくとは思えませんが・・・

なぜ、私がそう感じたのかという根拠を述べましょう。

1 「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」は売れているの?
このマンションは総戸数が850戸で住友不動産1社が売主です。
竣工したのは去年の12月。
つまり、立派な「完成済販売中マンション」。
それが、なぜか完成後の今年になってから本格的な販売を始めました。
私が眺めている限り、
「第1期」の販売戸数は「102戸」。
そして「第1期1次」なんて表示は見ませんでしたが
なぜか「第1期2次」というのがあって、これが「30戸」。
今は第2期で「14戸」が販売中ですが、予告広告時には「30戸」。
つまり、あわせて162戸を売り出して今14戸販売中だから、
この14戸以外全部売れたと考えても148戸にしかなりません。
残りは単純な引き算で850-148=702ということになります。
私が知らないところでお売りになっていれば、
シンボルの「完成済販売中マンション」は、
この「702戸」より少なくなります。

2 竣工済みなのに「販売戸数/未定」の物件
マンションの広告は、「今この住戸を00万円で販売中です」
という「本広告」
「近々販売する予定で、戸数も価格も未定です」
という「予告広告」の2種類があります。
「予告広告」というのは、通常なら竣工前に行うもの。
だって、戸数や価格が分からない広告というのは、
消費者にとって不親切極まりないもの。
だから「まだ価格も戸数も決められない」状態のとき、
「とりあえずお知らせする」ために認められています。
竣工して、本当は売りたい戸数も価格も決まっているのに
「予告広告」を行うのはかなりヘンです。それに不誠実。
ただ、現実には「価格を表に出したくない」
(高いのが知られるとモデルルームに来なくなる)
という場合によく行われています。
だからみなさん、竣工しているのに「予告広告」
行っているようなマンションにはくれぐれもご注意ください。

前置きが長くなりましたが、住友不動産のホームページ
www.sumitomo-rd-mansion.jp/
において昨日現在「物件一覧」として紹介されているマンションは、
全部で99物件ありました。
昨日、そのデータをすべてエクセルに移してみました。
99物件の総戸数は、なんと14251戸。
このうち、決算短信の基準である今年の9月時点で
すでに竣工しているのに、
昨日時点で販売戸数を「未定」にしているのは18物件。
その総戸数は5389戸。
このうち他社と共同売主になっているJV案件3物件の
総戸数1545戸の約半分772戸を引いたとしても4617戸。
まあ、売主さんが「販売力」と「ブランド」を兼ね備えている
住友不動産なので、この4617戸の内85%を販売済みと考えると、
いわゆる完成在庫は692戸ほどあることになります。

3 竣工物件で販売戸数を表示している数の合計。
「シンボル」のように、販売戸数をきっちりと表示しているのは
シンボルを除いて47物件597戸
これははっきり「完成済販売中マンション」の戸数だと
表示しているものと理解できます。

まとめると、「完成済販売中マンション」は
1 シンボルだけで702戸あるかもしれない
2 竣工済なのに販売戸数「未定」物件総戸数の15%で692戸
3 はっきりと戸数を表示している合計が597戸

1,2,3をあわせると1991戸になります。
これはかなり控えめな数字だと思います。
なぜなら、まず「1」のシンボルは第1期と第1期2次が
全戸販売できているとは思えません。
「2」の販売戸数「未定」物件は想定の85%も売れていないかもしれません。
「3」では「はっきりと販売戸数を表示」している以外に
「残住戸」がある可能性があります。
販売戸数を少なめに表示するのは業界の常識ですから。

それでも、決算短信に載っている「1,120 戸」を大幅に超えています。
不思議ですね。
私と住友不動産さんとでは「完成済販売中マンション」という
言葉の定義が違うのでしょうか?

もし関係者の方で「お前のここが間違っている」
というご指摘がございましたら、どうぞ遠慮なくお知らせください。
私はこれを修正するのになんらやぶさかではございません。
ただ、正確なところが知りたいだけです。

ちなみに、この第2四半期のマンション売上げ総額は1298億9300万円。
契約戸数は2,623戸。平均すると1戸4952万円
7000万円以上が中心の「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」や
「シティタワー有明」がそんなに売れたにしては、
妙に低い数字だと思えるのですが。

参考レポート

ミニバブルの残影
豊洲タワーマンション市場
【2010年11月改訂版】
価格 3,980

東京湾岸・有明エリア
マンション市場に異常アリ
【2010年11月改訂版】
価格 3,960