人間のハードディスクには限界があります

何度も書いているとおり、私が生まれ育ったのは京都市。
生家は京都大学の近くで古本屋を営んでいました。
小学校は「哲学の道」を歩いて通い
中学校は旧第三高等学校(現京大教養部)のお隣。
高校は、そこから京大医学部のキャンパスをかすめるようにして通学。
そして大学へは・・・理工学部と文学部(石垣)の間(今出川)を
スクーターで走り抜けて通っていました(笑)。
すごーく近くで生まれ育って、多くの先生や学生と知り合ったのに
なぜかあの大学は私に「おいで」とは言いませんでした。

おかしいなあー

まあ、それはいいとして・・・
家が古本屋だったので、本の背表紙を眺めて育ったようなものです。
中身を読まなかったかって?
それは、少しは読みましたよ。
当時はファミコンも携帯もDSもありませんからね。
でもまあ、中学生ぐらいまでは、家の棚に並んでいる学術書なんて
なーんにも分かりませんから、読むのはもっぱら小説。
高校生くらいの時は、本読むよりもおもしろいことがありすぎました。
それは、大学生になるとさらにパワーアップ。
遊ぶのに忙しいから本なんて読んでいるヒマはありません。
ところが、3年生になる時に編入試験なるものを
受けるためにふた月ほど家に籠もって本ばかり読みました。
それで入ったゼミの指導教官が、
イエール大学でPh.Dを取ってきたというスゲエ先生。
この大先生、麻田貞雄という人なのですが、
後に吉野作造賞まで取ってしまう外交史の権威。
しごかれましたねー(笑)。
まず最初に「来週までコレ読んどくように」と渡されたのが
アメリカの学者が書いた原書のコピー20Pほど。
そんなもん、こっちは受験英語で30行の英文読むのも
ヒーヒー言っていたのに、1頁50行ぐらい
ビッシリ難しいこと書かれた英文を20ページですぜ。
その後も、毎週5冊くらいは日本の専門書を読んでいないと付いていけません。
自分が発表する時には20冊くらいには眼を通します。
私が京大の理工学部と文学部(石垣)の間を抜けて通ったその大学では
文系学生の98%は、ほぼ「完全に」遊んでいましたが、
我々のゼミだけは、まるでアメリカの大学みたいでしたね。
ゼミの仲間や先輩と顔を合わすのは、もっぱら図書館でしたから(笑)。

就職すると、そういう環境は一変します。
つまり、不動産屋やその周辺に群がるおバカな面々と
四つに組んで仕事をしなければなりません。
そうすると、飢えるのです・・・インテリジェンスに。
気が付けば、ヒマとスキを見つけて本を読み漁ります。
それでも、学生時代に比べれば読めませんね。
絶対的な自由時間が少ないですから。
そんなこんなで・・・今までの人生で読んだ本は、
約3000冊から3500冊くらいじゃないでしょうか?
このまま読み続けても、一生で1万冊は無理だと思います。
だんだん目も見えなくなりますしね(笑)。

「一生で1万冊」・・・・これって、本を読みたい人間にとって
かなり残酷な「限界」を表す数字です。
すごーく本を読む人でも2万冊は読めないと思います。
2万冊読もうと思えば、12歳から70年もの間、
1年に344冊読まねばなりません。ほぼ1日に1冊。
これはよほどの読書好きでもない限り、不可能。
1万冊なら2日で1冊・・・まあ、普通の「本好き」はこの程度。
でも、その2万冊ですら、八重洲ブックセンターのワンフロアの半分くらい。
1万冊なら、ほんの一画。小学校のひとつの教室の壁を本棚にした程度。

人間が書物からインプットできる情報なんぞ、たかがその程度なのです。
これって多分、普通のパソコンより少ないと思います。
だからこそ、我々はインプットする情報の選別に、
それなりに気を使わなければいけないと思います。
つまりは「読める本は限られているのだから、キチンと選ぼう」ということ。

今発売中の「日経ビジネスAssocié(アソシエ)」という雑誌が

 「仕事に効く!元気になる! 今、読むべき本」という特集を組んでいます。
「ビジネススキル」とか「仕事の知識」などのテーマ別に
「明日のあなたをつくる500冊」を紹介しているのです。
その中で、マネー編の「住まい」で紹介されている9冊は
僭越ながら私が選ばせていただきました。
硬軟取り混ぜての9冊ですから、みなさんの「読む本」選びに
少しはお役に立てるのかな、と思います。
ただし、私が最も読んで欲しい本が、この9冊の中には入っていません。
それは、もちろん・・・・

です(笑)。
どうぞ、みなさん!
この9冊の前に私の著書も読んでください。
住まいの購入を真剣にお考えなら、
これはまっ先に読むべき本だと思いますよ。


2010/4/20 15:00 Comments (0)

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