この大不況を乗り越えるには

今日は20日。
5日とか10日とか、20日とか・・・・・
いわゆる「決済日」になると、ドキドキしますね。
「今日はどこが逝くのだろう」って・・・
私は20数年マンション業界にいますが、
こんなにバタバタとマンションデベが倒産するのを
見るのは初めての経験です。
先輩諸氏にお聞きしても、どうやらそれは同じ。
先日、すでに還暦をだいぶ過ぎた私の顧問税理士の先生が
「これは石油ショックのときを上回る不況ですよ」
とおっしゃっていました。
100年に1度、とマスコミではやされていますが、
それを言った大元は第13代連邦準備制度理事会議長のグリーンスパン氏とか。
今回の大不況の元凶を作った犯人とされています。
さて、本当にG氏がいうように「百年に一度の大津波」なのでしょうか?
前にも書きましたが、
今回の大不況の原因は、いたって単純です。
20年前に日本であったバブルと基本的に同じ構造が
数年前のアメリカにもあったわけです。
ジャブジャブとお金が供給(マネーサプライ)されて、
なんだかすごーく気分よくなった方々が
景気よくお金を使っていた。
でも、突然それが「バブル」だということがバレて・・・
ブクブク・・・パッチンと弾けてしまった。
あの陽気なアメリカ人たちがモノを買わなくなると、
彼らにモノを売っている日本は困るワケです。
シナも困ります。インドも困ります。
バブルがはじけて石油が安くなったから、ロシアも困ります。
アメリカと同じようにバブルに浮かれたヨーロッパも困ります。
先日、「実質GDP年率12・7%減」という発表によって
日本国中に衝撃が走りました。
よく読むと、そのほとんどが「外需」。すなわち輸出です。
内需はマイナス0.3%。年率に換算すると1.2%くらいですか?
国内は、そんなに減っていないのです。
だって、街を歩けば「何が変わったの?」という感じ。
80年ほど前、「大恐慌」というのがありました。
あの時はアメリカでマイナス成長が13%。
失業率は25%だったそうです。
本当に、恐ろしいですね。
私たちのDNAのどこかにその記憶が刻まれているのです。
だから、「100年に一度」、つまりあの大恐慌みたいな
不景気がやってくるという恐怖心から、大騒ぎしています。
失業率が25%なんて・・・・暴動が起こります。
シナでは公式発表で08年の失業率が4.2%ですが
実は全国的に実質は25%以上という話もあります。
だから、全国で年間3万件以上の暴動が起こっているそうです。
さすが、大国ですね。スケールが違います。
で、今の不況が深刻化すれば、日本も失業率が25%になるか?
なりません。
日本もアメリカも、80年前とは違います。
何が違うのでしょう?
経済学が進歩したから?
それも、少しはあります。
実は、通貨制度が全然違うからです。
いつか書いたように、不景気というのは
単純にお金のめぐりが悪くなっているだけです。
モノは生産できるのに、お金がないから買えない。
トヨタは年間900万台以上の車を生産できますが、
みんなが買ってくれないから、今年は700万台くらいしか
生産しないかもしれません。
それは、世の中にお金が回っていないから。
お金さえ回っていれば,新車を買える人が世界中で200万人増えて
トヨタも儲かって、従業員はボーナスもらって、
名古屋の栄はギンギラ輝いて・・・みんなハッピー。
それじゃあ、お金を増やせばいいじゃない!
と誰もが思います。榊も思います。
80年前の大恐慌の時代には、お金は簡単に増やせませんでした。
なぜなら、当時のお金(通貨)は「金本位制」といって、
金属のゴールド(延べ棒とか金貨とか)がある分だけしか発行できなかった。
人間が勝手にお金(通貨)を作ると、
制限が効かなくなるから、
きちんと裏づけのある分だけ発行しましょうね、
という制度になっていたのです。
考えれば、あの当時はまじめだったのです。
今はちょっと違います。
「管理通貨制度」といって、
政府から独立したまじめな中央銀行が、
経済の拡大に応じて通貨を発行する・・・ということになっています。
つまりは・・・中央銀行がその気になればお金は増やせます。
さっき書いたグリーンスパンさんは、
そこのところ、非常に頭の柔らかい人でした。
単純に言えば、じゃかじゃかとお金を増やしてくれました。
印刷機をフル稼働してドルを刷り続けたのです。
その結果、アメリカはバブルになりました。
日本は・・・・ダメです
日本銀行はまじめすぎます。
20年前のバブルがトラウマになっています。
ちっとも円を増やしてくれません。
だから、土地や物価は下がるけども給料も増えない、
という状態がずっと続いていました。
そして6,7年前、がっぽりとお金をもったアメリカ人がやってきて、
安い日本の土地・・不動産を買い捲った。
それに乗せられた日本の不動産屋、ファンドがまた土地を買いました。
結果、マンションの値段が上がる。でもみなさんの給料は上がらないから
そんなに高くなったマンションは買えない。
すると売れない・・・・調子に乗って土地を買った
マンションデベがつぶれる。
というのが今の状態なのです。
おまけに、アメリカがモノを買ってくれないから
不動産だけでなく、経済全体が大不況!
それでも、失業率が25%になったりはしません。
だって、日本には世界の人がお金さえあれば
買ってもらえるモノをたくさん作る能力があります。
ただ、世界的にお金のめぐりが悪いので、あまり買ってもらえません。
だから、世界的にお金を増やせばいいワケです。
アメリカ人は、ネが単純なだけに、そこのところがよくわかっています。
オバマさんも、以前にもましてドルを刷ろうとしています。
日本も同じくらいは円を刷ればいいのです。
実際に印刷機を回すのではありませんよ(笑)。
それも少しはありますが、
経済学で言うところの、通貨供給(マネーサプライ)を増やすのです。
市場にお金をじゃぶじゃぶ流すのです。
供給の仕方は、いろいろあります。
麻生さんのやろうとする定額給付金なんてのは、一番幼稚なやり方。
ちょっと賢いのは減税。
住宅ローン減税もそのひとつ。榊は大賛成です。
もっと賢いのは、成長分野への思い切った投資。
環境とか、代替エネルギーとかです。
財源は・・・日銀が通貨を発行してくれないのなら、
それこそ「政府紙幣」でもいいんじゃないですか?
とにかく、財務大臣が酔っ払ったからなどという
低次元の問題でガタガタやっている場合じゃありません。
すぐに予算を通して、さらに次の補正予算を組んで、
またまた次の補正予算を組んで・・・矢継ぎ早の政策が必要です。
今日はちょっとマンションから離れた話題ですね。
でも、このマンションの「投げ売り」状態が一時的な過渡的現象であることを
理解していただくためには、巨視的に経済を眺めなければならないと思って
あえて書かせていただきました。
榊は経済の専門家ではないので、
かなりザックリ大雑把な切り方ですが、大筋はご理解いただけると思います。
次回はまた、マンション市場の話題に戻るつもりです。
長々とお読みいただき、ありがとうございます。


2009/2/20 1:38 Comments (28)

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